金プラチナ短期相場観
NY連銀消費者調査でインフレ期待は2ヵ月連続過去最高
更新日:2021年7月13日(火)
「インフレ上昇は一時的」とのFRB見方、FOMC執行部の見通しは市場には浸透し切れてはいないようです。
NY連銀の6月消費者調査の結果によれば、1年期待インフレ中央値は4.8%。5月の4.0%から一段と上昇し、2ヵ月連続の過去最高。昨年秋以降は8ヵ月連続の上昇となり、足下では急騰局面を形成中。
3年期待インフレ中央値は3.55%。7年9ヵ月ぶり高水準となった5月の3.57%からはわずかに低下。1年先のインフレ急騰状態からは落ち着く予想となってはいるものの、相対的には高止まり状態を予想する消費者が多いようです。
なお、ミシガン大発表の1年期待インフレは6月に4.2%。10年ぶり高水準となった5月の4.6%からはやや低下しましたが、こちらでも依然として高止まり状態となっています。
NY連銀の労働市場に関する調査では、1年以内の失業を意識する人の割合は6月に10.94%。5月の12.61%をさらに下回り、2ヵ月連続過去最低。また、1年後の失業率が現在よりも上昇すると予想する人の割合は6月に30.68%。5月の31.9%から一段と低下し、2ヵ月連続過去最低。
NY連銀の5-6月調査によれば「労働市場は今後、過去最大レベルの改善傾向となり、インフレは過去最高水準に高騰するだろう」との見方が主流となっています。
12日のNY金相場は-4.7ドル、0.26%の小幅反落。週明け時間外序盤に1810ドルをわずかに超えたのがこの日の高値となって軟調な展開に。ロンドン時間まではゆるやかなドル高基調が重石となって1800ドル近辺まで下落。大台ライン付近では揉み合いとなって下げ渋るもNY市場では米10年債利回り上昇とともにドル高の勢いが強まったことを受けて1790ドル付近まで10ドル程の急落。しかし、大台割れでは底堅く買い支えられ、ドル高一服にも連れて急反発、程なく大台を回復するとNY午後には1800ドル台後半へとジリ高推移。結果的に7月に入って1790ドルの節目を上抜け、短期上値目標1820ドル近辺に対しては8日高値で1819.5ドルまで上昇して到達。これでいったんは上値トライ一服となり、下値は90日移動平均線(1792.8)にサポートされながら、これを1800ドルの大台へと切り上げようかという状態にも。目先は1810ドル近辺が上値抵抗水準となり、これをしっかり上抜けることができれば上値目標1830ドル近辺を目指す流れにも。
NYプラチナは+27.3ドル、2.49%の大幅続伸。上げ幅としては4月6日(+30.7ドル、2.54%)以来3ヵ月ぶりで今年9番めの急騰。6月16日(1141.9)以来、ほぼ1ヵ月ぶり高値となり、1090ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1120ドル台にもいきなり到達。1100ドルで上値を押さえられる状態でスタートした週明け時間外はロンドン時間にかけて1080ドル台半ばまでの押し目を形成、NY市場にかけて切り返すと1100ドルの節目超えではいったん上げ渋るもこれを振り切るとNY午後には1110ドルを超えて1120ドル台前半まで急騰。目先は上値トライ一服となりやすく、急騰後の急反落も警戒しながら1100ドル近辺までで足場固めができるかどうか。
ドル円は20銭程のドル高円安、0.19%の続伸。週明け東京市場朝からやや乱高下気味の展開、110円20銭台まで上昇後に110円ちょうど近辺まで急反落も、株高の流れにも連れて110円20銭近辺まで切り返し、110円10銭をはさんでの揉み合い状態が欧州時間まで継続。110円をわずかに割り込む場面もありながらNY時間にかけては米長期金利上昇とともにドル高優勢の流れとなって一時110円40銭近辺まで上昇。米株主要3指数が連日の過去最高値更新となり、リスク選好の円安にもサポートされた格好。109円70銭から111円60銭までのレンジ内で下値サポートを110円に切り上げつつあり、上値をどこまで切り上げられるかという状況にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/12終値とチャート
13日の国内金価格は+6円、0.09%の小幅続伸。7月に入ってゆるやかな上昇軌道に転じ、サポートラインとなっている9日移動平均線(6971)が右肩下がりの21日移動平均線(6963)を上抜け、並び順だけでは強気のパーフェクトオーダーを完成。ただし21日線の傾きがサポート力の弱さを象徴し、価格水準も8日の7007円と並んで上方向へと抜け切れない状態。上抜けできれば7050円程度を目安にもう一段の上値トライへ。
プラチナ価格は+75円、1.76%の続伸。6月17日(4363)以来、ほぼ1ヵ月ぶりの高値となり、5月18日(4744)起点の抵抗線も明確にに上抜けて保ち合い上放れ。短期上値目標4380円台辺りまでを目指す流れが進行する可能性。しかしながらタイミング的にはNY金の上昇一服とNYプラチナの上値目標到達直後となり、推進力に欠ける状態にも。9日移動平均線(4239)が21日移動平均線(4246)を上抜けてサポートラインとなるかどうか。
※参考:金プラチナ国内価格7/13とチャート
- 2021年7月13日(火)時点の相場
-
国内金 : 7,007 円 7/13(火) ▲6(0.09%) 国内プラチナ : 4,331 円 7/13(火) ▲75(1.76%) NY金 : 1,805.9 ドル 7/12(月) ▼4.7(0.26%) NYプラチナ : 1,123.0 ドル 7/12(月) ▲27.3(2.49%) ドル円 : 110.35 円 7/12(月) ▲0.21(0.19%)
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