金プラチナ短期相場観
ユーロ圏総合PMIはV字回復の兆し?も金融危機時の最低未満
更新日:2020年5月22日(金)
IHSマークイット発表のユーロ圏総合PMIは2ヵ月連続過去最低となった4月の13.6から5月速報値では30.5へと急反発。3月の29.7も上回り、2月(51.6)以来、3ヵ月ぶりの高水準。
ロックダウンの段階的解除がスタートし、ドイツでは欧州5大サッカーリーグの先陣を切ってブンデスリーガが再開したことなども景況感急回復に貢献。
製造業PMIではドイツは36.8でユーロ圏の39.5を下回り、フランスが40.3で牽引する形とはなりましたが、サービス業PMIではドイツが唯一30ポイント台、31.4でフランスの29.4、ユーロ圏の28.7を上回って牽引役に。総合PMIでもフランスがユーロ圏と同じ30.5に対してドイツは31.4。
コロナ前には製造業の低迷でユーロ圏の足を引っ張っていたドイツは、コロナ後に向けての回復基調では再びユーロ圏の牽引役として引っ張って行こうとしているようです。
そんな状況を反映して、チャート形状からはV字回復の兆しのようにも見えます。
しかし、ユーロ圏総合PMIの数値としては、依然として過去3番めの低水準。コロナ前の過去最低、世界金融危機時の2009年2月の36.2からは大きく下方乖離した水準にとどまります。
ロックダウンの順次解除が進行しながらも、依然として広範囲に渡るビジネスの閉鎖状態は続き、サプライチェーンの混乱もあり、多種多様な商品やサービスの需要低迷状態も続きます。受注残の低迷も続き、過去2番めの低水準。
向こう1年間の期待指数では、悲観論が楽観論を上回る状態が続くものの、過去最低となった3月からは2ヵ月連続の上昇となったようです。
それでも需要低迷が人員削減につながり、さらに需要が弱まる悪循環に陥るリスクを警戒する向きも。完全回復に向けては、長い時間を要するとの見方が大勢のようです。
V字回復の兆しのようにも見える総合PMIの回復基調は、まもなく失速してしまう可能性への警戒感も漂います。
21日のNY金相場は3日ぶりの反落で-30.2ドル、1.72%の大幅安。週初の18日高値1775.8ドルでピークアウトした流れから、前日20日高値1757.6ドルが戻り高値となって戻り売りの流れがこの日にかけて継続。時間外スタート時点の1751.7ドルがこの日の高値となり、軟調推移で欧州時間には節目の1730ドル付近まで下落。保ち合いレンジ下限ではいったん下げ渋って一度は1740ドル台へと反発。NY朝の米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数と新規失業保険申請件数はいずれも市場予想よりも弱い結果、しかし非常に弱い水準での結果は誤差の範囲でもあり、織り込み済としてドル高の流れが急進。再び戻り売りの展開となったNY金は節目の1730ドルを割れると1710ドル台半ばまで急落の展開に。下値目安1710ドル前後にほぼ到達した状態にもなり、1720ドル台へと戻して小幅保ち合い推移でNY引けへ。20日移動平均線(1720.7)にもサポートされて一服感も、あらためて1710ドル前後から1700ドルの大台付近までは下値を試す可能性も。上方向には1750ドル台が当面の抵抗水準となり、上抜けた場合には高値更新再トライ、1780ドル台が上値目標に。
NYプラチナは-68.0ドル、7.28%の大幅安となって6日ぶりの反落。下落率では3月18日(-60.3ドル、9.06%)以来、下げ幅では3月16日(-86.2ドル、11.59%)以来、2ヵ月ぶりで今年3番目の急落。前日までの急騰局面の反動安と金の軟調推移にも同調する展開となり、NY朝までに900ドル付近、30ドルほど水準を切り下げて、NY朝の急落にも追随すると850ドル付近まで、さらに50ドル程の急落。NY引けにかけては860ドル台を回復し、今年最高値から最安値までの61.8%戻し(861.5)付近で落ち着いた状態にも。また、200日移動平均線(884.8)はわずか2日で再び下抜けたものの、90日移動平均線(846.6)超えはななんとか維持。目先はこの90線から850ドル近辺がサポート候補にも。
ドル円はわずかにドル高円安、107円60銭付近でほぼ横ばい推移。欧州時間には107円80銭台の高値、NY時間には107円50銭台の安値、30銭強の小幅レンジでの保ち合いの展開に終始。変動値幅は今年の平均91銭の3分の1強。日足レベルでは5月初旬から下値を切り上げ続け、直近3日は上値も切り下げる形となり、反落か、一段高か、という状態にも。一目均衡表の雲の中での推移が続き、切り上がる雲の上限に沿って水準を切り上げてきた形にもなっており、同様の展開が続けばまもなく90日移動平均線(108.32)を超えて108円50銭近辺まで上昇する可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/21終値とチャート
22日の国内金価格は-74円、1.12%の大幅続落。20日の株高・金高から21日は株安・金安。ドル高の流れにも押された形で高値警戒感からの反落。これを受けて国内価格も高値保ち合いから下放れ。ダブルトップを完成した形にもなり、目先はもう一段の下値模索の展開となりやすい状況に。ネックラインからダブルトップの値幅分だけさらに下落すると仮定すれば、下値目安は21日移動平均線(6448)付近、6450円近辺まで。上方向には6590円が当面の抵抗水準、切り返してこれを上抜けるようだと最高値更新で6660円近辺までが次の上値目標にも。
週間ベースでは-9円、0.14%安で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は-84円、2.6%の大幅安となって7日ぶりの反落。右肩下がりの90日移動平均線(3241)上抜けに失敗し、前日急騰分を帳消し。中期トレンド回復に向けた分岐点でいったん上値を押さえられた形も、この3200円前後の水準は3月前半の急落局面でもいったん反発して戻りを形成した水準。急落局面で戻りを形成した水準では急反発局面でも反落局面を形成しやすくなる傾向も。3230円超へ上値再トライへと向かえば、次の戻り形成水準3270円前後から3300円辺りまで上昇して反落、というパターンも。
週間ベースでは+234円、8.04%の大幅続伸。
※参考:金プラチナ国内価格5/22とチャート
- 2020年5月22日(金)時点の相場
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国内金 : 6,506 円 5/22(金) ▼74(1.12%) 国内プラチナ : 3,143 円 5/22(金) ▼84(2.60%) NY金 : 1,721.9 ドル 5/21(木) ▼30.2(1.72%) NYプラチナ : 866.5 ドル 5/21(木) ▼68.0(7.28%) ドル円 : 107.61 円 5/21(木) ▲0.04(0.04%)
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