金プラチナ短期相場観
米求人件数は5月に急増、それでも1500万件超の求人不足
更新日:2020年7月8日(水)
米労働省が発表した月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、5月の求人件数は539.7万件。市場予想の480.0万件を大きく上回り、4月の499.6万件からも急増。なお、4月は2014年12月(498.1)以来、5年4ヵ月ぶりの低水準となっていました。
前月比では8.03%の増加となり、2017年6月(+8.55%)以来、2年11ヵ月ぶりの急増。
これに対して失業者数は3月の714万人から4月には2307.8万人へと激増、5月は2098.5万人と高止まり。なお6月は1775万人へと減少しています。
この結果、2018年以降に失業者数を求人件数が上回っていた状態は今年3月に逆転。3月は求人件数を失業者数が112.9万件上回りました。
これが4月には1808.2万件の求人不足。5月でも1558.8万件の求人不足の状態。
リーマンショック後の求人不足のピークは2009年10月の1293万件(失業者数1535.2万人、求人件数242.2万件)でした。
この後、求人件数が失業者数を上回ったのは2018年1月(+6.3万件:失業者数658.2万人、求人件数664.5万件)。
求人不足を解消するのに要した月日は、9年3ヵ月。
今回は、一定水準までの急回復は予想されるものの、完全回復までの見通しについては、現時点では不透明感を払拭しきれません。
7日のNY金相場は+16.4ドル、0.91%高となって3日続伸。1週間ぶりに今年高値を再更新、2011年9月以来8年10ヵ月ぶりの高値水準に。ドイツの5月鉱工業生産が予想を下回る低調な結果となって前日のユーロ高ドル安の巻き戻しをサポート、欧州時間のユーロ安ドル高の流れに押されて1780ドル付近まで調整の展開。しかし、一定の調整が入れば押し目買いが入る底堅さも健在、NY朝に元の水準1790ドル台半ばを回復してそのまま上値トライの展開へ。1800ドルの節目を超えると一段高となって1810ドルまで急上昇。NY午後にかけては感染第2波懸念が強まるなかでも買われ続けた欧米株の調整の動きが強まったことにも支えられ、1810ドル手前を維持して高止まり。節目の1800ドルをしっかり超えてきたことにより上値余地拡大、短期上値目標は1830ドル程度まで。当面の下値サポートは1770ドル。
NYプラチナは+25.5ドル、3.04%の大幅続伸。6月8日(+30.8ドル、3.71%)以来1ヵ月ぶりの急騰で6月4日(865.0)以来、1ヵ月ぶりの高値水準。金の調整から急反発の動きに追随、欧州時間の調整では一時830ドル割れ。しかし20日移動平均線(832.8)にもサポートされる形にもなり、NY市場にかけての急反発局面では860ドル台半ばまで、30ドル超の急騰。引け後も860ドル台を維持し、日足レベルではレンジを拡大する逆ペナント型の三角保ち合いの上限を大きく上抜けた形となり、振り切った可能性も。当面の上値目標は6月高値圏、910ドル前後まで。
ドル円は20銭弱のドル高円安、0.17%の反発。東京朝の時間帯にユーロドルが前日高値付近、1.1330ドル台で頭打ちとなって失速するとドル安の巻き戻しも進行する形で欧州時間にかけてはユーロ安ドル高の流れが進行。EUによるユーロ圏成長見通し引き下げなどもユーロ安材料となり、相対的なドル高はドル円にも波及。ドル円は東京朝の安値107円20銭台から、欧州時間には107円80銭近辺まで、50銭超の反発。しかし前日高値近辺で頭打ちとなり、ユーロドルの反発と米株の堅調局面にも押される格好でドル安の流れとなって107円半ばへと反落。NY午後には株安の流れとなってドル円は下げ渋り。結果的に20日移動平均線(107.24)に下値を支えられ、90日移動平均線(107.57)が抵抗線となった格好にも。今朝の東京時間には日経平均の反発基調にも連れて107円60銭台へと堅調推移。90日線超えを維持できれば108円の節目までの上値余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/7終値とチャート
8日の国内金価格は+54円、0.8%高となって4日続伸。7月1日の6734円を大きく上回り、1週間ぶりに過去最高値を更新。NY金の大台再トライと高値更新にサポートされ、過熱感とダイバージェンスなど反落警戒感を振り切っての高値更新。短期上値目標、5月高値(6603)から5月末安値(6428)までの200%戻し(6778)にもしっかり到達。達成感から目先は若干の調整も。ただしNY金の上値余地がそうはさせない可能性も。
プラチナ価格は+29円、0.93%の続伸で6月11日(3151)以来、1ヵ月ぶりの高値水準。3100円の節目上抜けに伴う上値トライへの流れが進行、短期トレンドも好転し、6月高値圏3220円前後を当面の上値目標とする短期上昇局面形成へ。
※参考:金プラチナ国内価格7/8とチャート
- 2020年7月8日(水)時点の相場
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国内金 : 6,778 円 7/8(水) ▲54(0.80%) 国内プラチナ : 3,151 円 7/8(水) ▲29(0.93%) NY金 : 1,809.9 ドル 7/7(火) ▲16.4(0.91%) NYプラチナ : 863.2 ドル 7/7(火) ▲25.5(3.04%) ドル円 : 107.54 円 7/7(火) ▲0.18(0.17%)
米求人件数は5月に急増、それでも1500万件超の求人不足 7/8(水)
ドイツ製造業受注は5月に急回復もコロナ前からは30%減 7/7(火)
感染第2波懸念でも株高、国内金価格には高値警戒感も 7/6(月)
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PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン