金プラチナ短期相場観
3月CPIは40年ぶり高水準維持も想定内、金利低下でドル円調整
更新日:2022年4月13日(水)
米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年比+8.54%。市場予想の+8.4%程度を上回り、2月の+7.87%からも上昇し、1981年12月(8.92%)以来40年3ヵ月ぶりの高水準。7ヵ月連続で上昇し、2ヵ月連続で40年超ぶりの高止まり。
食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+6.47%。市場予想の+6.6%程度を下回ったものの、2月の+6.41%からは上昇。1982年8月(7.06)以来、39年7ヵ月ぶりの高水準。7ヵ月連続で上昇し、3ヵ月連続で39年超ぶりの高インフレ。
ほぼほぼ想定の範囲内とも言える結果ながら、コアCPIが前年比で市場予想を若干下回り、前月比では2ヵ月連続で減速したことから、ピークアウトとの見方も強まったことから、指標発表後には米10年債利回りが急低下、ドル安の流れも一時急速に進行。ドル円も調整局面入りか?という動きにもなりました。
カテゴリ別では、食品とエネルギー関連を除くコア商品価格が2月の前年比+12.3%から+11.7%へと低下した以外は上昇。食品とエネルギー関連を除くコア・サービス価格は前年比+4.4%から+4.7%へと一段と加速、7ヵ月連続上昇。食品価格も前年比+8.8%となって10ヵ月連続の上昇。エネルギー価格も+32%となり、4ヵ月ぶり30%台へと高騰。
主要項目別では、航空運賃が9ヵ月ぶり高水準となる前年比+23.6%へと急騰、ガソリン価格は4ヵ月ぶり高水準となる+48.0へと高騰。賃貸住宅も前年比+4.4%となって8ヵ月連続の上昇。
そして賃金上昇率とCPIとの格差は3月に2.99%となり、4ヵ月連続2%超で過去最大となった昨年4月(3.53%)以来、11ヵ月ぶり、過去2番めの水準まで拡大。賃金上昇率を消費者物価インフレが上回る状態は12ヵ月連続。
インフレ高止まりによる消費へ悪影響が懸念される状況は益々強まっています。
12日のNY金相場は+27.9ドル、1.43%の大幅高で4日続伸。前日の上ヒゲを払拭する形となって3月11日(1985.0)以来、1ヵ月ぶりの高値。1960ドルを挟んでの保ち合いとなった時間外を経て、NY朝の米3月CPIの結果を受けて米10年債利回りが2.7%台後半から2.7%割れへと急低下、一時的にはドル安の流れも急進したことにも押し上げられる形で急騰。1960ドル近辺から一時1980ドル超え。程なくドル安の巻き戻しが急速に進行し、米10年債利回りも下げ渋ったことからNY引けにかけては1970ドル割れ。それでも3月16日安値(1895.2)と29日安値(1893.2)で構成するダブルボトムのネックライン、3月24日高値(1967.2)超えをなんとか維持。短期上値目標2000ドル付近再トライの可能性も残して短期トレンドも好転へ。
NYプラチナは-5.4ドル、0.55%安となって4日ぶりの反落。1000ドルの大台近辺が強めの抵抗帯となって上値を押さえられた前日の流れが継続。アジア時間に980ドル台後半までの小反発を経てロンドン序盤からパラジウムとともに急落の展開となり、960ドル付近まで30ドル弱の下落。NY市場では金の上昇局面に追随する形で一時980ドル超えもNY引けにかけては970ドル割れへと再反落。1000ドルの節目手前、980ドル台でも抵抗感が強まって反発局面も失速状態に。
金との価格差は1003.7ドルへと急拡大、2020年11月6日(1052.3)以来、1年5ヵ月ぶりの1000ドル超。
ドル円はわずかに1銭のドル高円安、0.01%高で8日続伸。8日続伸は3月以来で今年2度め。それ以前は2016年10月以来で5年5ヵ月ぶり。NY終値では2015年6月5日(125.57)以来、6年10ヵ月ぶり高値水準でのほぼ横ばい推移。東京市場朝には鈴木財務相の為替急変牽制発言を受けての乱高下も挟みながらも125円10銭台から50銭台までのレンジで上下動、東京市場終盤には米10年債利回りが2.8%台での一段高の動きに追随する形で一時125円70銭台まで上昇。しかし近年最高値125円80銭台手前まで上昇した前日高値125円77銭付近で上値を押さえられ続けるとNY朝にかけて125円50銭台までゆるやかに上値切り下げ。CPI発表後には米10年債利回り急低下に連れて125円割れへと急落、一時124円70銭台まで80銭弱の下落。やや過剰反応のようにも見えた流れはドル安の巻き戻しが先行する形で米10年債利回りも徐々に下げ渋って追随。ドル円は125円30銭台までの急反発後はゆっくりと値を戻す展開となり、今朝の東京市場では125円50銭台を回復。短期上値目標125円80銭台付近にほぼ到達し、調整も程々に高止まり状態での十字線。引き続き124円近辺までがサポート候補、3月28日高値(125.10)から31日安値(121.38)までの161.8%戻し(127.48)辺りまでが次の上値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/12終値とチャート
13日の国内金価格は+82円、0.96%高となって7日続伸。7日以上の続伸は今年3度め。3日連続80円超の大幅高で4営業日連続、今年15回めの過去最高値更新。円安一服ならNY金の上昇が原動力、とどまるところを知らない上昇圧力はいつか突然、途切れることにも要警戒状態。米3月CPIの微妙な結果に思惑が交錯、為替も金もやや乱高下となった結果の一段高。短期上値目安、3月半ば安値(16日:7988)から3月末高値(25日:8397)の値幅(409)を3月末安値(30日:8259)に加算するN計算値=8668円にほぼ到達。調整目安としては3月半ばからここまでの23.6%戻し(8504)辺りまで。
プラチナ価格は-46円、1.07%安で4日ぶりの反落。4220円の節目上抜けに伴う短期上値目標4280円程度に到達後、さらに上値を切り上げる余力はなく、一服感からの反落。それでも21日移動平均線(4238)の前日水準4243円で踏みとどまり、地合い回復に向けた流れ継続への可能性も残した格好にも。4290円超へと反発できれば3月末高値圏4350円近辺再トライへも。
※参考:金プラチナ国内価格4/13とチャート
- 2022年4月13日(水)時点の相場
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国内金 : 8,664 円 4/13(水) ▲82(0.96%) 国内プラチナ : 4,243 円 4/13(水) ▼46(1.07%) NY金 : 1,976.1 ドル 4/12(火) ▲27.9(1.43%) NYプラチナ : 972.4 ドル 4/12(火) ▼5.4(0.55%) ドル円 : 125.40 円 4/12(火) ▲0.01(0.01%)
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