金プラチナ短期相場観
ISM非製造業景況指数も5月は回復の兆しも雇用は低調
更新日:2020年6月4日(木)
米5月のISM非製造業景況指数は45.4となり、市場予想の44.4を上回り、4月の41.8からも3.6ポイントの上昇。10年ぶりの節目50割れが2ヵ月続きましたが、11年1ヵ月ぶり低水準となった4月からはそれなりの反発幅となって回復基調を示唆する形にもなったようです。
足下では、製造業景況感指数とも同水準で同じような推移となっていますが、製造業の場合は5月まで3ヵ月連続の節目50割れとなり、5月は43.1となって前月比では+1.6ポイントにとどまります。急落前の水準では製造業よりも非製造業のほうが高水準だった分、反発幅も大きくなった、とも言えそうな状況です。
雇用指数でも、製造業と非製造業で似たような推移となっていますが、非製造業は6年間節目50以上での推移が続いた後、3ヵ月連続の節目50割れ、4月の30から5月は31.8へと小反発。製造業の場合は10ヵ月連続の節目50割れで4月の27.5から5月は32.1へと4.6ポイントの反発。急落前の水準では製造業よりも非製造業のほうが高水準だったものの、急落後の反発幅は非製造業のほうが控えめとなったようです。強いて言えば製造業のほうが4月に下げすぎた分、戻りもやや大きめとなった状態のようにも。
なお非製造業では、調査対象の17業種のうち、今回5月に雇用の増加を報告した業種は一つもなく、17業種全てが雇用減となったようです。
この日発表されたADP雇用リポートでは、5月の雇用者数の減少幅は市場予想よりも、4月からも大きく縮小する結果となりましたが、ISMの景況感指数を見る限り、雇用情勢は4月が大底としても、5月もまだ大底に近い低迷状態が続いている様子がうかがえます。
3日のNY金相場は-29.2ドル、1.68%の大幅安で3日続落。コロナバブルの株高・円安、ドル安、金安の流れはこの日も継続。流れを後押ししたのは記録的悪化が続く米雇用指標の悪化レベルが予想ほどではなく、5月に底打ち回復への兆しとなったこと。ADP雇用リポートでは、5月の非農業部門雇用者数が前月比-900万人程度という相変わらず酷い予想に対して結果は-276万人と減少者数が3分の1以下にとどまったことがポジティブ・サプライズとなってしまった様子。サポート候補となっていた20日移動平均線(1726.9)付近で下げ渋っていたNY金は指標発表後に急落、主要レンジ下限となる1700ドルの大台付近まで下落。さらにその後発表された5月のISM非製造業景況指数も予想ほど悪化しなかったことも追い打ちとなって1700ドルの大台割れ、一時5月7日以来ほぼ1ヵ月ぶり安値となる1690ドルまで下落。NY午後には1700ドルを回復したものの、大台維持をかけた攻防状態に。このまましっかりと大台を割れることになれば一段安の展開となって下値目安は4月後半安値圏1670ドル近辺まで。
NYプラチナは-8.2ドル、0.94%の続落。860ドル台後半での小幅保ち合いから微妙に水準を切り下げ、NY市場では860ドルをはさんでの上下動へ、ボラティリティを少し拡大しながらNY引け後にかけて860ドルを割れへと収束。5月後半以降の下値サポート水準860ドル台半ばを少し割り込んで下値トライの様相に。右肩上がりの20日移動平均線(841.4)にサポートされなければ当面の下値目安は4月末高値圏820ドル近辺まで。
ドル円は25銭ほどのドル高円安で0.24%の続伸。4月6日(109.22)以来、ほぼ2ヵ月ぶりのドル高円安水準に。前日の円安急進の流れを受けて東京朝に108円80銭台まで上昇し、短期上値目標108円台到達後の一服感からも調整の展開となって108円40銭台まで反落。しかし、これがこの日の安値となって押し目買い優勢の展開に。米5月雇用指標や景況感指数の結果などを受けて株高・円安の流れが強まって109円手前まで上昇。109円台には若干の抵抗感もある様子も、今朝の東京時間には一時的に109円台に乗せる場面も。ドル円としての過熱感はそれほどでもないものの、欧米主要株価指数には過熱感もあり、調整も入りやすいところ。短期的には上値目標108円台後半に到達済でもあり、若干の行き過ぎとなっても109円台前半程度までか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/2終値とチャート
4日の国内金価格は-76円、1.15%の大幅安となって6日ぶりの反落。短期上値目標6590円近辺にあとわずかとなる6582円で力尽き、くすぶり続けた反落警戒感に引っ張られるように急反落。下げ止まりやすいところで下げ止まりきれなかったNY金の大幅安に連れて下げ幅拡大。前日までの5日続伸での合計値幅154円の半値戻しを1日で達成。ただ、反落後のサポート候補6500円から6520円辺りの範囲内にとどまり、今度は国内金価格にとっても下げ止まりやすい水準にも。6420円台から6580円台までの広めのレンジ半ばに位置し、やや軟調方向優勢か、という状況にも。
プラチナ価格は-30円、0.94%の続落。NYプラチナのサポート割れに連れての続落となり、三角保ち合い上放れからの上値トライへの流れは巻き戻し。三角からボックスへと形状を変えての保ち合い回帰の様相となり、いずれ上下どちらかへそれなりのトレンド形成へと仕切り直し。目先は3140円から3210円までを主要レンジに保ち合いの様相も、NYプラチナが一段安へと向かえば連れ安の可能性も。下限割れなら3020円近辺までが下値目安に。逆に切り返して3210円超へと抜け出せば3280円近辺までが上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格6/3とチャート
- 2020年6月4日(木)時点の相場
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国内金 : 6,506 円 6/4(木) ▼76(1.15%) 国内プラチナ : 3,176 円 6/4(木) ▼30(0.94%) NY金 : 1,704.8 ドル 6/3(水) ▼29.2(1.68%) NYプラチナ : 860.5 ドル 6/3(水) ▼8.2(0.94%) ドル円 : 108.93 円 6/3(水) ▲0.26(0.24%)
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