金プラチナ短期相場観
ユーロ圏総合PMI、景気縮小4ヵ月も5-6月は大幅緩和
更新日:2020年6月24日(水)
ユーロ圏の6月総合PMIは47.5となり、市場予想の43.0を大幅に上回り、5月の31.9からも急上昇。サービス業PMIが47.3、製造業PMIが46.9でこれらも同様に急上昇。
いずれも4ヵ月ぶりの高水準となり、総合PMIとサービス業PMIは4ヵ月連続で景気縮小となる50割れとなったなかでは最高水準、製造業は17ヵ月連続の50割れ。
3指標全てで4月の過去最低から5-6月は2ヵ月連続の急上昇となり、行動制限解除と経済活動再開効果が顕著に表れる結果に。
総合PMIでは6月に前月比+15.6ポイントとなり、過去最大の急騰となった5月の+18.3ポイントに次いで過去2番めの急上昇。
国別ではフランスが回復基調を牽引、3指標全てで節目の50を回復し、総合PMIとサービス業PMIは4ヵ月ぶり高水準、製造業PMIは1年9ヵ月ぶりの高水準。
ただし、製造業、サービス業ともに生産高は再び低下、新規受注と受注残も大幅減。
特にホテル、レストラン、旅行、観光、その他の消費者向けセクターなどでの打撃は大きく、ソーシャルディスタンスの措置も影響。また、企業や消費者の支出への慎重姿勢も多くの企業での需要低迷要因に。
それでもユーロ圏では国内移動制限の解除に加えて欧州域内での国境をまたぐ移動制限の解除も進行中。
ロックダウンでも先行したイタリアがいち早く解除に動き、6月3日からEU加盟国とシェンゲン協定加盟国、英国他隣接国との移動制限を解除。フランスも15日から同等のエリアを対象に制限を全面解除。ドイツも隣接国とイタリアからの入国制限を15日に終了。スペインでは21日にEU加盟国とシェンゲン協定国、英国からの入国規制を解除(ポルトガルのみ7月1日解禁)。こうした動きも楽観見通しを後押し、来年に向けた見通しはV字回復を期待するような状況にも。
しかし、専門家の見方は慎重姿勢。失業率上昇に企業倒産、人員削減計画、受注減少などの状況からは、回復に向けた初期段階に過ぎない現時点でのV字回復の兆しは、急失速する可能性を警戒する見方も。
ドイツ西部で人口最大のノルトラインウェストファーレン州の一部地域ではこの日、食肉工場で新型コロナウイルスの集団感染が確認され、30日までのロックダウン再開を発表。対象地区の人口は約36万人程度でエリアは限定的ながら、ドイツ国内でのロックダウン再開は初めてとのこと。
景気縮小から拡大方向へとユーロ圏のPMIは急回復の兆しとなっていますが、今後もロックダウン再開が続くようだとPMIの景気縮小再開も警戒されます。
23日のNY金相場は+15.6ドル、0.88%高で3日続伸。2012年10月4日(1796.5)以来、7年8ヵ月ぶりの高値水準。高値では1786.8ドルまでにとどまり、今年4月14日の1788.8ドルにわずかに届かず、2ヵ月ぶりの高値。欧米株高の流れは続き、ナスダックは8日続伸で今週から再び1万ポイント超えとなって2日連続での過去最高値更新。株高でもドル安にサポートされてNY金は欧州時間から堅調推移。短期上値目標1760ドル台到達に伴う一服感は東京時間まで、わずかに1760ドル割れを試す場面では依然底堅く、逆に押し目買いの展開へ。ユーロ圏の6月PMI速報が全て好結果、とりわけ最初に発表されたフランスの結果が予想を大幅に上回ったことを好感してユーロ高急進の反応となり、ユーロ高主導のドル安の流れとなって金はNY朝にかけて1770ドル台半ばへと一段高。NY市場ではソフトバンクグループが米通信大手TモバイルUS株売却報道の余波で推定210億ドルとされる売却規模のドル売り円買いが今後発生する、との思惑から円高圧力も加わってドル安を支援、金はNY午後にかけて1780ドル台へと一段高。NY引け後にも1780ドル半ばから後半を維持する高止まり。目先は過熱感も急速に高まり、反落警戒感も意識されやすい状態にも。サポート候補は1750-60ドル近辺。それでも高止まりが続いて1788.8ドルの今年最高値を上回るようなら、調子に乗ってさらなる行き過ぎとなって大台突破、という展開も?
NYプラチナは+2.7ドル、0.32%の小幅高で3日続伸。6月9日(860.6)以来、2週間ぶりの高値となり、直近高値となっていた6月16日の843.9ドルをわずかに上抜け。ただしこの日は840ドル台を中心に揉み合う形でほぼ横ばい推移の展開となり、NY引け後には840ドル台半ばで小康状態に。またしても20日移動平均線(849.5)に上値を押さえられた形にも。このラインとの攻防が目先の課題となり、850ドル超へと上抜けることになれば上値トライへの流れがもう一段進行。5月末保ち合い水準880ドル近辺までが上値目標に。
ドル円は36銭、0.34%のドル安円高となって5月7日(106.30)以来、1ヵ月半ぶりの安値。前日までのボラティリティ縮小から解き放たれる形で上下に乱高下。東京午前にはナバロ米大統領補佐官の「中国との通商協議は終わった」発言が伝わると106円90銭台から106円70銭台へと急落。しかしその後、ナバロ補佐官自身の趣旨が違うとの釈明発言やクドロー国家経済会議(NEC)委員長の「米中協議は終わっていない」発言、トランプ大統領も「米中貿易合意は完全に無傷だ」とツイートして火消し、リスク回避ムード後退とともに昼過ぎには元の水準を通り越して107円20銭近辺まで反発。しかし上値も重く、この水準での揉み合いが続くと徐々に戻り売り圧力が強まる展開に。ソフトバンクグループの米株売却に伴う巨額の円買いドル売りが意識されるとNY市場にかけてその圧力が強まり、円高の流れが加速。東京時間に下げ渋った106円70銭台を割れるとストップ・ロスを巻き込む形となって一段安。最近の保ち合い下限106円80銭を割り込んだことに伴う下値目安105円90銭台に急接近となる106円付近まで下げたことで、ある程度の達成感も。目先は再度106円前後まで下値を試すかどうか、上値は107円半ばまでが上限に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/23終値とチャート
24日の国内金価格は+20円、0.3%高で3日続伸。5月18日の6603円を上回って1ヵ月ぶりに過去最高値を更新。NY金の短期的な伸びしろは限定的と見ていたことにより、国内金価格の高値保ち合い長期化からの上放れに伴う上値トライへの可能性はかなり低めか、との予想を裏切る展開に。短期的には調整が入る確率はかなり高いとの予想は維持。しかし予想外の展開が続けば一段高の展開に。これまでの最高値6603円から5月末安値6428円までの161.8%戻し=6711円。短期最大目標としては6700円の大台超えも。
プラチナ価格は-2円、0.06%の小幅安で3日ぶりの反落。6月高値3219円から6月安値19日の3031円までの38.2%戻し(3103)手前で足踏み状態に。これを超えて50%戻し(3125)も突破できれば反発基調が強まる展開にも。そうなれば上値目標は76.4%戻し(3175)前後、3180円近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格6/24とチャート
- 2020年6月24日(水)時点の相場
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国内金 : 6,615 円 6/24(水) ▲20(0.30%) 国内プラチナ : 3,088 円 6/24(水) ▼2(0.06%) NY金 : 1,782.0 ドル 6/23(火) ▲15.6(0.88%) NYプラチナ : 846.4 ドル 6/23(火) ▲2.7(0.32%) ドル円 : 106.54 円 6/23(火) ▼0.36(0.34%)
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