金プラチナ短期相場観
NY連銀製造業景況感は伸び悩み、NY金は下げ渋り
更新日:2020年8月18日(火)
NY連銀が発表した8月のNY連銀製造業景況指数は3.7。市場予想の15.0程度を大きく下回り、1年8ヵ月ぶり高水準となっていた7月の17.2からも急低下。なんとかプラス圏は維持したものの、NYの連銀管轄地区の製造業景況感はV字回復の兆しから急失速。
構成指数では、新規受注が5ヵ月ぶり高水準となった7月の13.9から8月は-1.7へ、マイナス圏へと急落。出荷も7月の18.5から6.7へと急低下、受注残もプラス圏回復目前だった7月の-0.6から-14.0へ、3ヵ月ぶり低水準へと落ち込んで5ヵ月連続マイナス圏。
そのなかで雇用指数は回復傾向を持続、7月の0.4から2.4へと2ヵ月続伸でプラス圏を維持して半年ぶり高水準。
そして、半年後の見通しを示す期待指数は10年ぶり高水準となった6月の56.5から続落となって34.3。3ヵ月ぶり低水準に。
NY州では7月末までに全ての地域が経済再開の最終段階へ移行しているものの、屋内飲食は禁止状態が延長され、動物園などの33%の収容人数制限など、規制はまだ多く、ジムやフィットネスクラブは先日ようやく再開が許可されて8月24日から再開予定。当然ながらマスク着用義務や33%の収容人数制限付き。
ゆっくりと雇用が回復の可能性を示す状況となっていることは明るい材料ながら、受注が低迷し、冬場に向けた見通しも楽観的にはなれない現状から、NY連銀の製造業景況感は伸び悩んでいます。
これを受けて下げ渋っていたNY金は急反発。再び高値圏再トライの可能性を示す状況にもなってきたようです。
17日のNY金相場は+48.9ドル、2.51%の大幅反発。4月22日(+50.5ドル、2.99%)以来、4ヵ月ぶりで今年9番目の急騰。週明け時間外は1960ドル付近から一時1940ドル割れへと下押しスタート、先週末安値と同水準まで下げて短期ダブルボトムを形成して押し目買いの展開へ。ロンドン時間にネックライン1960ドルを上抜けるとNY朝にはダブルボトムの値幅20ドル超の急騰となって1990ドル台へ、NY午後には一時8月11日以来、1週間ぶりに2000ドルにもワンタッチ。NY朝に発表された8月のNY連銀製造業景況指数が予想を下回ったこともきっかけとなり、米商務省がこの日、華為技術(ファーウェイ)に対する制限措置強化を発表したことで米中関係の一段の悪化が警戒されることも背景に。米10年債利回りの0.7%割れとドル安の流れにもサポートされ、節目の1970ドルを超えたことに伴う短期上値目標2000ドル付近に到達。目先、一服感から1990ドル台を中心に揉み合いの展開も予想されるものの、2000ドルへの抵抗感も予想以上に強くはなさそう。早期上値トライの展開となれば、最高値からの急落幅の76.4%戻し(2038.5)付近、2040ドル近辺が目安にも。
NYプラチナは+8.5ドル、0.89%の反発。チャート形状的には下値警戒感もあったNY金の急反発に牽引される形で下値トライを回避した格好にも。週明け時間外には先週末安値をわずかに下回りながらも重要水準950ドルを維持し、金に連れての反発局面では970ドル台まで上昇。しかし975ドルの高値ではロンドン時間からNY午前まで何度トライしても上値を押さえられ、NY午後には970ドル割れへと押し下げられた格好にも。950ドル台から980ドル台までの保ち合いレンジ半ばでやや上値の重さが気になる状態にも。上方ブレイクできれば今年最高値トライを目標に一段高の展開となる可能性も、下方ブレイクなら8月半ば安値930ドル前後までが下値目安。
ドル円は60銭程度のドル安円高、0.55%の続落で8月10日(105.96)以来、1週間ぶり安値。東京時間には106円60銭台から40銭台までの保ち合い推移、欧州時間からは米長期金利低下とともにドル安の流れとなり、106円台前半へと軟調推移。NY朝にはNY連銀製造業景況指数の下振れや米商務省によるファーウェイへの制限強化措置なども重石となって一段安、NY午後には105円90銭台まで下落。106円回復後の今朝の東京市場では再び下値トライの様相となって105円80銭割れ。長期金利上昇の巻戻しとドル安の流れがもう少し続くことになれば下値サポート105円50銭割れも、そうなれば一段安の展開となって下値目安は7月安値104円付近まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/17終値とチャート
18日の国内金価格は+125円、1.72%の大幅反発で11日(7560)以来、1週間ぶりの高値。右肩上りの21日移動平均線(7227)手前で反発し、7360円の節目を上抜けたことで一段高の可能性。短期上値目標は最高値7676円から12日の7207円までの半値戻し(7442)となる7440円近辺。しかし、最高値から12日までの38.2%戻し(7386)をほぼ達成し、NY金が短期上値目標に到達したことから推進力にはやや欠ける状態にも。
プラチナ価格は+4円、0.11%の小反発。しかし、NYプラチナの伸び悩みを反映し、円高圧力を感じながら短期的な流れも軟調方向へ。この夏の強気トレンドをサポートし続けた9日移動平均線(3554)を割れたまま。3490円台のサポートを割れるようなら調整局面がもう一段進行、下値目安は3430円程度まで。予想外に3600円超へと切り返す展開となれば短期トレンド回復で上値トライへ、上値目標は2-3月の高値保ち合い下限3670円近辺。
※参考:金プラチナ国内価格8/18とチャート
- 2020年8月18日(火)時点の相場
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国内金 : 7,385 円 8/18(火) ▲125(1.72%) 国内プラチナ : 3,518 円 8/18(火) ▲4(0.11%) NY金 : 1,998.7 ドル 8/17(月) ▲48.9(2.51%) NYプラチナ : 967.6 ドル 8/17(月) ▲8.5(0.89%) ドル円 : 106.01 円 8/17(月) ▼0.59(0.55%)
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