金プラチナ短期相場観
鉱工業生産は予想外の2ヵ月連続減、前年比では5ヵ月続落
更新日:2021年10月19日(火)
米9月の鉱工業生産は市場予想の前月比+0.1%に対して前月比-1.3%。大幅に下振れて2月(-3.0%)以来、7ヵ月ぶりの低水準。さらに8月分も+0.4%から-0.1%へと下方修正され、2ヵ月連続減。2ヵ月連続で前月比マイナスとなるのはコロナショック時の2020年3-4月以来。半導体不足に伴う自動車生産の落ち込みが影響しているようです。
前年比では+4.62%となって8月の+5.66%から1%超の低下。4月に61年ぶり高水準となる前年比+17.86%となって以降は、5ヵ月連続の低下となって鈍化傾向が続きます。
なお、この日発表された中国の鉱工業生産も9月は前年比+3.1%となり、8月の+5.3%を2%超下回って7ヵ月連続の低下。2020年3月(-1.1%)以来、コロナ後の最低水準となっています。
中国では7-9月期GDPも前年比+4.9%となって前期の7.9%からは急ブレーキ、コロナ前の2019年までの6%超を大幅に下回る落ち込みとなり、不動産バブルとともに景気減速懸念が高まります。
米国の鉱工業生産の前年比伸び率は、中国を若干上回る水準での推移が続いてはいますが、足下の鈍化傾向は同じような推移となっています。
18日のNY金相場は-2.6ドル、0.15%の小幅続落。アジア時間からロンドン時間にかけては米10年債利回り上昇とドル高傾向の流れに1770ドル台前半から1760ドル近辺まで軟調推移。NY午前には米9月鉱工業生産が予想外に低調となって流れは反転、再度1770ドル台へと反発も、上値も重くNY引けにかけて1760ドル台半ばへと収束。この日の変動値幅は12.2ドルにとどまり、今年の平均25.9ドルの半分以下、今年8番めの小動き。急落後の一服状態となる一方で安値では20日移動平均線(1761.7)をわずかに下回り、9月安値(1721.1)から10月高値(1801.9)の半値戻し(1761.5)も達成し、下げ止まるのにも都合の良い水準。この1760ドル近辺から10月前半に下ヒゲがズラリと並ぶ1750ドル台にかけては比較的強めのサポート水準となる可能性も。その分、これを割り込んだ場合には下押し圧力が強まる可能性、9月安値を更新して1700ドル近辺までが下値目安にも。
NYプラチナは-21.0ドル、1.98%安で5日ぶりの反落。週明け時間外スタート直後に1060ドル台を何度か試すも先週末高値にわずかに届かず、3営業日連続1060ドル台前半で上値を押さえられると力尽きた格好となっての軟調推移。ロンドン時間に1050ドル割れ、NY朝には乱高下の展開となって安値では1040ドル割れ、NY午後にかけて徐々に上値を切り下げると1040ドル割れの水準で落ち着く格好に。先週半ばまで抵抗線となっていた90日移動平均線(1028.8)から1030ドル近辺まででサポートされるかどうか、そうなれば1060ドルまでの保ち合いレンジで上値再トライのチャンスをうかがう展開にも。1060ドル超へと反発できれば1080ドル近辺を目安に一段高へも。1030ドルでサポートされない場合には1000ドルの大台付近が下値サポートに。
ドル円は6銭程のドル高円安、0.05%の小幅高で3日続伸。2018年10月3日(114.48)以来、3年ぶりの高値水準での推移は続き、終値ベースでは今年高値更新。ただし、東京午後から欧州時間にかけて何度か114円40銭台を試すも週末高値をわずかに超えられず。安値は東京午前の114円00銭台までで114円割れは回避。NY時間には低調となった鉱工業生産の結果を受けて上値がやや重くなり、114円20銭近辺での小幅保ち合いの展開に。短期的には113円台半ばでの小幅保ち合い上抜けに伴う上値目標、2018年10月高値114円50銭近辺に対しては週末と週明けの高値で114円46-7銭近辺まで上昇し、ほぼ到達。心理的節目となっている114円ラインが目先の下値サポート候補、その下は113円20銭。上方向へのさらなる行き過ぎ目安としては、2017年11月高値114円70銭台、2017年3月高値115円50銭近辺までが意識される可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/18終値とチャート
19日の国内金価格は-18円、0.25%の続落。9月安値(6764)から10月高値(7163)までの23.6%戻し(7069)を達成し、調整一服とはなりやすいところ。そうならなければ38.2%戻し(7011)から9日移動平均線(7010)付近が次の浅めのサポートにも。その下、50%戻し(6964)から90日移動平均線(6950)付近は比較的強めのサポートとなる可能性も。上方向には昨年夏の過去最高値から続く三角保ち合い上限ラインが通過する7160円台が当面の強めの抵抗水準。これを突破するにはそれなりの強めの材料も必要か。
プラチナ価格は-51円、1.22%安となって5日ぶりの反落。9月安値(3536)から10月高値(4176)までの上昇幅に対する調整幅は8%弱とかなり控えめ。23.6%戻し(4025)から90日移動平均線(4012)近辺までが目先のサポート候補。過熱気味のまま切り返して4180円の節目超へ向かえば4220円台辺りまでが短期上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格10/19とチャート
- 2021年10月19日(火)時点の相場
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国内金 : 7,064 円 10/19(火) ▼18(0.25%) 国内プラチナ : 4,125 円 10/19(火) ▼51(1.22%) NY金 : 1,765.7 ドル 10/18(月) ▼2.6(0.15%) NYプラチナ : 1,037.9 ドル 10/18(月) ▼21.0(1.98%) ドル円 : 114.32 円 10/18(月) ▲0.06(0.05%)
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