金プラチナ短期相場観
米住宅着工件数も4月に過去最大の急減
更新日:2020年5月20日(水)
住宅市場も例外ではなく、米国ではこの4-6月期に最悪期を迎えた様子です。
全米住宅建設業者協会が発表し、住宅建設業者の景況感を示すNAHB住宅市場指数も4月には30ポイントとなって2012年6月(29)以来、7年10ヵ月ぶり低水準に落ち込んでいました。前月比では-33ポイントの急落となり、2006年10月(-37)、9月(-35)、8月(-34)以来、13年半ぶり。調査開始の1985年以降で4番めの急落となっていました。
なお、今週発表された5月分では37ポイントと小幅に上昇も、依然として節目の50を大きく下回るネガティブな状態。
米商務省がこの日発表した住宅着工件数でも、4月は近年最悪の結果となりました。着工件数は89.1万戸となり、2015年2月(88.6)以来、5年2ヵ月ぶりの低水準。前月比では-30.17%となり、調査開始の1959年以降のデータでは過去最大の急減。これまでの過去最大、1984年3月の-26.42%を大幅に超える減少幅となっています。
なお、リーマンショックの時の最大の急減でも2008年11月の-16.09%。
今回は今年2月から減少フェーズ入り、2月は前月比-3.09%、3月には-18.57%と急減フェーズ入りの様相。
前回のリセッション期には、住宅バブルが崩壊した2006年からサブプライムショック、リーマンショック、世界金融危機となった2009年まで、3年かけて住宅着工件数がおよそ180万件急減する、史上最大の住宅市場崩壊フェーズを形成しました。
今回は今年1月の160万件から4月までで70万件の急減。わずか3ヵ月で、前回4年かけて急減した件数の3分の1以上のフリーフォール状態となっています。
着工件数の先行指標となる、着工許可件数は4月に107.4万戸。2015年1月(104.8)以来、5年3ヵ月ぶりの低水準。前月比では-20.44%となり、2008年7月(-21.95)以来、11年9ヵ月ぶりで過去3番めの急減。
着工件数ほどには落ち込んでいないことが、せめてもの救い、となるかどうか・・・。
19日のNY金相場は+11.2ドル、0.65%の反発で前日の大幅安の半値戻し。米バイオテクノロジー会社モデルナのワクチンが有力な初期徴候を示したことが好感されて大幅株高をサポートした前日から打って変わってこの日には否定的な見方、極めて重要なデータが十分示されていないとの報道で米株を押し下げ。ただ、この報道がNY午後の時間帯だった為、NY金はNY引け後に小幅上昇の反応と限定的。むしろその前までに前日の急落からの自律反発の展開。時間外には前日安値をわずかに下回る1720ドル後半まで売られて反発、徐々に下値を切り上げてNY朝には1730ドル台、NY午後には1740ドル台を回復。1730ドルが目先の下値サポートとなり、1760ドルを上限に小幅保ち合いを形成、反発方向への流れが続いて上限突破できれば終値ベースでの高値更新が上値目標、1770ドル台へと水準を切り上げる可能性。サポート割れへと反落なら4月以降の保ち合いコアレンジ、1710ドルから1700ドル付近までが下値目安に。
NYプラチナは+20.3ドル、2.34%の大幅高で4日続伸。直近3日合計で114.6ドル、14.79%の急騰となり、3月6日(896.4)以来、2ヵ月半ぶりの高値水準。時間外には90日移動平均線(848.4)付近までの下押しで反発するとNY朝には金の堅調推移にも連れる形で880ドル台後半へと急騰、3ヵ月ぶりに200日移動平均線(884.4)を上抜け。900ドルの大台ラインにはいったん上値を押さえられた格好も、200日線がサポートとなる状態を維持できれば大台超えも。なお、52週移動平均線(874.1)も上抜け、20ヵ月移動平均線(864.5)も上抜けており、週末、そして月末までこれらの水準以上を維持できれば中期トレンドも好転へ。
ドル円は40銭余りのドル高円安で0.39%の続伸。欧州時間朝に伝えられた日銀の22日臨時金融政策決定会合開催の一報を好感して円安の流れがスタート、107円30銭台からNY朝にかけて108円台まで堅調推移となって1ヵ月ぶりの高値水準に。しかし、ほぼ水平状態の200日移動平均線(108.28)には少し届かず、108円台維持の攻防でも戻り売り圧力に屈した格好でNY午後にかけては反落の流れ。NY終盤のダウ急落と米10年債利回りが0.7%割れでの小幅急低下も重石となって107円60銭台まで下落。ただし、今朝の東京市場では再び108円トライの流れにもあり、節目の107円70銭を超えていることから、目先は108円半ば辺りを目標に上値トライの流れ継続も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/19終値とチャート
20日の国内金価格は+62円、0.95%の反発。大幅安となった前日の下げ幅の8割を戻し、史上最高値圏での小幅保ち合いでダブルトップを形成(する可能性)、史上最高値を更新できずにネックラインの6525円を下回った場合にはダブルトップ完成。ダブルトップの値幅80円分さらに下落すると仮定した場合の水準は6445円、下値目安は6450円近辺まで。高値更新の場合には6650円程度までが短期上値目標に。
プラチナ価格は+74円、2.41%の大幅高で5日続伸。5日続伸以上は今年初で昨年11月以来、半年ぶり。続伸合計上昇率は9.87%となり、2013年1月の7日続伸での11.24%以来、7年4ヵ月ぶりの大幅上昇。ちなみに今年3月25日には1日で11.13%の急騰というケースも。その後伸び悩んだ反発局面が足下で再開した(していた)格好にも。水準的には3月12日(3172)以来、2カ月ぶりの高値水準で、2月高値から3月安値までの半値戻し(3151)付近に到達。次の節目としては90日移動平均線(3252)。当面の下値サポートとして3000円の大台維持がポイントにも。
※参考:金プラチナ国内価格5/20とチャート
- 2020年5月20日(水)時点の相場
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国内金 : 6,587 円 5/20(水) ▲62(0.95%) 国内プラチナ : 3,149 円 5/20(水) ▲74(2.41%) NY金 : 1,745.6 ドル 5/19(火) ▲11.2(0.65%) NYプラチナ : 889.6 ドル 5/19(火) ▲20.3(2.34%) ドル円 : 107.74 円 5/19(火) ▲0.42(0.39%)
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