金プラチナ短期相場観
ユーロ圏3月総合PMIは予想ほど悪化せず
更新日:2022年3月25日(金)
欧州委員会が前日発表したユーロ圏の消費者信頼感指数は3月速報値で-18.7となり、コロナショック時の2020年5月(-18.9)以来、1年10ヵ月ぶりの低水準。前月からは-9.9ポイントの急低下。これもコロナショック時の2020年4月(-10.5)以来、1年11ヵ月ぶりで過去2番めの急落。
ユーロ圏の近郊で勃発したウクライナ戦争とロシアへの経済制裁により、ユーロ圏での消費センチメントはコロナショック並みに落ち込んでいることが示されました。
この日発表されたユーロ圏の総合PMIは3月速報値で54.5。2月(55.5)からは1.0ポイントの低下にとどまり、市場予想の53.8程度も上回りました。
企業センチメントはまだ、それほどの落ち込みはないようです。
サービス業PMIは54.8となって2月からは-0.7で2ヵ月ぶりの低水準。製造業PMIは1年2ヵ月ぶり低水準とはなったものの、57.0は前月比でも-1.2。高水準での推移がしばらく続いていただけ。
コロナの制限措置緩和がサービス業の回復を後押ししたのに対し、製造業ではウクライナ戦争に伴うロシア制裁による供給問題や輸出低迷などが悪材料として影響し始めた様子。
国別ではドイツの総合PMIが54.6となって前月比-1.0、2ヵ月ぶり低水準。サービス業PMIも前月比-0.8で55.0で2ヵ月ぶり低水準。製造業PMIは57.6で3ヵ月ぶり低水準とユーロ圏に同調。
フランスの総合PMIは56.2となって8ヵ月ぶりの高水準。サービス業が57.4で4ヵ月ぶり高水準、製造業は54.8で5ヵ月ぶり低水準。
ロシアとの関係性がより強いドイツのほうが、早速ダメージも大きく影響し始めそうな兆しにも。
戦争状態が長期化すればするほど、ユーロ圏での企業センチメントは今後一段と悪化することも予想され、米ドルの独歩高状態も続くことにもなりそうです。
24日のNY金相場は+24.9ドル、1.29%の続伸で3月11日(1985.0)以来、2週間ぶりの高値。時間外は1940ドル台後半から前半へとやや軟調気味に推移、ロンドン時間には一時1940ドル割れも切り返し、押し目買いの展開へ。NY朝にかけて1940ドル台後半から1950ドルの節目との攻防を突破するとNY午後には1960ドル台へ、ただし3月高安38.2%戻し(1965.3)超え、1960ドル台後半で上値を押さえられる状態が続くとNY引け後には1960ドル割れ。地政学リスクと対ロシア制裁リスクに世界的インフレ懸念も強まる一方でドル高が一服状態となったことにもサポートされ、節目上抜けに伴う短期上値目標1970ドル近辺にもほぼ到達した状態となり、週末というタイミングもあり短期的には一服状態にも。ただ、突発的な事象などでリスク回避が強まるなどした場合には3月高安の61.8%戻し(2008.7)、大台再トライも意識される可能性も。
NYプラチナは+10.2ドル、1.0%高で3日ぶりの反発。時間外は1020ドル台半ばから1010ドル台半ばへと軟調推移、ロンドン時間に前日安値をわずかに下回って1週間ぶり安値をつけて切り返すと200日移動平均線(1022.4)を上抜けて一段高。NY午前には1030ドルの攻防を突破すると高値では1040ドル付近まで上昇、しかしこれも一時的となってNY午後には1030ドル近辺へと急失速、引け後には1030ドル割れ。200日線にもサポートされて下値サポートを1020ドルへと切り上げながらも、上値は1050ドルの上限トライもままならない状況にも。1月後半から2月半ばまでの保ち合いと同水準で居心地の良い保ち合いを下方ブレイクとなった場合には大台割れへ、990ドル前後までが下値目安に。上限突破に成功なら2月後半保ち合い水準1080ドル台までが上値目標に。
ドル円は121銭のドル高円安、1.0%高で5日続伸。5日続伸以上は3月だけで2度め、年末年始を含めて今年3回め。2015年12月17日(122.55)以来、6年3ヵ月ぶりのドル高円安水準。東京朝に一時的に121円割れを試したのが安値となり、この日も堅調推移の展開に。121円回復後は前日高値121円40銭手前でいったん頭打ち、小康状態を経て東京市場終盤に前日高値を超えると欧州時間には121円70銭台まで水準を切り上げ、NY朝には新規失業保険申請件数の好結果などもあって一段高。さらに米3月総合PMI速報値も好結果となって122円トライへ、NY午後には122円40銭台へと一段高。ドル高円安基調に大崩れの兆しはなかなか見えず、短期上値目標として2015年11月高値圏123円70銭台も意識され始め、急騰する5日移動平均線(120.59)から121円近辺までが下値サポート候補。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/24終値とチャート
25日の国内金価格は+127円、1.54%高となって6日続伸。6日続伸以上は今年3度め。上げ幅は今年の絶対値平均52円の2.4倍超、今年4番めの大幅高。3月9日につけたこれまでの過去最高値(8299)を半月ぶりに大幅更新、最高値更新は今年11度め。ダブトップ形成リスクをあっさり排除する格好での一段高となり、ウクライナ危機で注意すべき想定可能な国内金価格の高値目安の2番め、「2020年3月安値(5648)から8月高値(7676)までの値幅(2028)を2021年3月安値(6413)を起点に加算するN計算値=8441円」が早くも視界に。
週間ベースでは+310円、3.83%の大幅反発。昨年11月以来、4ヵ月半ぶりの大幅高。
プラチナ価格は+55円、1.28%高で3日ぶりの反発。3月高値から安値までの38.2%戻し(4320)と21日移動平均線(4331)を上抜け、戻り売り圧力が強まりつつあった局面を打開。反発基調再開への可能性を取り戻す形となり、短期的には3月高安の半値戻し(4389)近辺までが上値目標。少しの行き過ぎで61.8%戻し(4457)も視野に。下値サポートは4290円、割れると4200円近辺までの一段安も。
金との価格差は4046円、2020年8月5日(4052)以来、1年7ヵ月ぶりの水準へと急拡大。
週間ベースでは+85円、1.99%高で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格3/25とチャート
- 2022年3月25日(金)時点の相場
-
国内金 : 8,397 円 3/25(金) ▲127(1.54%) 国内プラチナ : 4,351 円 3/25(金) ▲55(1.28%) NY金 : 1,962.2 ドル 3/24(木) ▲24.9(1.29%) NYプラチナ : 1,031.2 ドル 3/24(木) ▲10.2(1.00%) ドル円 : 122.35 円 3/24(木) ▲1.21(1.00%)
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