金プラチナ短期相場観
実質金利下げ渋りで金の上値を圧迫、NY金は大幅調整
更新日:2020年9月22日(火)
22日に予定されている下院金融委員会でのパウエルFRBの議長の証言テキストが公表され、「パンデミックからの完全回復には長い道のり」と従来スタンスを踏襲、多くの経済指標が著しい改善を示しながらも、コロナ前の水準を大きく下回ったままであることを指摘し、「先行きは極めて不透明」との認識をあらためて示しています。
欧米主要株の調整局面が続き一段安の展開となった21日、米10年債利回りは9月初旬以来、3週間ぶり低水準となる0.66%台へと低下。期待インフレ率も1.62%へ、1ヵ月ぶり低水準へと低下。この結果、実質金利は-0.95%となって8月半ば以来の高水準。実質金利はNY金が終値ベースで最高値となった8月6日に-1.09%、8月31日にも-1.10%と過去最低を二度記録、ダブルボトムを形成し、この日の-0.95%はそのネックラインにも相当。さらなる上昇か、反落か、重要な分岐点を迎えています。
ここまで実質金利の下げ渋りが続いたこともNY金の上値圧迫要因の一つとなり、上値を押さえられ続けたNY金は一足先に保ち合い下放れ、大幅調整の動きとなっています。
ややフライング気味に、下げ過ぎの感もなくもない状況ながら、実質金利がネックラインを超えて一段高へと向かうようなら、NY金の調整局面はもう少し続く可能性も高まりそうです。逆に実質金利がネックラインに上値を押さえられ、反落へと向かうようなら、NY金の調整も一時的にとどまる可能性もありそうです。
強気一辺倒だった金価格の先行き見通しも、「先行きは極めて不透明」にもなりつつあります。
週明け、21日のNY金相場は-51.5ドル、2.62%の大幅反落。最高値からの大幅調整となった8月11日(-93.4ドル、4.58%)以来1ヵ月半ぶりで今年5番めの急落。先週末終値水準1960ドル台前半が戻り高値となり、ロンドン時間から売り圧力が強まる展開。フランスやスペイン、英国などを中心に欧州では新型コロナウイルス感染第2波によるロックダウン再開懸念に加え、JPモルガン・チェースやドイツ銀行など複数のグローバル銀行大手での巨額マネーロンダリング疑惑などもあり、リスク回避の流れで欧州株が大幅続落となって米株へも波及。株安ドル高の流れを受けてNY金は保ち合い下限1940ドル台を下抜けて一段安、NY市場では一時1900ドルを割り込んで8月12日安値(1874.2ドル)以来、1ヵ月半ぶり安値となる1880ドル台まで急落。NY午後にかけては米株の下げ渋りによってドル高も一服となり、1910ドル台、引け後には1920ドル台を回復。日柄調整ではなく、しっかりと値幅調整となって保ち合い下振れに伴う下値目安1870ドル近辺の少し手前で折り返し。下値目安に向けて再トライの可能性も残しながらも8月安値からの二番底をつけ、下ヒゲを残して下げ渋る展開にも。
NYプラチナは-62.4ドル、6.65%の大幅反落。5月21日(-68ドル、7.28%)以来4ヵ月ぶり、今年5番目の急落。デッド・キャット・バウンスからの戻り売りで下げ幅拡大、欧米株安の流れと金の急落には同調せざるを得ず、ロンドン時間に930ドルの節目を割れるとNY朝には900ドルの大台割れ、一時7月20日(845.6)以来2ヵ月ぶり安値850ドル台まで急落。NY午後には下値目安となっていた9月安値圏880ドル前後を回復。目先は下値トライ一服とはなりやすいところだが。
ドル円は14銭のドル高円安、0.13%高となって6日ぶりの反発。リスク回避の株安・ドル高・円高の流れで円高優勢、株式市場が休場の東京時間には104円台半ばから前半へと軟調推移、欧州時間には一段安となって3月12日(103.10)以来、半年ぶり安値となる104円ちょうど付近まで下落。しかしこの水準では底堅く、下げ渋る状態が暫く続くとNY時間には円高圧力後退とともにドル高円安方向へと急反発。一時104円80銭台まで上昇し、104縁台後半を維持しての推移。NY午後にはドル高も一服となり、今朝の東京時間には再び軟調推移の兆しで104円50銭近辺に。104円ラインが強めのサポートとなる状態も、3月安値から高値の76.4%戻し103円60銭台近辺を目安に下値再トライの可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/21終値とチャート
- 2020年9月22日(火)時点の相場
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国内金 : 7,186 円 9/18(金) ▼36(0.50%) 国内プラチナ : 3,461 円 9/18(金) ▼70(1.98%) NY金 : 1,910.6 ドル 9/21(月) ▼51.5(2.62%) NYプラチナ : 876.1 ドル 9/21(月) ▼62.4(6.65%) ドル円 : 104.71 円 9/21(月) ▲0.14(0.13%)
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