金プラチナ短期相場観
生産者物価は鈍化の兆しも6ヵ月連続過去最高、CPI格差も最大
更新日:2021年10月15日(金)
米労働省が発表した9月の生産者物価指数(PPI)は、前月比では+0.5%となり、市場予想の+0.6%を下回って今年最低の伸びにとどまったことで、インフレ鈍化の兆しと捉えられ、これを好感する形で株高の流れが強まりました。失業保険申請件数もコロナ後最少となる好結果となったことも合わせて市場は安心感からのリスク選好の流れに。
前年比でも9月は+8.59%となり、市場予想の+8.7%を下回り、コアPPIも前年比+7.1%予想に対して+6.81%にとどまりました。
それでもPPIの前年比+8.59%は9ヵ月続伸となり、6ヵ月連続の過去最高更新。コアPPIの前年比+6.81%も9ヵ月続伸で、こちらは7ヵ月連続の過去最高更新となっています。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコアPPIでは、前年比+5.91%。8月の+6.29%を下回り、16ヵ月ぶりの低下となりました。過去最高更新も7ヵ月ぶりにストップ。
なお、PPIの2年前比では9月は+8.96%。前年比の+8.59%を上回りました。
今年4月から8月までは、前年比伸び率が2年前比伸び率を上回る状態が続きましたが、9月は半年ぶりに逆転。2020年の4月から8月までが異常な低インフレとなったことから、今年4-8月には異常な関係性が続きましたが、ようやく通常期の関係性に戻ったことになります。前年比よりも2年前比のほうが高い、通常の関係性に戻ってなお、一段高の展開です。
また、PPIとCPIとを比較すると、今年1月以降はPPIがCPIを上回る状態が続きます。
インフレが上昇傾向の時期には、PPIがCPIを若干上回る程度での推移が続き、上流から下流への適度な価格転嫁が続き、PPIがCPIを牽引する形となります。
ただし、今回のPPIとCPIの格差は4月に2%を超え、8月には3%超え、9月にはその差3.20%となり、格差も最大更新が続きます。
14日のNY金相場は+3.2ドル、0.18%の小幅高で3日続伸。9月14日(1807.1)以来、1ヵ月ぶりの高値。前日の2%超の急騰後の調整はアジア時間に1790ドルをわずかに割り込んだところで下げ渋り、ロンドン市場にかけては押し目買いとなって反発基調。前日高値と200日移動平均線(1799.2)を上抜け、1770ドルの節目突破に伴う短期上値目標1800ドルの大台に到達。NY朝には失業保険申請件数の好結果に9月生産者物価インフレ鈍化の兆しを好感する形で株高とともにドル高の流れとなったことを受けて上値が重くなり、1800ドルをはさんでの攻防状態。短期目標達成後に1800ドルの大台と200日線超えを維持することはできず、NY引け後には力尽きる形で1790ドル台半ばへと収束。上値トライ一服後の調整目安、かつ下値サポート候補は9月末安値からこの日の高値までの23.6%戻し(1782.8)、1780ドル近辺まで。想定外にネガティブな指標結果などをきっかけに行き過ぎの展開となった場合の上値目安としては9月高値1830ドル台辺りまで。
NYプラチナは+28.1ドル、2.74%上昇して3日続伸。8月2日(1056.3)以来、2ヵ月半ぶりの高値。アジア時間に1015ドルまで、浅めの押し目を形成して反発基調再開。ロンドン市場では先週末の急騰以降、上値を押さえられ続けた右肩下がりの90日移動平均線(1031.0)との攻防となって一度は反落も、NY市場では株高の流れにも連れる形で再トライ、これを突破すると同時に1030ドルの節目上抜けとなって急騰の展開。NY午後には短期上値目標1050ドル近辺に到達、NY引け後には一時1060ドル台半ばまで上昇し、1050ドル台に戻して一服。今年高値となった2月高値(1348.2)から9月安値(892.6)までの38.2%戻し(1066.6)をほぼ達成した形にもなり、いったんは落ち着きやすいところ。4ヵ月半ぶりに上抜けた90日線が当面の下値サポート候補にも。
ドル円は43銭のドル高円安、0.38%の反発で2018年11月27日(113.75)以来、2年11ヵ月ぶりの高値。東京朝に前日安値をわずかに下回る113円20銭近辺まで下げて小幅調整終了。再び上値トライの様相となり、東京午後には113円50銭台を回復。欧州時間に113円30銭近辺までの押し目を挟んでNY時間には113円70銭台へと一段高。ただし米労働指標の好結果とインフレ鈍化を受けての株高の流れに連動しての上昇も限定的となり、NY午後には米10年債利回りの低下基調も重石となって113円60銭台での小幅揉み合い推移。目先は113円20銭が下値サポートとなって113円60銭までの小幅保ち合いレンジを形成。今朝の東京市場では米10年債利回り反発と株高の流れにも連れて113円60銭の節目を突破、今週高値となっていた113円80銭も上抜けて一段高の様相に。週末NY市場では複数の米指標もあり、予想外の結果には素直に上下に振れる展開も予想されるものの、堅調な流れが続けば短期上値目標は2018年10月高値114円50銭近辺まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/14終値とチャート
15日の国内金価格は+52円、0.73%高で5日続伸。6月15日(7186)以来、4ヵ月ぶりの高値。10月は1日から7日まで5営業日続伸、8日の反落をはさんで翌11日からここまで再び5日続伸。11営業日中10日上昇、上昇確率90.9%の一方的上昇局面を形成。10月2度めとなった5日以上の続伸は今年5度め。円安金高のダブルサポートによるレアな推進力でRSI=87%台の過熱状態のまま、6月高値(7335)から8月安値(6710)の61.8%戻し(7096)を達成してなお一段高、76.4%戻し(7188)も射程圏内に。しかし、昨年8月の最高値と今年高値を結ぶラインの延長線付近に到達した現状に加え、NY金の目標到達による一服感も。
週間ベースでは+285円、4.14%の大幅高で4週続伸。上昇率は最高値を更新した昨年8月3日からの週(+480円、6.67%)以来、1年2ヵ月ぶりの急騰。
プラチナ価格は+163円、4.07%の大幅高で3日続伸。7月19日(4267)以来、3ヵ月ぶりの高値。小幅保ち合いレンジ上限3980円上抜けに伴う短期上値目標4020円程度を突き抜け、NYプラチナの保ち合い上方ブレイクに連動した場合の第2目標水準、2月高値(4798)から9月安値(3536)の半値戻し(4167)をしっかり達成。上昇率4%超は今年4度めで今年4番めの急騰。10月は11日(+164円、4.3%)に続いて2度めとなって急騰局面を形成。2月も12日と16日にいずれも190円超の急騰で今年高値への急騰局面を形成。その後の展開は・・・。
週間ベースでは+359円、9.42%の大幅続伸。今年高値をつけた2月8日からの週(+445円、11.03%)以来、8ヵ月ぶりで今年2番めの急騰。
※参考:金プラチナ国内価格10/15とチャート
- 2021年10月15日(金)時点の相場
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国内金 : 7,163 円 10/15(金) ▲52(0.73%) 国内プラチナ : 4,171 円 10/15(金) ▲163(4.07%) NY金 : 1,797.9 ドル 10/14(木) ▲3.2(0.18%) NYプラチナ : 1,052.3 ドル 10/14(木) ▲28.1(2.74%) ドル円 : 113.68 円 10/14(木) ▲0.43(0.38%)
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