金プラチナ短期相場観
輸入物価も10年半ぶり高水準へと急騰、PPIとの差も拡大
更新日:2022年4月15日(金)
米労働省が発表した3月の輸入物価指数は前月比+2.60%。市場予想の+2.3%程度を上回り、2月の+1.64%からも急上昇、2011年3月(2.96)以来11年ぶりの急騰。
前年比では+12.47%となり、これも2月の+11.25%から一段高、3ヵ月続伸で2011年9月(12.73)以来、10年半ぶりの高水準。
輸入物価指数は前年比で見ると昨年5月に+11.60%でいったんピークアウト。コロナ収束に伴い、供給問題の緩和なども背景にPPIとCPIを牽引したきた流れも一服、かと思われたのも一時的。オミクロン株の再拡大などから輸入物価は再上昇、昨年11月には前年比+11.75%まで上昇し、今度こそ収束へと思われたものの、これも長続きせず。今度はウクライナ戦争によって供給問題のみならず、エネルギーや資源、貴金属や木材、小麦由来の食品関連など多岐にわたる物価高騰によって輸入物価価格は再上昇。
これによってPPIもCPIも一段と吊り上げるような状況となってきました。
輸入物価とPPIとの格差も足下では再び拡大傾向となって3月はその差1.29%。4ヵ月ぶり高水準に。
PPIからCPIへの価格転嫁余地が縮小しそうでしないのと同様に、輸入物価からPPIへの価格転嫁余地も縮小しそうでしない状態が続きます。
ウォラーFRB理事は先日、積極的な利上げは必要としながらも「インフレはほぼピーク」との見解も示しました。
そうなる為には、まずは輸入物価指数が完全にピークアウトする必要もあります。
14日のNY金相場は-9.8ドル、0.49%安となって6日ぶりの反落。1週間続いた上昇局面は前日高値1985.8ドルでいったん頭打ち。1940ドルの節目を突破しての保ち合い上放れに伴う短期上値目標2000ドル付近には少し及ばず、この日の高値も時間外につけた1984ドルまで。ロンドン時間には1970ドル台での保ち合いへと若干水準を切り下げ、NY市場では複数の米指標発表も、輸入物価指数の上ブレとECB理事会後のラガルド総裁の利上げ先送り示唆発言を受けてユーロ安ドル高の流れが急速に進行。ユーロドルが2年ぶり安値圏、米10年債利回りも3年4ヵ月ぶり高水準へと急騰した流れに連れて1980ドル台から1960ドル台前半へと急落。それでもNY午後にはドル高一服にも連れて1970ドル台半ばまで反発。目先、1960ドル台から20日移動平均線(1943.0)付近までは比較的堅めのサポートにも。1980ドル半ばの上限を突破できれば、今度は2000ドルの大台超えトライへ。
週間ベースでは+29.3ドル、1.51%の続伸。
NYプラチナは+4.6ドル、0.46%の続伸で3月31日(995.8)以来、2週間ぶりの高値。時間外序盤には前日高値を上回るも990ドル台前半までで失速するとNY金の軟調局面に追随、NY朝にかけて970ドル台前半まで下落。NY午後の反発局面では990ドル台へと水準を切り上げ、高値では一時996ドルまで上昇。しかし20日移動平均線(995.3)にしっかり上値を押さえられる格好にも。地合い回復で小さな逆三尊完成をかけた攻防は1000ドルの大台近辺が重要な分岐点、これを目前に連休入り。イースター明けにも流れ継続でこれをしっかり上抜けることができれば局面打開、流れも大きく変わる可能性も、そうなれば1050ドル近辺が短期上値目標に。
週間ベースでは+18.6ドル、1.91%高で6週ぶりの反発。
ドル円は23銭のドル高円安、0.18%高で10日続伸。10日続伸は2014年7月以来、7年9ヵ月ぶり。水準としては2002年5月17日(125.97)以来、19年11ヵ月ぶりの高値。126円30銭台の高値をつけた後の調整局面が前日欧州・NY時間を経てこの日の東京時間まで継続。東京午後に125円10銭近辺まで下げると欧州時間まではこれを下限に125円半ばまでのレンジで保ち合い推移。NY市場ではインフレ懸念再燃とユーロ安も影響してのドル高の流れ加速となって126円近辺まで急反発。NY終盤にかけては126円ラインが抵抗線となる形で上げ渋り、しかし今朝の東京市場ではこれを突破して126円20銭台へと上値トライ再開の兆しにも。閑散状態が予想される週末の為替市場では膠着状態か、もしくは動き出したらとまらないような大幅変動か、両極端の展開にも。3月28日高値(125.10)から31日安値(121.38)までの161.8%戻し(127.48)近辺までが目先の上値目標。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/14終値とチャート
15日の国内金価格は+63円、0.72%高となって9日続伸。9日続伸は昨年11月以来、5ヵ月ぶり。6営業日連続、今年17回めの過去最高値更新。NY金が大台を回復してドル円が125円台維持の場合に想定された上値目安8750円に到達。ただしNY金は1770ドル台にとどまってドル円が126円台へと一段高。短期的にはさらにもう一段の円安とNY金の大台再トライへの可能性も想定されることから、国内金価格のさらなる上ブレも想定可能は可能。NY金上昇とドル高円安の同時進行なら8900円近辺も。調整目安としては3月末からの上昇値幅(501)の23.6%戻し(8642)から38.2%戻し(8569)辺りまで。
週間ベースでは+349円、4.15%の続伸。上昇率では昨年11月8日からの週(+300円、4.2%)以来5ヵ月ぶり。上げ幅としては2020年8月3日からの週(+480円、6.67%)以来1年8ヵ月ぶりの急騰。
プラチナ価格は+27円、0.63%の続伸で3月25日(4351)以来、3週間ぶりの高値。4290円の節目上抜けに伴う短期上値目標、3月末高値圏4350円近辺にもほぼ到達。短期的には一服感も生じやすいところ、ただし満月の日曜日を挟んで連休明けのNYプラチナが重要水準との攻防を突破できたなら、追随する展開となって4400円超えを目指す可能性も。中期的には4350円超えでダブルボトム完成となって、いずれ4600円辺りが意識される可能性も。
週間ベースでは+176円、4.22%高で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格4/15とチャート
- 2022年4月15日(金)時点の相場
-
国内金 : 8,760 円 4/15(金) ▲63(0.72%) 国内プラチナ : 4,343 円 4/15(金) ▲27(0.63%) NY金 : 1,974.9 ドル 4/14(木) ▼9.8(0.49%) NYプラチナ : 994.2 ドル 4/14(木) ▲4.6(0.46%) ドル円 : 125.88 円 4/14(木) ▲0.23(0.18%)
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