金プラチナ短期相場観
FF金利は前回利上げフェーズのピーク、金価格も底打ち間近?
更新日:2022年7月28日(木)
2会合連続の0.75%利上げは想定どおり。注目されたFOMC後のパウエルFRBの議長会見では、「9月も大幅利上げの可能性」も肯定。しかし米国経済は今のところ「リセッションには陥っていない」との見方。また、いずれは「利上げペースを落とす」ことになる、とした上で、次回の利上げ幅に関してはそれまでの「データ次第」とキッパリ。
兎にも角にもインフレを2%に戻すことが最優先、との意思表示をし、発言内容はごく当たり前の内容ながら、市場へのリップサービスも交えたような格好にも。
今回の利上げでFF金利誘導目標は2.25-2.50%となり、前回利上げフェーズのピーク水準に到達し、FOMCメンバーが中立金利とみなす長期見通しの中央値2.50%付近にも到達。
インフレ高止まりの現状からは、利上げの早期打ち止めは想像し難く、ただし、いずれ徐々に減速することは妥当な予想。
過去の利上げフェースでのNY金価格の推移を見ると、少なくとも21世紀には利上げとともに金価格は上昇してきました。
もうすぐ利上げフェーズがスタートする、との思惑が強まる時期には金は売られやすくなるものの、いざ利上げがスタートすると材料出尽くしと、その先の利上げ終了後の利下げフェーズを見越して買われ始めるような展開となってきました。
ところが、今回の利上げフェーズでは、ここまで金価格は急降下。
FRBはインフレが一時的とみて利上げに踏み込まなかった状態から、踵を返して利上げフェーズをスタートさせ、さらに想定以上の高インフレ長期化の兆しに利上げ幅も急拡大。
ここまでは利上げ終了後の先行きを見越すような状況にはなく、先行き不透明感から金も売られてきた格好にも。
実際に、早期にそうなるかどうかは別として、パウエル議長が利上げペース減速への可能性を示唆したことから、わずかながらも先行き不透明感が後退し、金価格は1回目の底打ちトライの動きとなったかもしれません。
27日のNY金相場は+1.4ドル、0.08%の小幅高で3日ぶりの反発。ロンドン時間には1720ドル台前半まで、NY朝には一時1710ドル割れへと小幅上下動も、FOMCを前に1710ドル台半ばから後半での小幅揉み合いに終始。NY引け後には想定どおりのFOMC結果を受けて1720ドル台半ばへと小幅に上昇。パウエルFRBの議長会見を経てハト派的な見方も強まり、ドル安急進に連れて米株急騰に連動、1730ドル台へと急騰、高値では1740ドル近辺まで上昇。上方向への節目1730ドルを突破して右肩下がりの20日移動平均線(1736.4)も上抜けたことから短期的には一段高への可能性、1750ドル近辺が上値目標も、既に到達の勢いに。反発局面継続の場合、次の目安としては3月の今年高値(2078)から7月の今年安値(1678.4)までの23.6%戻し(1772.9)辺りまでが意識される可能性も。
NYプラチナは+12.8ドル、1.48%の反発。アジア時間に860ドル近辺まで、浅めの押し目を形成して反発へ。NY市場で870ドル台を回復すると、NY引け後のFOMCにを経て880ドル台へと一段高。前日上ヒゲでつけた短期上値目標880ドル付近にこの日はしっかりと水準を切り上げる形となり、さらなる上値トライ継続への余力も。金の一段高にも追随し、ロンドン市場以降に買い圧力再燃となれば900ドルの大台ラインが意識されるような展開にも。
ドル円は35銭のドル安円高、0.26%安で3日ぶりの反落。東京時間から欧州序盤までは137円を挟んでの小幅揉み合い推移、欧州時間に一時136円50銭台まで下押し後、NY時間にかけてはドル買い優勢の展開となってNY午後には一時137円40銭台まで上昇。タカ派優勢との見方はFOMC後のパウエル議長会見を経て崩れる形となって137円割れへと急落。136円30銭台の安値をつけた後NY終盤にかけては136円半ばに収束。今朝の東京市場では136円割れへと一段安。このまま136円台を回復できなければ調整局面拡大へ、短期的には135円前後までが下値目安に。勢いが強まるようだと5月安値(126.36)から7月の今年高値(139.39)までの38.2%戻し(134.41)近辺までが意識される可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/27終値とチャート
28日の国内金価格は+58円、0.7%の続伸。超えられそうで超えられない9日移動平均線(8288)に上値を押さえら続けた状態からようやく解き放たれ、7月15日(8352)以来2週間ぶりの高値となって底打ち・反発への兆しにも。8280円台の節目上抜けに伴う短期上値目標8340円程度までもう少しの上昇余地も。さらに勢いが続くようなら6月高値(8859)から7月安値(8234)までの23.6%戻し(8382)近辺までが意識される可能性も。
プラチナ価格は+30円、0.72%の反発。4150円の節目上抜けに伴う上値トライへの流れはFOMC直前の足踏みを挟んで再開、7月20日(4219)以来1週間ぶり高値となって21日移動平均線(4191)との攻防へ。ここもしっかり上抜けることができれば一段高に向けた勢いが増すことにも。当面の上値目標は90日移動平均線(4295)、6月の今年高値(4682)から7月安値(4070)までの38.2%戻し(4304)近辺、4300円前後まで。
※参考:金プラチナ国内価格7/28とチャート
- 2022年7月28日(木)時点の相場
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国内金 : 8,329 円 7/28(木) ▲58(0.70%) 国内プラチナ : 4,191 円 7/28(木) ▲30(0.72%) NY金 : 1,719.1 ドル 7/27(水) ▲1.4(0.08%) NYプラチナ : 877.2 ドル 7/27(水) ▲12.8(1.48%) ドル円 : 136.61 円 7/27(水) ▼0.35(0.26%)
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