金プラチナ短期相場観
失業者数の減少ペースは月間300万人
更新日:2020年7月10日(金)
失業保険申請件数は3月半ばに28万件台から330万件超へ、10倍以上に跳ね上がり、3月末にはピークの680万件超。それ以降は減少傾向が続いて6月末時点では140万件余り。未だ急騰前の5倍の水準。
失業保険継続受給者数は3月半ばに178万件台から300万件超へと急増後、増加傾向がしばらく続いてピークは5月第2週の2490万件超。急増前の水準からはおよそ14倍。この後6月第1週までは2000万人台での微減、概ね横ばい推移となっていましたが、6月末にかけては1800万人台まで減少傾向となっています。
新規失業保険申請件数と継続受給者数との合計を失業者数と見なすと、4月第2週に2千万人を超えた失業者数は5月第2週に2750万人超のピークをつけ、6月末にようやく2千万人を割り込み、1940万人台。
失業者数が順調に減少し始めたように見える、5月末から6月末までの減少数は、2250.3万人-1946.5=303.8万人。
この1ヵ月で約300万人の失業者が復職したことになります。
今後も、1ヵ月あたり300万人づつ失業者数が減少していった場合、6ヵ月後には1800万人の減少。
失業者数の減少ペースが月間300万人を維持できるなら、半年後には急増前、コロナ前の水準まで戻ることになります。
FRB関係者のなかでも、労働市場の回復には時間を要するとの見方が大勢のようですが、一部では楽観視する声も聞かれ始め、セントルイス連銀のブラード総裁は今週、「雇用者のほとんどが90日以内に復職する」とし、「年末の米失業率は8%を下回る可能性が高い」との発言も。
月間300万人ペース以上での復職が続くなら、それも可能かもしれませんが、今後人員削減を予定する企業も既に多数あり、そうなってしまう企業もでてくることも予想される現状からは、復職ペースは途中で失速すると考えるほうが妥当なようにも思われます。
アトランタ連銀のボスティック総裁はこの週末、米国経済が新型コロナ危機前の水準に戻るのは「2021年半ば、もしくは22年までかかるだろう」とのハト派発言。
月間300万人ペースで失業者数が減少し続けた場合でも完全回復は年末から2021年初旬となり、少しでも遅れることになれば「2021年半ば」は妥当な予想のようにも。減少ペースが大幅に乱れるようなことになれば、回復時期はさらに大きく遅れることになります。
9日のNY金相場は-16.8ドル、0.92%安となって5日ぶりの反落。8年10ヵ月ぶり高値と短期上値目標1830ドル到達に伴う達成感からの一服で、想定どおりの調整。時間外には1820ドル台前半での小幅保ち合い推移も1820ドル半ばが重く、株安とドル高の流れが強まったNY午前に1820ドルを割れると調整の動きが加速、一時わずかに1800ドル割れ。ただし心理的サポートとなった1800ドルの大台ライン付近では底堅さも見られ、NY引け後には1810ドル付近まで反発。米国での感染再拡大と経済回復遅延への警戒感は日毎に強まる状況にあり、ナスダックは例外として米株の上値は重くなる状態で相対的にもNY金の高止まりをサポートしやすい状況に。目先は1770ドルから1820ドルまでが主要レンジとなり、下値サポートを1800ドルへと切り上げることができるかどうか、という状態にも。1820ドル超えへと早期上値再トライとなった場合、上値余地は1840ドル程度まで。
90日移動平均はこの日1700.8ドルとなり、2013年2月11日以来、7年5ヵ月ぶりの1700ドル台。
NYプラチナは-37.1ドル、4.2%の大幅安となって4日ぶりの反落。今年の平均騰落値幅17.7ドル(絶対値)の倍以上でも今年11番めの急落。短期上値目標910ドル前後に向けて堅調な流れが進行し始めたかに見えた矢先、牽引役のNY金が一足先に目標水準に到達し、一服感が重石となることが警戒されたとおりの展開に。時間外には一時890ドル台へと水準を切り上げて900ドルの大台も意識されたところで失速、NY金の調整に連れてNY朝に880ドルを割れると840ドル前半まで、40ドルの急落。引け後には850ドルを回復も、200日移動平均線(875.1)超えどころか以前の保ち合い水準へと逆戻り。880ドル台が当面の抵抗水準となり、830ドルの下値サポートのほうが意識されやすい状態にも。目先はこれを維持して保ち合いの展開か。
ドル円は10銭程のドル安円高、0.08%の小幅続落。感染再拡大への警戒感からリスク回避ムードが優勢となり、株安と長期金利低下とドル高、円高の流れが進行。NYダウが500ドル超下落したNY午前にはユーロドルなどではドル高が急速に進行、円高との綱引き状態のドル円は107円30銭台から10銭近辺まで急落後に元の水準へと急反発。乱高下状態となってわずかに円高に傾斜。下値サポートになりつつあった20日移動平均線(107.27)を下抜けたことで円高優勢となりやすい状態にも。今朝の東京市場では20日線に上値を押さえられて戻り売り、日経平均の反落にも連れて107円割れをうかがう展開に。106円台後半までは下げやすく、106円半ばが当面の下値サポートにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/9終値とチャート
10日の国内金価格はわずかに-2円、0.03%安で6日ぶりの反落。連日の過去最高値更新と短期上値目標6780円前後を少し行き過ぎたところでNY金も目標クリア、となれば調整は必然、しかしほぼ変わらずで大台を維持して高止まり。ただし目先は一定の調整余地も想定され、6月安値6473円から前日の最高値6803円までの23.6%戻し(6724)は控えめに見た調整目安。38.2%戻し(6676)から6660円までが短中期的にはやや重要なサポート。これを下抜けた場合には61.8%戻し(6599)近辺、6600円前後までが調整目安にも。
週間ベースでは+101円、1.51%高で3週続伸。
プラチナ価格は-60円、1.89%の大幅安となって4日ぶりの反落。2日分の上げ幅を帳消しにして3日前の水準に逆戻り、3220円前後を目指した流れは大きく巻き戻された形に。ただし、流れが完全に逆転したわけではなく、直近の保ち合い上抜けの水準も維持。ここで反発できれば下値を徐々に切り上げるフォーメーションを維持して短期上昇トレンド継続への望みも。3070円から3180円台までのレンジ半ばに位置し、上抜けできれば5月高値(3227)近辺、3230円前後までが上値目標にも。
金との価格差は7月6日の3642円を大幅に上回る3678円、過去最大を更新。
週間ベースでは+50円、1.63%の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/10とチャート
- 2020年7月10日(金)時点の相場
-
国内金 : 6,800 円 7/10(金) ▼2(0.03%) 国内プラチナ : 3,122 円 7/10(金) ▼60(1.89%) NY金 : 1,803.8 ドル 7/9(木) ▼16.8(0.92%) NYプラチナ : 846.9 ドル 7/9(木) ▼37.1(4.20%) ドル円 : 107.19 円 7/9(木) ▼0.09(0.08%)
失業者数の減少ペースは月間300万人 7/10(金)
米求人件数は5月に急増、それでも1500万件超の求人不足 7/8(水)
ドイツ製造業受注は5月に急回復もコロナ前からは30%減 7/7(火)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン