金プラチナ短期相場観
250ドル超上昇した年のNY金の高値が8月以降となる確率は83%
更新日:2020年7月30日(木)
7月29日時点でNY金の7月の月間平均価格は1839.7ドル。6月の1743.8ドルから急騰し、2011年9月の月間平均1776ドルを大幅に超えて過去最高値を更新することが確実な状況となっています。
前年12月の月間平均価格を基準に、その年の最高値となった月間平均価格までの上昇幅を比較。
2019年12月のNY金の月間平均価格は1486.5ドル。2020年の月間平均価格で最高値は現時点では当然7月の1839.7ドル。
今年の上昇値幅としては353.2ドル。上昇率では23.8%。
意外にも、月間平均価格での年間最高値が前年12月を下回ったことは2008年以降では一度もありません。毎年最低1度は前年末水準を上回る月があります。
今年ここまでの上昇幅を上回ったのは2011年の384.2ドル。過去最高値を記録した9月でした。上昇率でも今年を上回る27.6%。
月間平均で見る年初来騰落値幅で、2020年は過去2番めの大幅高となることが確定し、今後の展開次第では、最も上昇した年となる可能性もあります。
なお、上昇率では2009年(12月)の41.3%が近年最大。最高値圏に向けて1000ドルの大台を超えて急騰した年でした。
ちなみに上昇値幅257.2ドル、上昇率22.7%となった2010年も月間平均最高値は12月でした。
上昇値幅275.9ドル、上昇率25.8%となった2016年の最高値は8月。2019年は258.2ドル、20.5%の上昇で最高値は9月。
NY金が月間平均で最高値となったのが年後半となったのは近年13年のうち、8回。61.5%。
上昇率が20%を超えた年の最高値が年後半となったのは6/7回=85.7%。
上昇値幅が250ドル超となった年の最高値が年後半となったのは6/6=100%。
上昇値幅が250ドル超となった年で、7月が最高値となった例は一度もなし。8月以降が最高値となったのは5/6=83.3%。
9月以降は4/6=66.6%、12月は2/6=33.3%。
過去13年間の実績から見れば、今年NY金の月間平均価格の最高値が8月以降となる確率は83.3%。
29日のNY金相場は+8.8ドル、0.45%の上昇で9連騰。終値ベースでは4日連続、高値では3日連続で過去最高値を更新。9日続伸以上は昨年末から1月7日まで以来、6ヵ月半ぶりで今年2度め。米10年債利回りは0.57%台となって3ヵ月ぶりの低水準、ドル円では4ヵ月半ぶりのドル安、ユーロドルでは2年1ヵ月半ぶりのドル安水準となり、ドル安と長期金利低下に支えられる構図は継続。1950ドルをはさんで小幅揉み合い推移となった時間外から、NY朝には一時1940ドル割れへと売られる場面もあったものの、NY引け後のFOMCを控えて値動きは限定的に。現状維持のFOMCでは景気支援のためにあらゆる手段を活用することを再表明。ハト派スタンス維持を確認する形で1974.9ドルまで急騰し、前日につけた最高値1974.7ドルをわずかに上回るも短期ダブルトップへの警戒感も残す形で急失速。引け後の時間外では1950ドル台後半。目先、1930ドルが軽めのサポート、1900ドルは少し強めのサポートにも。これを割れるとダブルトップのネックライン割れとなって1800ドル付近までが当面の下値目安となるような展開にも。
NYプラチナは-27.7ドル、2.81%安で3日ぶりの反落。前日時間外に1000ドルの大台を回復したところでいったん力尽きた様子。前日NY引け後まもなくの990ドル台半ばがこの日の高値となって大陰線を形成。NY午前の急落で30ドル超水準を切り下げて以降は960ドルをはさんでの保ち合いに。下値は950ドル台のサポート水準で一応下げ止まった形にもなり、これを維持できれば990ドルを上限に高値保ち合い形成も。維持できなければ930ドル近辺までが下値目安に。990ドル超へと切り返すことができれば1020ドル近辺、今年高値圏を目指す流れとなる可能性も。
ドル円は8銭ほどのドル安円高、0.08%安で5日続落。5日続落は4月以来3ヵ月ぶりで今年5度め。低金利を背景にドル安基調は変わらず、しかしこの日は欧州通貨などが主導する円安基調も重なり、105円をはさんでの売り買い交錯で保ち合い推移の展開に。低金利が当面継続見込みであることを確認したFOMCとパウエルFRB議長会見を受けて一時104円70銭台まで下落も、これがこの日の安値となって105円10銭台へと急反発。しかし、これも維持できず104円90銭近辺までのレンジで揉み合い、今朝の東京市場では105円台を回復。軟調推移の展開はもう少し継続見込み、3月安値から戻り高値までの76.4%戻し付近、103円台後半までが当面の下値目標。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/29終値とチャート
30日の国内金価格は+33円、0.46%の反発。2日ぶりで今月9度めの過去最高値更新。FOMCでは緩和スタンス継続を確認し、NY金は高止まり、ドル円はドル安基調にも下げ渋り、最高値圏での小幅保ち合いを形成する国内金価格はわずかに保ち合い上抜けの兆し。過熱感は解消されないまま、もう一段上値を伸ばす可能性も。目先の上値目標としては7300円台。反落の展開で7230円割れへと保ち合い下放れとなった場合には7170円から7150円辺りまでが下値目安に。
プラチナ価格は-64円、1.84%の続落。金の高止まりには追随しきれず、パラジウムの高値圏からの急反落に連れる形で調整局面継続。急騰前の7月16日3122円から直近高値28日の3501円までの23.6%戻し(3412)近辺に到達し、過熱感もそれなりに解消したことで調整一服とはなりやすいところ。しかし、そんなタイミングでさげどまらないこともしばしば。一段安へと向かえば38.2%戻し(3356)近辺が次のサポート候補にも。
金との価格差は29日の3762円を大幅に上回る3859円となって過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格7/30とチャート
- 2020年7月30日(木)時点の相場
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国内金 : 7,268 円 7/30(木) ▲33(0.46%) 国内プラチナ : 3,409 円 7/30(木) ▼64(1.84%) NY金 : 1,953.4 ドル 7/29(水) ▲8.8(0.45%) NYプラチナ : 958.5 ドル 7/29(水) ▼27.7(2.81%) ドル円 : 104.96 円 7/29(水) ▼0.08(0.08%)
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