金プラチナ短期相場観
想定外のADP雇用マイナス、トリプルブルー、ワシントン混乱
更新日:2021年1月7日(木)
波乱も想定される2021年、この日もいくつかのサプライズ。
感染拡大と行動規制などの影響により、12月の雇用者数の伸びは低調となることが予想されてはいましたが、この日発表されたADP全米雇用リポートでは、12月の雇用者数はまさかの前月比-12.3万人。4月以来、8ヵ月ぶりのマイナス圏となり、ADPではコロナで失われた雇用2000万弱からの回復基調が続き、1000万人の雇用が回復し、失われた雇用は1000万弱まで縮小していました。しかし、回復率にして50%に到達した状態で頭打ち。
週末の雇用統計がネガティブ・サプライズとなった場合に備えての、心の準備にはなったかもしれません。
しかし、市場の注目はこれではなく、ジョージア州の上院決戦投票。
2議席中最低1議席を共和党が勝利してねじれの構図維持へ、トリプルブルーで財政悪化となるよりは、むしろそちらを良しとする見方が優勢だったのは何処へ?
民主党が2議席獲得濃厚となった段階でトリプルブルーと財政出動を想定しての米10年債利回り上昇の勢いが加速。3月以来10ヵ月ぶりの1%台へと上昇した流れは、悪い金利上昇との見方もあったはず・・・。
手のひらを返し、景気回復を想定した金利上昇かのように、リスクオンとばかりに株高・ドル高が進行したこともサプライズとなって金価格の急落を誘発したようです。
さらなるサプライズはワシントンでの混乱。
トランプ大統領の呼びかけによって、トランプ支持者らが議事堂周辺に集まってデモ。これがエスカレートして議事堂への乱入騒動に発展。バイデン氏の大統領選勝利認定をめぐる上下院合同会議の審議が一時中断される事態に。死亡者1名との報道もあり、由々しき事態にも。
その後、議会は再開とも伝えられ、バイデン次期大統領認定へと既定路線どおりに進行するものとは思われるものの、トランプ氏のツイッターアカウントの凍結なども報じられ、事態の複雑さも。
バイデン次期政権にとっては、早速受難の船出を予感させる事態にも。
6日のNY金相場は-45.8ドル、2.34%の大幅安となって6日ぶりの反落。2021年最高値19692.5ドルまで上昇後、NY朝にかけてほぼ60ドルの急落で2021年最安値1902.6ドル。乱高下となって年初の急騰分の大半を帳消し。ただ、1900ドルの大台割れは回避し、NY引けにかけては1920ドル台へと反発。ロンドン市場にかけてのドル安地合いから、NY市場にかけては米10年債利回り上昇とともにドル高の流れへと切り返し、金の戻り売り圧力となった様子。水準的には上昇チャネル上限にぶつかっての反落で下限ラインまで急落して下げ止まり、少し反発した状態。目先、1950ドル台から1910ドル付近までが上下の節目となって概ねこの範囲内、上昇チャネルを維持しての推移が想定されそう。
NYプラチナは-9.4ドル、0.84%の反落。NY朝にかけての金の急落に追随した場面では、1120ドル台半ばから1090ドル割れまで、40ドル弱にとどめてその後の反発局面では1110ドル台を回復。年初の乱高下の続きとなっての大幅反落を回避、下げ渋る形で意外にも底堅さを見せた格好にも。目先は1120ドルが上限となり、この日の安値1080ドル台が下値サポート候補に。上方向に抜け出す展開となれば、4日の急騰でつけた今年最高値1140ドル台が短期上値目標に。
ドル円は30銭程のドル高円安、0.28%高で3日ぶりの反発。102円70銭台を中心に小幅保ち合い推移となった東京・欧州時間から、NY時間にかけてはトリプルブルーへの思惑から米10年債利回り上昇の流れが加速したことに牽引され、株高・ドル高の流れとなって103円40銭台まで上昇。しかし右肩下がりの20日移動平均線(103.52)手前で失速すると、NY午後にかけては巻き戻しの展開となって一時103円割れ。短期的な流れとしては下値目安102円80銭前後にしっかり到達した後の一服状態に、102円70銭が目先の下値サポートとなり、これを下回るようだと改めて102円近辺までの下値トライにも。上方向には103円80銭が引き続き当面の抵抗水準。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/6終値とチャート
7日の国内金価格は-68円、0.97%安となって5日ぶりの反落。11月末安値を起点とする反発局面は継続しながらも、ゆるやかに下降する90日移動平均線(6976)超えを維持できず、若干の行き切れ感も露呈。ゆるやかな上昇基調が続く21日移動平均線(6793)とその上で平行推移の9日移動平均線(6879)にサポートされる状態が続けば、短期上昇トレンド維持へ。7020円の節目を上抜けできれば11月高値7060円台が上値目標に。
プラチナ価格は+3円、0.08%の小幅高で6日続伸。6日続伸は12月7日以来、1ヵ月ぶりで昨年来では5度め。3年10ヵ月ぶり高値圏でのジリ高推移となり、2013年高値(5445)から2020年安値(2422)までの半値戻し(3934)に到達。中期的には4000円の大台ライン、月足・一目均衡表の雲の上限(4052)などが意識される状況ながら、短期的には足場固めも必要に。12月末安値(3635)から今年高値となったこの日までの23.6%戻し(3863)辺りまでがサポートの目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格1/7とチャート
- 2021年1月7日(木)時点の相場
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国内金 : 6,948 円 1/7(木) ▼68(0.97%) 国内プラチナ : 3,934 円 1/7(木) ▲3(0.08%) NY金 : 1,908.6 ドル 1/6(水) ▼45.8(2.34%) NYプラチナ : 1,110.2 ドル 1/6(水) ▼9.4(0.84%) ドル円 : 103.03 円 1/6(水) ▲0.29(0.28%)
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