金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

2年ぶりの行き過ぎた円安水準からの巻戻しフェーズ

更新日:2021年7月10日(土)

実質実効為替レートとNY金 2021年5月BIS(国際決済銀行)が発表する実質実効為替レート*では、米ドルは5月時点で114.32ポイント。今年1月には112.37と2年9ヵ月ぶりの低水準となった後、3月以降は114ポイント台での推移が続きます。
10年移動平均では、5月時点で108.81。2015年以降、米ドルはゆるやかな上昇傾向、ドル高基調にあります。
実質実効為替レートの10年移動平均乖離率では、2016年12月には+17%、2020年4月には+16%。トランプ前大統領当選後のトランプラリー、コロナショックなどではやや行き過ぎたドル高となっていましたが、今年1月には乖離率+3.9%まで縮小後、春以降は+5%台での推移が続きます。

これに対して日本円の10年移動平均線の傾きは、米ドルの上昇基調以上の急角度で下落しています。最近では、ドル高以上に円安の勢いが強まっています。
日本円の実質実効為替レートの10年移動平均乖離率では、昨年のコロナショック直後の5月には-2.6%まで縮小、相対的には円高となって行き過ぎた円安の是正局面となりました。
しかし、その後は実質実効為替レートの一段安とともに乖離率もマイナス方向へと急拡大。5月時点では-11.3%となり、2019年4月(-11.8%)以来、2年1ヵ月ぶりの「行き過ぎた円安水準」となっています。

6月にはもう一段のドル高と円安が進行することにもなりそうですが、7月に入ってようやく、少し行き過ぎたドル高の是正と、2年以上ぶりの行き過ぎた円安からの巻戻しフェーズが進行し始めた様子も見受けられます。

なお、NY金の10年移動平均乖離率は昨年夏から今年1月まで+30%台(最高値更新の8月は+43%)の買われ過ぎ状態が続き、今年3月には+21.7%と1年ぶり低水準へと縮小。5月には再び+30.5%へと過熱しましたが、6月には早速+29.2%へと巻戻しの展開となっています。

*:世界主要61カ国を対象に算出、主要貿易相手国との為替レートを貿易額に応じて加重平均、物価調整を含めて指数化。

NY金・日足チャート 2021/6/4 - 7/99日のNY金相場は+10.4ドル、0.58%の反発。6月16日(1861.4)以来、3週間ぶりの高値。ロンドン・NY朝にかけて散発的に1800ドルを割れる場面もあったものの、1790ドル台後半までと限定的、概ね1800ドル台を維持しての小幅保ち合い推移となり、NY午後には1810ドル台を試す場面も。米10年債利回りが1.3%台へと反発基調となったことが重石となりながらも、前日からのドル安の流れが一段と強まったことにサポートされた様子。また、次週のパウエルFRB議長の議会証言用の原稿では「金融政策による強力な支援を今後も続ける」ことを改めて強調したことも米株主要3指数の最高値更新とともに金の下値も支えた格好に。短期的には上値目標1820ドル近辺到達済で一服感も生じやすい状況ながら、堅調な流れを維持してジワリと水準を切り上げる展開に。急降下を続ける20日移動平均線(1799.4)を上抜け、ゆるやかな上昇の兆しの90日移動平均線(1791.8)や1800ドルの大台ライン他、複数のサポートライン候補に下値を支えられつつあり、目先は1800-1820ドルが主要レンジ候補。上方向への行き過ぎ警戒水準としては5月半ばの保ち合い上限1840ドル台、下振れ警戒水準としては春以降の保ち合い形成水準1780ドル。
週間ベースでは+27.3ドル、1.53%高で3週続伸。3週続伸以上は5月に続いて今年2度め。

NYプラチナ・日足チャート 2021/6/4 - 7/9NYプラチナは+21.2ドル、1.97%高となって4日ぶりの反発。6月28日(1099.5)以来、2週間ぶりの高値。1070ドル台からロンドン市場で1060ドル台半ばまで、小幅下押し後に押し目買いの展開へ。1080ドル台まで急騰後はNY朝にかけて1090ドルの節目との攻防、これを突破するとNY午後には1100ドルとの攻防へ。ゆるやかな上昇軌道を維持する200日移動平均線(1088.5)を上抜け、5月後半以降の抵抗線となってきた20日移動平均線(1092.8)もわずかに上抜け。1090ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1120ドル台を目指す流れがスタート。まずは若干の抵抗感もある1100ドルラインとの攻防から。
週間ベースでは+8.0ドル、0.74%の反発。

ドル円・日足チャート 2021/6/7 - 7/9ドル円は38銭程のドル高円安、0.35%の反発。前日の行き過ぎたリスク回避の流れの巻戻しが進行。東京朝の109円70銭近辺がこの日の安値となり、ゆるやかなドル高円安基調に支えられて午後には110円台を回復、欧州時間序盤には110円10銭台へ。欧州・NY時間にはドル安の流れが急速に進行も、リスクオンの株高・円安の流れとで相殺、揉み合いながらも一時110円20銭台まで反発する場面も。短期的には109円割れを目指した流れは早々に巻き戻されて下値トライは失敗、109円70銭が当面の下値サポートとなり、上方向には20日移動平均線(110.59)近辺が抵抗水準候補。
週間ベースでは-89銭、0.8%安となって5週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/9終値とチャート

2021年7月10日(土)時点の相場
国内金6,961 円 7/9(金) ▼46(0.66%)
国内プラチナ4,165 円 7/9(金) ▼51(1.21%)
NY金1,810.6 ドル 7/9(金) ▲10.4(0.58%)
NYプラチナ1,095.7 ドル 7/9(金) ▲21.2(1.97%)
ドル円110.14 円 7/9(金) ▲0.38(0.35%)

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