金プラチナ短期相場観
ドイツIFO景況感急低下、不確実性もコロナショック以来
更新日:2022年3月26日(土)
ウクライナ侵攻に対する制裁により、ロシアとの蜜月からの決別も余儀なくされるドイツ経済は、3月に急ブレーキの兆し。景況感は急低下し、見通しは大幅悪化、不確実性も急速に高まる状況に。
ドイツIFO景況感指数の90.8は1年8ヵ月ぶり低水準となり、前月比-7.7ポイントはコロナショックの2020年4月(-11.1)以来、1年11ヵ月ぶりのの急低下。
現況指数の97.0は2ヵ月ぶりの低水準にとどまったものの、期待指数は85.1となって2020年5月(81.6)以来、1年10ヵ月ぶりの低水準。前月比-13.3ポイントは2020年3月の-11.8を超えて過去最大の急低下。
業種別では、製造業が-3.3となって1年7ヵ月ぶりの低水準。前月比-26.4は2020年4月(-24.6)を超えて過去最大の急低下。製造業では現況も低調となり、見通しは不確実、楽観から悲観へと状況は一変。
サービス業は0.7となって13ヵ月ぶりの低水準。前月比-12.9は2020年4月(-25.1)以来、1年11ヵ月ぶりの急低下。サービス業では現況は変わらす、見通しは急低下。
ドイツでは今週末時点でもロシア産のガス、石油、石炭などエネルギー依存度を大幅に引き下げたことを経済相が発表していますが、制裁強化に伴い、今後さらなる引き下げが予定され、2年後までに天然ガスはロシア依存からの脱却も見込まれているようです。
ドイツ企業の今後の見通しとしては不確実性が急速に高まる状況となり、IFOの不確実性指数も2月の61.6から3月は69.1ポイントへと急騰。2020年5月(70.9)以来の高水準となり、景気循環指数も2月の89.0から3月は1.2へと急降下、これも2020年4月(0.0)以来の低水準。
ドイツでのコロナ禍からの回復進行は、ロシアのウクライナ侵攻によってストップされ、不確実性はコロナ級に逆戻り、という状況に陥っています。
25日のNY金相場は-8.0ドル、0.41%安となって3日ぶりの反落。前日の1940ドル台の節目超えに伴う短期上値目標1970ドル近辺到達後の一服状態に。アジア時間には前日高値に少し及ばず1965ドルまで上昇して小幅に反落、ロンドン時間には1960ドル割れ。NY午前にはFOMCで副議長を務めるNY連銀ウィリアムズ総裁も0.5%利上げに肯定的発言。以前の慎重姿勢からの変化もあり、米10年債利回りが2.45%超へと急騰、これに反応する形で一時1940ドル台前半へと急落。ただし下値も限定的となり、NY午後には20日移動平均線(1953.0)超えへと反発。この日の変動値幅は22.5ドルに留まり、今年の平均30.2ドルの7割、3月3日以来3週間ぶりの小動き。目先は1960ドル台が上限となり、これを上抜けると上値トライ再開で短期目安は1980ドル台辺りまで。
週間ベースでは+24.9ドル、1.29%の反発。
NYプラチナは-22.7ドル、2.2%の反落で3月16日(1008.1)以来、1週間ぶりの安値。アジア時間に1038ドルまで上昇し、前日高値付近で失速すると金に連れる形で戻り売り。ロンドン時間には1020ドル台へと水準を切り下げ、NY午前には200日移動平均線(1021.7)と1020ドルの下値サポートを割り込むと1010ドル台へと一段安。NY午後には金の反発には追随し切れず、パラジウムの急落に引っ張られる形で90日移動平均線(1007.9)も下抜けて1000ドルの大台ライン付近まで下落。1020ドル割れに伴う短期下値目安990ドル前後まで、もう少しの下げ余地も。切り返す展開となって1030ドル超えへと抜け出すと反発基調再開へ、1070ドル前後までが短期上値目標に。
金との価格差は945.7ドル、2020年11月17日(948.0)以来、1年4ヵ月ぶりの水準まで急拡大。
週間ベースでは-27.4ドル、2.65%安で4ヵ月ぶりの3週続落。
ドル円は26銭のドル安円高、0.21%安で6日ぶりの反落。東京朝には日経平均の反落に連れての株安・円高の流れが格好の調整タイミングにもなり、122円を割れると午後には一時121円10銭台まで下落。サポート候補の5日移動平均線(121.18)にしっかり下値を支えられると東京市場終盤までに121円90銭台まで反発。121円60銭前後での小幅保ち合いとなった欧州時間を経て、NY時間にはNY連銀ウィリアムズ総裁のタカ派発言を受けて122円20銭台へと反発。結果的に長めの下ヒゲを残しての小幅調整に留まり、引き続き5日線が下値サポート候補となり、前日NY終盤からこの日の東京朝の高値122円40銭台が目先の抵抗水準に。これを上抜けると上値トライ再開、まずは123円台前半が短期上値目安となり、2015年11月高値圏123円70銭台も意識される展開にも。
週間ベースでは+2.94円、2.47%高となって3週続伸。上昇率はコロナショック時の2020年3月16日からの週(+2.89円、2.68%)以来、2年ぶりの急騰。上げ幅では2017年9月11日からの週(3.05円、2.83%)以来、4年半ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/25終値とチャート
- 2022年3月26日(土)時点の相場
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国内金 : 8,397 円 3/25(金) ▲127(1.54%) 国内プラチナ : 4,351 円 3/25(金) ▲55(1.28%) NY金 : 1,954.2 ドル 3/25(金) ▼8.0(0.41%) NYプラチナ : 1,008.5 ドル 3/25(金) ▼22.7(2.20%) ドル円 : 122.09 円 3/25(金) ▼0.26(0.21%)
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