金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

ADP半減に急騰もISM過去最高に急反落、金は上に行って来い

更新日:2021年8月5日(木)

コロナ後の米雇用回復状況 NFP×ADP 2021年7月ADPがこの日発表した7月の民間雇用者数は前月比+33.0万人。市場予想の+68.3万人程度の半分以下にとどまり、6月の+68.0万人からも半減。5ヵ月ぶりの小幅増は雇用統計前でもネガティブ・サプライズとなって金利急低下とドル安急進となり、金買いも進行。雇用統計もそこそこ低調な結果となれば長期金利低下とドル売り金買いの流れが一段と進行する展開へ、との予想は2時間も経たずに打ち消されることに。

その後発表された7月のISM非製造業景況指数は市場予想の60.5を大幅に上回る64.1。6月の60.1からも急騰、5月の64.0をわずかに上回って2ヵ月ぶりに過去最高を更新。
我に返ったように、行き過ぎた流れは是正されることとなって展開は逆流。金利とドルは急反発、金は急反落となって元の水準へと行って来い。
米10年債利回りとNY金は巻戻しの流れでは多少のオーバーランも、程なく元の水準へと収束したのに対し、ドルインデックスではドル高方向へのオーバーランを維持しての推移が継続。

クラリダFRB副議長がこの日、「利上げに必要な条件は22年末までに満たされる」とし、「23年の利上げ開始」を支持するとの発言がタカ派的と解釈されたフシもあり、若干のドル高をサポートした可能性も。時期的な見通しは従来から変わらず、むしろ前回6月ドットチャートで利上げ前倒し予想者が増加したことには同調しないスタンスを示したことにもなるものの、副議長クラスの発言をやや重く受け止めた感も。

なお、ADPベースで見た雇用者数はコロナ前と比較して7月時点では-650万人程度まで縮小。ADP雇用者数は前月比3ヵ月平均は7月時点で+63.1万人。今後、毎月60万人ペースで増加し続けた場合、コロナで失われた雇用は、あと11ヵ月で100%回復することになります。そうなれば、2022年6月に100%回復。50万人ペースへと鈍化した場合でも残り13ヵ月、2022年8月には100%回復可能となります。

そうなればADPベースの雇用者数としては、「利上げに必要な条件は22年末までに」としたクラリダ副議長の見通しが「満たされる」ことになりそうです。

NY金・日足チャート 2021/6/30 - 8/44日のNY金相場はわずかに+0.4ドル、0.02%の小反発。時間外序盤に1810ドル台前半から後半へとわずかに保ち合い水準を切り上げ、1810ドル台半ばの保ち合い下限割れから反発の兆し。ただし1820ドル手前では上値も重く、小幅揉み合い推移でロンドン市場を通過するとNY朝には米7月ADP雇用の想定外の大幅下振れを受けて急騰。1820ドル台の節目を突き抜けて1835ドルまで水準を切り上げ、雇用統計前に上値トライへと動き出したかにも見えた矢先、今度は米7月ISM非製造業景況指数が予想以上の好結果となって流れが逆流、ドル急反発に押されて元の水準へと急反落、一時1810ドル割れへと一段安。若干のオーバーランでは90日移動平均線(1809.9)にもサポートされて1810ドル台半ばへと自律反発。何事もなかったかのように節目水準での攻防状態再開へ。雇用統計の結果次第では上へも下へも大きく動き出す可能性があることを確認する格好にも。1810ドル台の節目割れへの流れが加速するようなら下値目安1780ドル近辺に向けてへ下落基調へ。1820ドル台の節目を再度上抜けると上値目標1860ドル台を目指す流れへ。

NYプラチナ・日足チャート 2021/6/30 - 8/4NYプラチナは-25.6ドル、2.45%の大幅続落。終値ベースでは今年安値を更新、昨年12月23日(1017.1)以来、7ヵ月半ぶりの安値。保ち合い下限1040ドル台での揉み合い推移となって時間外は下げ渋り、NY朝にはADPの結果を受けての金急騰に追随も高値は1050ドル台前半までと限定的。前日高値にも届かず1060ドルの節目には全く及ばず、ISM後の急反落では1040ドル台の節目を下抜けると一段安、1020ドル割れへと30ドル超の急落となり安値では1016.6ドルまで下落。節目割れに伴う下値目安、6月安値1020ドル前後にもいきなり到達。自律反発でも1020ドル台半ばが超えられず、NY引け後には1010ドル台半ばへと下値トライ継続の様相にも。行き過ぎ警戒水準として今年最安値となった1月11日の1011ドルから1000ドルの大台ライン付近までが意識される可能性も。
金との価格差は793.2ドルとなり、1月11日(806.2)以来ほぼ7ヵ月ぶりの水準まで拡大。

ドル円・日足チャート 2021/7/1 - 8/4ドル円は45銭のドル高円安、0.41%高で3日ぶりの反発。東京時間の109円をはさんでの小幅保ち合い推移から、欧州時間には109円20銭台まで小幅に反発の兆し。NY朝にはADP雇用下振れを受けて108円70銭台まで急落し、5月26日(108.72)以来2ヵ月半ぶり安値をつけたところで短期下値目安108円前後を目指した流れは切り返し。ISM非製造業景況指数が上振れると米10年債利回り急上昇に連れて反発、109円60銭台まで急騰。雇用統計前のフライングでの下値トライには失敗し、109円ラインが当面の下値サポートとなって109円80銭までのレンジで保ち合いを形成して雇用統計待ちへ。あらためて下限割れなら再度108円付近を目指す流れへ、上限突破ならトレンド転換への可能性、今年高値圏111円台半ばを目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/4終値とチャート

5日の国内金価格は+38円、0.55%高となって4日ぶりの反発。上昇軌道を維持する90日移動平均線(6947)下抜けからはわずか1日で脱出。前回6月30日にも1日だけ90日線を下抜けて即反発しており、中期上昇トレンドのサポートラインとしての存在感をアピール。6850円近辺を下値目安とした流れは早々に巻き戻され、下降する9日移動平均線(6974)も上抜け、水平状態の21日移動平均線(6989)との攻防も意識される状況に。これを上抜けできれば地合い好転へ、7020円台の節目も上抜けると上値トライ再開へ、7130円近辺までが上値目標に。あらためて6930円台のサポートを割れると下値トライ再開、6月安値圏6820円近辺までが下値目標に。

プラチナ価格は-79円、1.97%安で3日続落。円高の巻戻しでは相殺し切れないNYプラチナの一段安で過熱感を高めながらの下値トライ継続、下値目安3980円近辺に到達してもなお下げ止まらず、1月29日(3903)以来、半年ぶりの安値。時間外のNYプラチナが下げ止まらず、早くも大台ライン付近が意識される状況となり、自律反発もままならない場合には1月末安値圏3870円近辺がさらなる下値警戒水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格8/5とチャート

2021年8月5日(木)時点の相場
国内金6,976 円 8/5(木) ▲38(0.55%)
国内プラチナ3,925 円 8/5(木) ▼79(1.97%)
NY金1,814.5 ドル 8/4(水) ▲0.4(0.02%)
NYプラチナ1,021.3 ドル 8/4(水) ▼25.6(2.45%)
ドル円109.48 円 8/4(水) ▲0.45(0.41%)

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