金プラチナ短期相場観

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米7月小売売上高も低調もドル売りは限定的に

更新日:2021年8月18日(水)

小売売上高(前年比)米国vs中国 2021年7月ミシガン大の消費者信頼感指数が7-8月にかけて急低下し、消費センチメントはこの夏に急速に弱まっている可能性が示され、その通りの結果がハードデータでも示された格好となりました。
商務省発表の7月小売売上高は前月比-0.3%予想を超える-1.1%と低調。自動車を除くデータでも前月比+0.2%予想に対して-0.4%。消費のサービスシフトとともにインフレ懸念の影響も指摘されており、昨今のデルタ株による感染再拡大に伴う規制再開やこのところのインフレ高止まりが影響した様子。

なお、前年比では+15.78%となり、コロナ後のピークとなった今年4月の前年比+53.42%からは3ヵ月連続の低下。ただし1993年以降の長期平均+4.56%を大きく上回り、コロナ前のピークとなった2019年12月の前年比+5.49%も大きく上回る水準を維持。

また、今週発表された中国の7月小売売上高は前年比+8.5%となっており、市場予想の+11.5%を大幅に下回り、6月の前月比+12.1%からも急減速となる低調な結果。水準的には(公式には)コロナ前の2019年12月の前年比+8.0%にかなり接近、その年のピークで(実質コロナ前のピークかもしれない)6月の前年比+9.8%を既に大きく下回る状態。
コロナ後の回復ピーク時期がずれていることもあるものの、その後のピークアウト局面にあるのは中国も米国も同様。そのなかにあって比較的米国のほうが高水準を維持する状況にはあるようです。

とはいえ、世界の2大消費市場で減速が鮮明となっています。

NY金・日足チャート 2021/7/14 - 8/1717日のNY金相場は-2.0ドル、0.11%の小幅安で3日ぶりの反落。1790ドルの攻防をロンドン序盤に抜け出しての上値トライは1797.6ドルまで。1800ドルの大台手前で上値を押さえられる状態がしばらく続くとNY朝には米7月小売売上高が想定以上の下振れ。ただし消費者信頼感など事前のソフトデータの低調な結果からある程度想定できた結果でもあり、これを受け止めた上でインフレ懸念も含めて米10年債利回りが1.2%台前半から後半へと上昇、ドル高の流れも強まる展開となり、NY金は揉み合いながらも反落へ。NY午後にかけて1790ドルを割れると安値では1782.1ドルまで、一方的に売り圧力が強まる状況でもなく、むしろアフガン情勢などの地政学リスクへの警戒感もくすぶる状況からは下げ渋り。結果的に1790ドルの抵抗感払拭も1800ドルの大台ラインが抵抗水準としての存在感を示し、浅めのサポート候補1780ドルで下値も支えられた格好に。目先は20日移動平均線(1790.2)を含む1790ドルとの攻防から再開、大台までの水準がやや強めの抵抗帯にも、下方向にも1780ドルから1760ドルまでが厚めのサポート水準として下支え。

NYプラチナ・日足チャート 2021/7/14 - 8/17NYプラチナは-27.3ドル、2.67%の大幅続落で8月10日(987.0)以来、1週間ぶりの安値。時間外序盤に1028ドルまで上昇したのがこの日の高値となり、節目の1030ドルに少し届かず失速。ロンドン序盤には1010ドル付近で下げ渋り、1020ドル台へと反発もNY市場では金の反落局面に連れて軟調推移。米株の軟調推移にも連れる格好となって下げ幅を拡大するとNY午後には1000ドルの大台割れ、安値では一時990ドルを割り込んでNY引けにかけてなんとか990ドル台を回復。結果的に7月高値(1145.2)から8月安値(954.0)までの38.2%戻し(1027.0)から1030ドルが強めの抵抗水準となり、その前に1000ドルの大台回復がポイントにも。

ドル円・日足チャート 2021/7/14 - 8/17ドル円は32銭のドル高円安、0.29%高で3日ぶりの反発。NY朝の米7月小売売上高の下振れには瞬間的にはドル売りとなって109円30銭付近から109円10銭台までの下落も欧州時間につけたこの日の安値109円10銭近辺を下回らず、即切り返す形となって109円50銭台へと急反発。その後発表された7月鉱工業生産の好結果もあり、一時109円60銭台まで上昇。局面的には株安とドル高円高のリスク回避的な流れと、これを割り切っての米長期金利上昇に連れてのドル高とでドル高の流れが一時的に強まった格好にも。前日に続いて下値は109円ちょうどの節目手前でしっかり支えられた形にもなり、8月に入ってからは米10年債利回りの下げ渋りとともにゆるやかなドル高優勢の流れが進行し始めた様子も。FOMC議事要旨でタカ派材料が確認できればもう一段のドル高で110円トライをうかがうような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/17終値とチャート

18日の国内金価格は+20円、0.29%高で3日続伸。8月6日(6957)以来の高値圏での反発基調持続で6月高値(7335)からの抵抗線との攻防も継続。ゆるやかに下降する21日移動平均線(6922)を上抜けることでこの抵抗線超えとなり、中期的な地合い改善方向へ。その上方でゆるやかに上昇する90日移動平均線(6965)から6980円までが重要な節目水準。これを上抜けることになれば、一段高へと向かう流れとなりやすく、7100円超えを目指す流れにも。

プラチナ価格は-85円、2.16%の大幅安で4日続落。下落基調が続く9日移動平均線(3900)のわずか上方で追随してきた流れから、反発基調腰折れ感が下押し圧力となって9日線割れ。8月安値となった10日(3788)以来、1週間ぶりの安値。上向きつつあった方向感も巻き戻され、春以降の斜行三角保ち合い上抜けにも失敗。当面の抵抗水準となる3960円台の節目を上抜けるような展開となれば、三角保ち合い上抜け再トライへ。
※参考:金プラチナ国内価格8/18とチャート

2021年8月18日(水)時点の相場
国内金6,881 円 8/18(水) ▲20(0.29%)
国内プラチナ3,849 円 8/18(水) ▼85(2.16%)
NY金1,787.8 ドル 8/17(火) ▼2.0(0.11%)
NYプラチナ993.8 ドル 8/17(火) ▼27.3(2.67%)
ドル円109.58 円 8/17(火) ▲0.32(0.29%)

8/17(火)のその他主要マーケット指標

7月FOMCではテーパリング年内スタートがメイン、でもドル売り 8/19(木)

米7月小売売上高も低調もドル売りは限定的に 8/18(水)

NY連銀製造業景況指数も8月は急落、コロナ以来の落ち込み 8/17(火)

三役逆転からの反発継続と斜行三角保ち合い上抜けの攻防 8/16(月)

ミシガン大消費者信頼感はコロナ以来の急落でコロナ以下へ 8/14(土)


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