金プラチナ短期相場観
2020年世界のプラチナ産出量は3年連続減
更新日:2021年2月10日(水)
米国地質調査所の発表によれば、2020年の世界全体のプラチナ産出量は170トン。
2019年の186トンからは8.6%の減産となり、近年のピークとなった2017年の199トンから、2018年の190トンを経て3年連続の減産。
2015年以降では最低水準となり、前年からの減少幅は最大。
世界有数の鉱業資材供給国である南アフリカでのPGMの生産は、COVID-19パンデミックに伴う一時的な鉱山封鎖や人件費の増加、電力コストの増加なども影響し、前年比-11.1%(パラジウム-13.3%、プラチナ-9.8%)。 信頼性の低い電力供給や深層採掘に関連する課題なども浮き彫りとなったようです。
プラチナに限れば南アフリカでも産出量は直近6年間で最小となり、減少幅は最大。
2020年プラチナ産出量トップ5:産出量、前年比、シェア
1:南アフリカ:120トン、-9.8%、70.6%
2:ロシア:21トン、-12.5%、12.4%
3;ジンバブエ:14トン、+3.7%、8.2%
4:カナダ:7.8トン、+-0.0%、4.6%
5:米国:4トン、-3.6%、2.4%
その他:3.8トン、+1.9%、2.2%
南アフリカのシェアは2016年(69.6%)以来の低水準となり、ロシアのシェアは前年の12.9%から小幅に低下。相対的にジンバブエが前年の7.3%から拡大。
9日のNY金相場は+3.3ドル、0.18%の小幅高で3日続伸。2月1日(1863.9)以来、1週間ぶりの水準を回復。ただし20日移動平均線(1843.0)上抜けに失敗し、1月後半の保ち合い水準下限付近で上ヒゲを残して失速感も。米10年債利回り低下とドル高の巻き戻しの流れが続いたことにサポートされて時間外に1830ドル台から1840ドル台へと水準を切り上げ、ロンドン市場でつけた高値は1849.5ドル。1850ドルの節目に届かず頭打ち、NY朝には米10年債利回りの反発を受けて1830ドル台へと反落。1790ドルから1860ドル台までの広めのレンジ中程に位置し、20日移動平均線が目先の抵抗線候補となってその上には200日移動平均線(1855.4)、節目の1860ドル台のすぐ上には90日移動平均線(1872.5)も。これらを全て上抜けることができたなら1920ドル台を目標に上昇トレンド形成へと向かう可能性も。サポート候補があまり見当たらない下方向へと切り返して節目割れの場合には11月安値1770ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは+19.2ドル、1.63%の大幅高で3日続伸。2015年2月13日(1207.5)以来、ほぼ6年ぶり高値となって短期上値目標1190ドル台にしっかり到達。前日NY引け後の1170ドル付近が浅めの押し目買いポイントにもなった様子で時間外序盤から金の堅調推移にも連れ、東京午後の時間帯までに1190ドル台へと水準を切り上げるとNY市場では1200ドルの大台を何度か試し、高値では1206.4ドルまで上昇。目標水準をオーバーランしての大台回復を維持することこそできなかったものの、抵抗感はあっさり払拭。目先、達成感から一定の調整をはさんでもいずれ大台再トライへも。下値サポート候補は1140ドル。
金との価格差は643.1ドル、昨年2月20日(641.5)以来ほぼ1年ぶりの水準で一段と縮小。
ドル円は60銭のドル安円高、0.57%安となって3日続落。ドル高の巻き戻しの流れが3日めにしてやや加速した格好となり、東京朝の105円20銭台がこの日の高値となって軟調推移。米10年債利回り低下とともにドル全面安となって105円をあっさり割れると欧州朝までに104円80銭台へ。昨年3月高値から年初の安値までの23.6%戻し(104.75)近辺では下げ渋るもサポートし切れず、104円50銭近辺まで下げてNY時間には小康状態に。104円50銭までが下限となるかどうか、90日移動平均線(104.31)辺りまででサポートされれば105円60銭を上限に保ち合いの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/9終値とチャート
10日の国内金価格は-16円、0.24%安となって3日ぶりの反落。NY金の小幅高では円高分を相殺し切れず、軟調地合いから中立状態まで回復していた国内価格の短期トレンドも好転し切れず。1月半ば以降、1ヵ月に渡る保ち合い傾向の中心レンジに位置し、新たなトレンド形成に向けた前段階の様相にも。目先、6770円の節目を上抜けると上昇トレンド形成へと向かう可能性、6900円台回復が目標に。下方向には6660円台が当面のサポートに。
プラチナ価格は+43円、1.01%高で5日続伸。5日続伸は年初以来1ヵ月ぶりで今年2度め。2015年8月24日(4290)以来、5年半ぶり高値での一段高となり、2013年高値(5445)から2020年安値(2422)までの61.8%戻し(4290)付近に到達。長期的な節目水準到達とNYプラチナの短期上値目標到達からの一服感も。なお、中期的な上値目標となりうる水準としては昨年3月安値から8月高値までの値幅=1233円。これを11月安値(3096)を起点に加算すると4329円。
金との価格差は2463円、昨年2月20日(2383)以来ほぼ1年ぶりの水準で急縮小。
※参考:金プラチナ国内価格2/10とチャート
- 2021年2月10日(水)時点の相場
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国内金 : 6,749 円 2/10(水) ▼16(0.24%) 国内プラチナ : 4,286 円 2/10(水) ▲43(1.01%) NY金 : 1,837.5 ドル 2/9(火) ▲3.3(0.18%) NYプラチナ : 1,194.4 ドル 2/9(火) ▲19.2(1.63%) ドル円 : 104.62 円 2/9(火) ▼0.60(0.57%)
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