金プラチナ短期相場観
ISM製造業景況感に加えてADP雇用も、景気減速懸念は週末に?
更新日:2019年10月3日(木)
ISM製造業景況指数に続いて、ADP雇用者数の伸びも低調となり、世界的景気減速懸念への警戒感がにわかに高まる状態となって週末の後続指標の結果を待つことになります。
製造業の景況感悪化は米国でも鮮明となり、雇用の伸びも減速気味となり、景況感悪化は製造業から非製造業へも影響が及び始めているのか、雇用情勢の減速傾向は労働省の結果でも続いているのか、賃金は?という状態でISM非製造業景況指数と雇用統計の結果が、先月に続いて注目を集めることになってきました。
ADP雇用者数と米労働省発表の雇用統計での雇用者数の伸び(NFP)の3カ月平均では、いずれも今年序盤までは前月比20万人以上の伸びを維持していましたが、ADPもNFPも春頃から急減速となり、10万人台前半へと急減した状態から回復し切れていない状況です。
ISMの雇用指数も、非製造業では節目の50超を維持してはいますが、2018年のピーク水準からは低下傾向が続いています。過去の推移でも、製造業での低迷期には、遅れて非製造業も追随する展開がしばしば見られました。
米中貿易戦争の影響などから、製造業の景況感悪化が続き、雇用への影響も拡大し、採用にも慎重姿勢が強まるようなら、49年ぶり低水準となっている失業率もいずれ上昇し始めることも予想されます。
雇用統計では、賃金上昇率の伸びもこのところ頭打ちの状態となっています。リッチモンド連銀とダラス連銀の賃金指数の推移は、雇用統計での平均時給の賃金上昇率(前年比)と同じような推移が続きます。リッチモンド連銀の賃金指数と賃金上昇率は、36カ月相関係数で0.7台の強めの相関関係を維持しています。
リッチモンド連銀もダラス連銀でも、ピークアウト感が強まる状況となってきていることが、気になるところです。
株安・金利低下、ドル安円高とともに金の反発基調が続くのか、それとも1カ月前と同じく形勢逆転となって流れが反転するのか、年末にかけての追加利下げ観測の行方も大きく左右することになる、重要な週末がここから始まります。
2日のNY金相場は+18.9ドル、1.27%の大幅続伸。9月30日の急落分を2日かけて取り戻し、1週間ぶりの水準を回復。短期下落トレンドの抵抗線にもなりつつある20日移動平均線(1509.9)付近にも到達、しかしいったんはこのラインに上値を押さえられた形にもなり、目先の重要な攻防ラインに。前日の9月ISM製造業景況指数の下振れを受けて1490ドル台まで急騰した後の時間外は1480ドル付近まで下押し。欧州時間からは米長期金利の低下とユーロ高ドル安の流れにも連れて押し目買い優勢の展開へ、NY朝にはADP雇用者数の下振れを受けて昨日の今日、米景気減速懸念からリスク回避の流れが強まると1500ドルの大台を回復し、NY午後には一時1510ドルまで上昇。目先はISM非製造業景況指数と雇用統計の結果次第で買い戻し継続か、調整再開か。20日線を突破できれば1540ドルまでが次の抵抗水準、戻り売りとなれば1470ドルまでが当面の下値サポートに。
NYプラチナは4日ぶりの反発で+8.3ドル、0.94%高。欧州時間には870ドル半ばまで下げての推移も、5月末安値から9月高値までの61.8%戻し(870.3)付近では達成感もあって下げ渋り、NY時間にかけては金に追随する展開となって買い戻し。NY朝には890ドルを回復し、NY金の1500ドルの大台回復に連れての一段高も、900ドルの大台には惜しくも届かず、5月末安値から9月高値までの半値戻し(895.2)付近で一服。目先、上方向には38.6%戻し(920.1)付近までが買い戻し継続の上値目安に。戻り売り優勢となって880ドル台のサポートを割れると61.8%戻し(870.3)前後までが下値目安に。
ドル円は60銭弱のドル安円高で続落。前日のISM製造業景況指数の下振れを受けての急落からの戻り高値107円90銭付近をつけた東京午後からは戻り売り再開。米10年債利回りの低下基調に連動し、欧州時間からはドル高の巻き戻しも加わり、NY時間にはADP雇用の下振れも加わっての軟調推移。さらにはこの日、EUが欧州航空機大手エアバスへの不当な補助金を拠出していることへの対抗措置として、米国による報復関税をWTOが認定。75億ドル相当となるWTO史上最大の報復関税を認めたことで、米欧貿易摩擦激化への懸念も市場の警戒感を誘った様子。1週間ぶり安値となる107円付近では下げ渋ったドル円は、今朝の東京市場では株安に連れて107円を割れる場面も。ISM非製造業景況指数や雇用統計の結果がネガティブなら一段安の展開で9月初旬の安値圏105円90銭台辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/2終値とチャート
3日の国内金価格は+42円、0.75%高で3日続伸。2度めの近年最高値をつけた9月25日(5665)以来、1週間ぶりの高値水準。高値更新再トライか、三尊天井をつけての反落か、三尊天井にもならずにダブルトップのネックライン(5523)を試しに行くか、短中期的には非常に興味深いチャート形状に。この夏数カ月の推移では、価格急騰に対してオシレータ系指標のピークが切り下がるダイバージェンスを何度も示現、短期的には急反落必至の状態でも下げ渋って高値更新を繰り返して秋に。足元では高値更新し切れずに反落となって大幅調整も、とも思われた状態から再び切り返しての高値再トライも意識される状況に。この週末にかけての米指標次第で高値更新か、急失速へ。高値更新の場合には中期的にも一段高の可能性も浮上し、5800円が当面の上値目標に。当面のサポート5560円を割れた場合には5400円前後も意識されるような展開にも。
プラチナ価格は+32円、0.97%高で3日ぶりの反発。7月末高値3290円から3300円の節目にサポートされる形で下げ止まった状態に。過去の推移からは、比較的短時間で3400円台回復か、さもなくば3300円割れへと戻り売りの展開へ、のどちらかとなりやすい状況にも。週末の雇用統計までの指標結果をトリガに金が一段高となれば前者の展開にも、逆の展開なら後者か。後者の場合、7月末高値揉み合い水準半ば3250円前後までが短期目安に。
※参考:金プラチナ国内価格10/3とチャート
- 2019年10月3日(木)時点の相場
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国内金 : 5,639 円 10/3(木) ▲42(0.75%) 国内プラチナ : 3,324 円 10/3(木) ▲32(0.97%) NY金 : 1,507.9 ドル 10/2(水) ▲18.9(1.27%) NYプラチナ : 894.4 ドル 10/2(水) ▲8.3(0.94%) ドル円 : 107.17 円 10/2(水) ▼0.58(0.54%)
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