金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

消費者物価8月コアCPIは予想外の鈍化でドル売り・金買い

更新日:2021年9月15日(水)

米・消費者物価指数(CPI) 2021年8月米労働省発表の8月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.25%。ほぼ市場予想通りの水準となり、7月の+5.37%からは0.12%の低下。2008年7月(5.60)以来12年11ヵ月ぶり高水準となった6月(+5.39%)からは2ヵ月連続の小幅低下。ただし、2008年9月以降の13年間では3番めの高水準。
食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+4.00%。市場予想の+4.2%程度を下回り、7月の+4.27%からも0.27%低下。1991年11月(4.49)以来29年7ヵ月ぶり高水準となった6月(+4.47%)からは2ヵ月連続の0.2%程度の低下。ただし、1992年以降の29年8ヵ月間では3番めの高水準。なお、コアCPIは前月比でも+0.3%予想に対して+0.1%にとどまり、半年ぶりの低水準。

消費者物価インフレは歴史的高水準へと急騰し、依然として高止まり状態と言える水準にはあるものの、ピークアウトの可能性も示唆するような状態にもなり、長期金利低下とドル安の流れが進行。これを受けてやや売り圧力が強まりかけていたNY金は急反発の展開に。

なお、主要品目のなかでは中古車価格が6月の前年比+45.2%から7月の+41.7%を経て、8月は+31.9%へと急速に鈍化。航空運賃も6月の前年比+24.6%から7月の+19.0%、8月は+6.7%へと急減速。携帯電話サービス価格は昨年夏から今年春にかけての前年比+4%前後から7月には+0.1%、8月には-0.8%と1年2ヵ月ぶりのマイナス圏、1年8ヵ月ぶり低水準。自動車保険も5月の前年比+16.9%から7月には+1.6%、8月も+1.0%と大幅鈍化した状態を維持。
医療サービス価格も昨年春夏の6%近辺から今年6月以降は+1.0%近辺。健康保険料は昨年春の前年比+20%台から今年に入って急減速、3月には前年比マイナス圏入り、8月にはマイナス幅を5ヵ月連続拡大し、前年比-9.9%。
一時急騰し過ぎたものは急低下し、依然高止まりが続くものも鈍化傾向が顕著となり始めているようです。

9月FOMCでのドットチャートがタカ派寄りに傾斜する要因の一つが、多少緩和された可能性がありそうです。

NY金・日足チャート 2021/8/10 - 9/1414日のNY金相場は+12.7ドル、0.71%の続伸。インフレ高騰状態継続=早期利上げへの警戒感、の構図から米8月CPIを控えてロンドン時間からドル高基調にも押されて軟調推移。1790ドルの節目を割れてNY朝には一時8月23日(1778.0)以来、3週間ぶり安値となる1780ドルまで下落。しかし市場予想を下回ったCPIの結果を受けて急反発、ドル安とともに米10年債利回りも1.3%割れへと急低下した流れにも連れ、1800ドルの大台を超えて一時1週間ぶり高値となる1810ドルまで上昇。その後ドル安の流れは巻き戻されたものの米10年債利回りが1.3%割れのままとなったこともあり、NY金も1800ドル台を維持。小幅保ち合い上抜けに伴い、FOMC前後にかかわらず短期上値目標1820ドル台程度までは上昇余地拡大。下方向へはあらためて1790ドルの節目をしっかり下抜けるようだと下値トライ再開、1760ドル近辺までが下値目安に。

NYプラチナ・日足チャート 2021/8/10 - 9/14NYプラチナは-18.8ドル、1.96%の大幅反落で昨年11月23日(931.7)以来、10ヵ月ぶりの安値。990ドルの節目割れに伴う短期下値目安940ドル近辺に終値ベースでもしっかり到達した格好に。時間外序盤の950ドル台から軟調推移となり、NY朝までに940ドル割れ。CPI発表直後には金の急騰にも連れて反発する場面もあったものの、その後は米株の軟調推移とパラジウムが2000ドル割れへと急落した流れにも追随する形で軟調推移。安値では一時930ドル割れ、NY引けにかけては930ドル台前半に収束。短期的には目標水準到達からの一服感も生じやすいものの、FOMCで予想以上にタカ派見通しが示唆されるなどした場合には、NY金と米株の同時急落に追随せざるを得ない展開も。その場合には900ドル割れも想定されそう。
金との価格差は868.4ドルまで拡大、1月4日(875.1)以来8ヵ月ぶりで今年2番めの水準を更新。

ドル円・日足チャート 2021/8/11 - 9/14ドル円は31銭のドル安円高、0.28%安で3日ぶりの反落。110円ちょうどを挟んでの小幅揉み合い推移で東京・欧州時間を通過、NY朝には110円10銭台へと小幅に上昇後、CPIの結果を受けて戻り売り。米長期金利急低下とドル安の流れとなって109円90銭割れへと急落すると、その後は株安ドル高のリスク回避の流れで一時下げ渋るも、金利低下と円高の流れでジリ安の展開となって安値では109円50銭台まで下落。下方向への節目109円70銭をわずかに割り込んだ状態となり、下値トライへの流れが進行し始める可能性。目先の米指標結果や次週FOMCで巻き戻しの展開とならなければ当面の下値目標は5月安値圏108円台前半まで。ドル高方向に110円超えへ反発するようなら流れは逆転へ、今年高値111円60銭台を目標に上値トライの流れスタートの可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/14終値とチャート

15日の国内金価格は+19円、0.27%の続伸で9月8日(6955)以来、1週間ぶりの水準を回復。ただし9月高値(7033)から9月安値(6899)までの急落幅の38.2%戻し(6950)にとどまり、自律反発の範囲内。地合い回復に向けては最低でも半値戻し(6966)以上、流れが変わるには61.8%戻し(6982)以上が目標にも。次週の重要イベントを控えて急反落警戒感も残り、9月安値更新の場合には6850円近辺までが短期下値目安。

プラチナ価格は-88円、2.37%の大幅反落で昨年12月2日(3589)以来、9ヵ月ぶりの安値。3850円台の節目を割り込み、逆三角保ち合い下放れに伴う短期下値目安3690円近辺を突き抜けての一段安。3月以降の斜行三角保ち合い下限ライン付近にも到達し、短期的にはNYプラチナとともに一服感も。ただしNYプラチナの一段安リスクが現実となれば追随へ、その場合には3500円台前半が意識される可能性も。
金との価格差は3320円へと拡大、昨年11月24日(3355)以来、10ヵ月ぶりの高水準。
※参考:金プラチナ国内価格9/15とチャート

2021年9月15日(水)時点の相場
国内金6,948 円 9/15(水) ▲19(0.27%)
国内プラチナ3,628 円 9/15(水) ▼88(2.37%)
NY金1,807.1 ドル 9/14(火) ▲12.7(0.71%)
NYプラチナ938.7 ドル 9/14(火) ▼18.8(1.96%)
ドル円109.68 円 9/14(火) ▼0.31(0.28%)

9/14(火)のその他主要マーケット指標

NY連銀製造業景況指数は予想外の上振れでドル反発、金反落 9/16(木)

消費者物価8月コアCPIは予想外の鈍化でドル売り・金買い 9/15(水)

転職者の賃金上昇率は13年10ヵ月ぶり高水準 9/14(火)

黄金比61.8%戻しの前にテーパリングと半値戻しの壁 9/13(月)

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