金プラチナ短期相場観
ドル円の長期三角保ち合い、今年3度めの上抜けトライは・・・
更新日:2020年6月9日(火)
アベノミクスの限界点、黒田シーリングとも言われた2015年6月高値125円80銭台と、英国がEU離脱を決めた2016年6月安値99円10銭台を起点とし、延々と続いたドル円の三角保ち合いも丸5年。月足チャートで見るドル円は、今年に入って上抜けトライに2度失敗、下方ブレイクにも一度失敗し、今3度めの上抜けトライ、今年4度めのブレイクトライに挑戦中・・・
今年1回めの上方ブレイクトライは2月半ば。
新型コロナウイルスの感染者数が中国で急増、韓国でも増加し始めて欧米での感染拡大への警戒感も高まり始めた頃。欧米株高の流れが失速し始め、米10年債利回りは過去最低に向けて低下し始め、リスク回避の金高・ドル高の流れが強まり、NY金が6日続伸で7年ぶり高値となる1620ドル台まで上昇した2月20日、ドル円も4日続伸となって10ヵ月ぶり高値となる112円台まで上昇。
その後、NY金もドル円もピークアウトして調整局面へ、感染拡大とリスク回避の株安の流れは一段と強まることに。
ドル円の2回めのブレイクトライは3月前半に、下方向。
危機を察知したFRBは3月3日に0.50%の緊急利下げ。しかし株価の下支えは限定的にとどまり、金価格はサポートされて高値再トライへ、ドル円にとってはドル安材料となってドル安円高の流れが急進。欧州の先陣を切ってイタリアでの1日当たりの新規感染者数が1500人超へと急拡大した3月9日、NY金が7年3ヵ月ぶり高値となる1700ドル台まで上昇した日。OPECプラスの減産合意決裂による原油価格の急落なども影響し、ドル円は3年7ヵ月ぶりとなる3円超の急落で101円台の今年安値。
ドル円の3回めのブレイクトライ、2回めの上抜けトライは3月後半。
16日にはVIX指数が過去最高を記録し、20日前後には欧米主要株価指数が大底をつけ、イタリアの新規感染者数は6千人超のピークをつけ、米国の新規感染者数も1万人超へと急拡大し始めた頃までは金も売られてドル独歩高の流れ。
23日にはコロナ対策第3弾としてFRBが無制限QEを導入。NY金は急反発でドル円は高値圏維持も24日高値111円70銭台でまたしてもピークアウト。
そして6月、ドル円の今年4度めの三角保ち合いブレイクトライ、3度めの上抜けトライは5日の5月雇用統計発表直後。
その可能性がにわかに、急速に高まりました。雇用者数前月比マイナス予想に対して過去最大の増加となるビッグ・サプライズを受けてドル円は2ヵ月半ぶり高値となる109円80銭台まで上昇。
5月から世界各地で経済活動が順次再開され始め、経済指標は4月が大底で5月には回復の兆しも確認され始め、しかし完全回復に向けては長い道のりであることも認識しながらも買われ続ける株高の流れにも連れ高となったドル円は、週が明けて株価の調整にも連れるように、またしてもピークアウトの可能性も・・・。
8日のNY金相場は+22.1ドル、1.31%の大幅反発で週末の雇用統計後の急落の半値戻し。短期下値目安1660ドル近辺に対しては1671ドルまでと少し及ばなかったものの、達成感からの自律反発の流れが時間外からコンスタントに継続。NY午前には1700ドルの大台ラインがいったん抵抗線となる形で上げ渋る場面もあったものの、午後には大台を回復。NY市での経済活動がようやく再開となったこの日、ダウは6日続伸、ナスダックは3ヵ月半ぶりの過去最高値更新など米株高の流れは相変わらず続くなか、全米経済研究所(NBER)の景気循環委員会はリセッション入りを認定。FOMCを控え、当面の緩和スタンス維持も予想されることなどからNY金の下押しも限定的にとどまった様子も。目先は1680ドルから1730ドルまでが主要レンジとなり、再度下抜けの場合にはあらためて1660ドル程度までが下値目安に、上限ブレイクなら高値更新トライ再開で1770ドル台までが上値目標にも。
NYプラチナは+30.8ドル、3.71%の大幅反発で週末の大幅下落分をほぼ取り戻す形となり、20日移動平均線(852.4)も上抜け。週末の雇用統計後には一時820ドル割れへと下値目安820ドル近辺に到達したことで、自律反発の流れが週をまたいで継続、NY朝までに860ドルを回復。日足レベルでは90日移動平均線(830.1)にサポートされた形にもなり、この830ドルラインが目先のサポートとなり、再度下値トライへと向かうようなら810ドル近辺までが下値目安に。上方向には900ドルの大台ラインが当面の抵抗水準。これを上抜けるような展開となった場合には1月安値950ドル近辺までが次の上値目標にも。
ドル円は5営業日ぶりの反落で1円20銭、1.09%の大幅安。週末の高値109円80銭台からゆっくりと調整の動き、東京・欧州時間にかけては109円台半ば辺りでのもみ合いとなって下げ渋る状態も、NY時間には米10年債利回り低下とドル安の流れが強まったことで調整拡大、NY午後には108円20銭台まで下落。今週のFOMCでは、フォワードガイダンス強化に加えてイールドカーブ・コントロールに踏み切る可能性も意識され、ドル安圧力となった模様。今朝の東京市場では株価反落の流れとともに円高優勢の展開に。90日移動平均線(108.17)にサポートされないようだと108円を割れて、1週間前までの107円台後半の保ち合い水準への回帰も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/8終値とチャート
9日の国内金価格は-24円、0.37%の続落。NY金の自律反発を大幅円高に相殺されて5月28日(6459)以来、10日ぶりの安値。やや行き過ぎた株高と円安の巻き戻しがスタートし始めた感もあり、6月に入って急速に進行した円安分が全戻しとなる可能性も。NY金の反発の勢いが限定的となっている状況から、国内金価格にはもう一段の下げ余地も。高値保ち合い下方ブレイクからの短期下値目安6400円近辺を目指す流れがもう少し継続か。
プラチナ価格は+7円、0.22%の小幅反発。NYプラチナの大幅反発が円高圧力を緩和も値動きは限定的に。上下動を繰り返しながら上値も下値も切り上げるパターンは継続しながらもボラティリティは低下傾向となり、上方向への勢いも失速。3170円から3220円までを主要レンジにほぼ中立状態の方向感は抜け出した方向へと傾斜していくことにも。上抜けなら3300円の大台付近を目指す展開へ、下抜けの場合には3080円辺りを目安に大幅調整へも。
※参考:金プラチナ国内価格6/9とチャート
- 2020年6月9日(火)時点の相場
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国内金 : 6,473 円 6/9(火) ▼24(0.37%) 国内プラチナ : 3,207 円 6/9(火) ▲7(0.22%) NY金 : 1,705.1 ドル 6/8(月) ▲22.1(1.31%) NYプラチナ : 861.2 ドル 6/8(月) ▲30.8(3.71%) ドル円 : 108.39 円 6/8(月) ▼1.20(1.09%)
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