金プラチナ短期相場観
タカ派利下げへ意見分かれたFOMC、今回も年内も、政権とも
更新日:2019年9月19日(木)
7月に続いて2会合連続利下げを決定した9月FOMC。この結果だけを見れば市場予想どおり。ただし、ドットチャートの2019年末予想中央値は1.875%となり、6月時点での2.375%からは0.50%の低下、1年前の3.125%からは1.25%も低下したにもかかわらず、既に到達済の水準となって年内追加利下げは打ち止めを示す状態に。さらに来年も1.875%据え置き予想となって2021年には利上げ再開見通し。
ドットチャートからはタカ派寄りとの印象も強く、タカ派的利下げとなって市場反応も今のところは限定的となっているようです。
声明文では、7月の「設備投資の伸びは緩やかになりつつある(has been soft)」状態から、今回は「設備投資と輸出は弱まっている(have weakened)」状態へと下振れを明示した以外はほぼ前回踏襲でFF金利の誘導目標のみが変更された形。
そして、この下振れと「不確実性」が続いていることから、セントルイス連銀ブラード総裁は0.50%の利下げを主張。また、カンザスシティー連銀ジョージ総裁とボストン連銀ローゼングレン総裁の二人は7月からあまり状況は変わらないと見たのか、7月に続いて据え置きを主張。反対3票でも正反対の主張となり、FOMC内で意思統一が図れない状態は7月の時以上。
意見が分かれたのは今回の金融政策のみならず、ドットチャートの年末予想でも、据え置き5名、0.25%追加利下げ7名、0.25%利上げ5名と、きれいに3グループに分かれる形でバラバラに。
さらに、意思統一が図れないのはFOMC内にとどまらず、マイナス金利をも主張するトランプ大統領とも意見が分かれます。
今回もクイック・レスポンスで「パウエルFRB議長とFRBは再び失敗した。ガッツもセンスもビジョンもない」と、もはやこれがリスク要因にも。
18日のNY金相場は+2.4ドル、0.16%の小幅高で3日続伸。FOMCを控えて1510ドルをはさんで小幅揉み合い推移が続いた後、NY朝からは金利低下とドル安の流れにサポートされて堅調推移、午後には1520ドル手前まで上昇。しかし、引け後のFOMC結果がややタカ派寄りとなったことから金利とドルが急反発し、NY金は一時1490ドルまで30ドル弱の急落。ただし一方的な流れにもならず、その後は1500ドル台へといったんは反発。年内追加利下げ観測がやや後退したことで目先は上値の重い展開も予想され、本日欧州時間以降、あらためて売り圧力が強まる可能性もあり、1500ドルを明確に割り込む形となれば、昨年8月安値から9月高値までの23.6%戻しとなる1470ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは-9.6ドル、1.02%の反落で8月30日(931.7)以来、3週間ぶりの安値水準。940ドル台での保ち合い推移からNY市場にかけて930ドル台へと水準を切り下げ、引け後のFOMC結果には930ドルを割れて一時920ドル台前半まで、小幅に急落。その後は930ドルを回復して下げ渋り。しかし、9月安値を更新し、サポート水準となっていた930ドル半ばをわずかに割り込み、引け後の戻り局面ではこの水準が抵抗水準に切り替わった可能性も示唆する状態にもなり、このまま930ドル後半以上へと戻すことができなければ一段安の展開へ、900ドルの大台ライン付近までが当面の下値目安に。
ドル円は30銭ほどのドル高円安となって3日続伸。FOMC待ちの膠着状態では108円20銭をはさんでの揉み合い推移、FOMC後には108円30銭台へと小幅に急騰後、ジリ高推移となって40銭台へ。予想どおりの0.25%利下げも、今後の追加利下げ継続見通しがやや後退したことを好感して金利上昇とともにドル高の流れに。予想どおりの展開ながら、想定以上に上値も重い様子。「適切に行動する」と利下げへの可能性も残したことで中立姿勢も強調され、今後の経済指標と米中対立などの動向次第という状況にも。90日移動平均線(107.76)が当面のサポート候補となり、4月高値から8月安値の61.8%戻し、109円30銭台を上値目標に比較的堅調な流れがもう少し継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/18終値とチャート
19日の国内金価格は-21円、0.37%の反落。前日上昇分を帳消し、5600円の大台ラインが当面の抵抗水準となる可能性を残して調整局面が進行しやすくなりそうな状況にも。9日移動平均線(5568)が21日移動平均線(5568)を下回りつつあり、これらをまとめてデッドクロスする形となり、NY金が大台を割れて下げ幅を拡大するようなら一段安の展開へ。5520円が目先のサポート候補も、これを下回ると5430円台までが次の下値目安にも。
プラチナ価格は-36円、1.04%の反落。ピークアウトした9日移動平均線(3470)に上値を押さえられ、三角保ち合い下放れの展開に。NYプラチナが一段安となればこれに追随する形で3360円台辺りまでが当面の下値目安に。確率は低いものの3480円超へと切り返すことになれば3580円台の高値再トライでダブルトップをつけに行く可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格9/19とチャート
- 2019年9月19日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,580 円 9/19(木) ▼21(0.37%) 国内プラチナ : 3,439 円 9/19(木) ▼36(1.04%) NY金 : 1,515.8 ドル 9/18(水) ▲2.4(0.16%) NYプラチナ : 934.6 ドル 9/18(水) ▼9.6(1.02%) ドル円 : 108.42 円 9/18(水) ▲0.29(0.27%)
2会合連続利下げで低調な米製造業景況感も下支え? 9/20(金)
タカ派利下げへ意見分かれたFOMC、今回も年内も、政権とも 9/19(木)
ドイツ9月ZEW景況感、期待は底打ちの可能性も現況は下げ止まらず 9/18(水)
米小売売上高は6カ月連続前月比プラスで消費も堅調、利下げは? 9/14(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン