金プラチナ短期相場観
ドイツ貿易統計、4月の輸出は過去最大の急減
更新日:2020年6月10日(水)
ドイツ連邦統計庁が発表した4月の貿易統計によれば、輸入額は722.1億ユーロとなって2014年12月(706.1)以来、5年4ヵ月ぶりの低水準。前年同月比では-21.6%となり、金融危機時の2009年7月(-23.6%)以来、10年9ヵ月ぶりの減少幅。
輸出は757.5億ユーロで2010年8月(743.9)以来、9年8ヵ月ぶりの低水準。前年同月比では-31.1%となって調査開始の1950年以降で最大の急減。
この結果、輸出大国ドイツの4月貿易収支は35.5億ユーロの黒字。2000年12月(16.8)以来、19年4ヵ月ぶりの低水準となりました。
国別では、中国への輸出が前年同月比-12.6%にとどまったのに対し、フランスへは-48.3%、イタリアも-40.1%、米国でも-35.8%など、4月に感染拡大した主要国への輸出が急減しています。
輸入では、中国からの輸入は前年比+10%、米国からの輸入も+2.4%とわずかながら増加。しかし、フランスからの輸入は-37.3%、イタリアからも-32.5%。
ユーロ圏主要国間では輸出入ともに4月に急減。貿易額の落ち込みからも、ユーロ圏の4月の景気低迷度合いの深さをうかがわれます。
なお、前日発表されたドイツの4月鉱工業生産も前年比-25.3%となり、これも調査開始の1991年1月以降で最大の減少。
先週発表された製造業受注でも、4月は前月比-25.77%となり、2ヵ月連続で調査開始の1991年以降で最大の落ち込みとなっていました。
4月が大底となり、5月にはいったん回復傾向を示す結果となることも予想されますが、その後も回復基調が順調に続くのかどうかが、今後の課題となります。
9日のNY金相場は+16.8ドル、0.99%の続伸で雇用統計前の水準を回復。ナスダックが2日連続の史上最高値更新でザラ場では一時1万ポイント超えとなる一方、ダウは7日ぶりの反落で300ドルの大幅調整、S&P500や欧州主要株価指数なども調整の日。時間外のNY金は東京午後の時間帯に一時的に1700ドルを割れたものの、ダウ先物の急落に呼応する形で急反発。NY朝までに1710ドル半ばへと水準を切り上げるとNY午前のうちに一時1730ドル手前まで上昇。しかしFOMCを目前に控えるタイミングでは節目の1730ドルを超える勢いはなく、20日移動平均線(1727.4)も抵抗線となって1720ドル付近に収束。経済見通しなどの復活も予想されるFOMCでタカ派的な見通しが示されることはあまり予想されず、無事通過となれば比較的底堅い展開にも。いずれ1730ドルの節目超え、となれば上値再トライの流れとなって上値目標は1770ドル台へ。確率的には低いと思われるタカ派的な見通しなどが示されるようだと軟調推移の展開にも、ただし1680ドルが当面の下値サポートに。
NYプラチナは-0.6ドル、0.07%の小反落。欧州時間には金の反発局面には逆行、米株の急落に追随する形となって840ドル台前半まで下落。米株の下げ止まりと金の一段高に連れてNY午前には860ドル台半ばまで反発、下へ行って来いの展開に。長めの下ヒゲを残して底堅さを示し、20日移動平均線(856.4)にもサポートされる形に。しかし、5日連続870ドル前後で上値を押さえられる状態にも。鬼門を超えられず、20日線も維持できなくなれば下値トライ再開にも、830ドルの節目を割れると810ドル程度までの一段安も。
ドル円は60銭超のドル安円高で続落。6月1日(107.57)以来、10日ぶりの安値となり、200日移動平均線(108.42)にはサポートされず、90日移動平均線(108.16)を割れると108円ラインもスルー、5月後半の107円台後半での保ち合いレンジに回帰。引き続きFOMCでのイールドカーブ・コントロールへの警戒感などが意識されて戻り売りの展開が継続。東京時間朝の108円50銭台からNY時間には107円60銭台まで下落し、5月後半からの下値サポート107円50銭台が意識されて下げ渋る状態に。FOMC後に107円50銭台のサポートを割り込むようだと一段安の展開も予想され、下値目安は106円台前半辺りまで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/9終値とチャート
10日の国内金価格は+34円、0.53%高で3日ぶりの反発。6400円近辺を目指した下値トライの流れは巻き戻され、節目の6500円を回復。ただしゆるやかな上昇軌道にある9-21日移動平均線(6259-6518)には届かず、短期的な流れとしては軟調優位の状態は変わらず。FOMC後の展開としては、どちらかと言えばハト派スタンスを支えに堅調な展開も予想されるものの、上方向への節目6580円を超えるような展開は短時間では難しそう。そのうち超えた場合には最高値更新で上値目標は6700円も。下方向には6470円のサポートを割れるようだと5月末安値6420円台までが下値目安に。
プラチナ価格は-13円、0.41%の反落。9日移動平均線(3193)にサポートされてゆるやかに下値を切り上げてきた展開が1ヵ月経過、上値が重くなって流れは逆転。3220円の節目を上抜けて3300円付近を目指す流れとなる可能性よりは、3170円を割り込んで3080円近辺を下値目安に調整局面入りとなる可能性のほうが若干優勢か。
※参考:金プラチナ国内価格6/10とチャート
- 2020年6月10日(水)時点の相場
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国内金 : 6,507 円 6/10(水) ▲34(0.53%) 国内プラチナ : 3,194 円 6/10(水) ▼13(0.41%) NY金 : 1,721.9 ドル 6/9(火) ▲16.8(0.99%) NYプラチナ : 860.6 ドル 6/9(火) ▼0.6(0.07%) ドル円 : 107.76 円 6/9(火) ▼0.63(0.58%)
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