金プラチナ短期相場観

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黒田ショック、金融緩和一部修正で株も為替も大幅修正

更新日:2022年12月21日(水)

ドル円×実質金利 2022年12月20日日銀は20日、金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)における10年物国債金利の許容変動幅を、従来の+-0.25%から+-0.50%へと拡大することを決定。市場機能を改善することにより、金融緩和の持続性を高めることを狙った変更との説明。「利上げではない」とする黒田日銀総裁に対して「事実上の利上げ」と解釈した市場の思惑との乖離から、20日の国内株式市場と日本円絡みの為替は大荒れに。

日銀のサプライズ措置により、この日急騰した日本の10年債利回りは0.4%近辺へ。固定化されていた日本の10年債利回りの急変動を受けて欧米の長期金利も上昇。米10年債利回りは3.58%台から3.68%台へと急騰し、20日ぶりの高水準に。米10年債の期待インフレ率、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も2.15%から2.24%へと上昇。
この結果、実質金利は1.44%から1.45%へとわずかに上昇。137円近辺から131円台へと急落したドル円との逆行状態は一段と進行し、乖離幅も急拡大。

今年3月以降はほぼ連動状態で上昇してきたドル円と米実質金利は、10月末にピークアウトして調整局面では徐々に乖離。一時0.95台まで上昇していた90日相関係数は、この日0.65台まで低下、4月以来8ヵ月ぶりの低相関状態となってきました。
サイクル的には相関性低下フェーズが進行中ながら、やや急速に相関性が低下し、逆行状態急進となった流れは、いずれ巻き戻しの展開へと移行することも想定されます。

インフレの持続的、安定的2%達成に向けて大規模金融緩和を継続するための一部修正により、市場は大幅修正を余儀なくされ、ドル円と実質金利との関係性も大きく捻じ曲げられた状態となってきたようです。

NY金・日足チャート 2022/11/15 - 12/2020日のNY金相場は+27.7ドル、1.54%の大幅反発で12月13日(1825.5)以来、1週間ぶりの高値。サプライズとなった日銀のYCC調整を受けて円高主導のドル高の流れが徐々に強まり、アジア時間に1800ドルの大台を回復するとロンドン市場では1810ドル台へと一段高、NY市場では1820ドル台へ、高値では一時1830ドル台を試す場面も。まだ下げ止まらない200日移動平均線(1795.3)にしっかりサポートされての急反発も、高値保ち合い上限1830ドル突破には至らず。12月13日高値(1836.9)とこの日の高値(1832.4)とでダブルトップの可能性を残した格好にも。目先は1780ドル台までを下限とした高値保ち合い継続の様相も、1830ドル超へと抜け出すことになれば6月後半高値圏1870ドル近辺までを目標に一段高トライの展開へ。12月15日安値(1782.0)を割り込むようならダブルトップ完成となって調整局面へ、下値目安は1730ドル台まで。

NYプラチナ・日足チャート 2022/11/15 - 12/20NYプラチナは+25.3ドル、2.56%高となって5日ぶりの反発。1000ドル台の節目割れに伴う短期下値目安970ドル近辺に対してはアジア時間につけた安値979.0ドルまでで切り返し。ロンドン市場では反発局面が加速したNY金に追随、1000ドル台の節目ではいったん上値を押さえられる形にもなったものの、NY市場ではこれも突破して1010ドル台へと一段高。高値では一時1020ドル付近まで上昇し、ほぼ水平状態の20日移動平均線(1013.7)近辺で一服状態に。高値保ち合い崩れからの保ち合い回帰となり、980ドル台が目先の下値サポートに。あらためてこれを割り込むようだと下値トライ再開、940ドル近辺までが下値目安にも。上方向には1040ドルの節目を突破すると11月高値更新トライへ、1080ドル近辺までが上値目標に。

ドル円・日足チャート 2022/11/16 - 12/20ドル円は5円21銭のドル安円高、3.81%の大幅反落で8月1日(131.61)以来、4ヵ月半ぶりのドル安円高水準に。下げ幅としては米CPI下振れを受けて急落した11月10日(-5.43円、3.71%)以来、下落率では少なくとも2005年以降では最大の急落。東京朝の137円40銭台からNY市場でつけた安値は130円50銭台、この日の変動値幅は6円92銭となり、ブレグジットの2016年6月24日(7.65円)以来、6年半ぶりの大荒れ。日銀サプライズを受けての急落で137円台から133円近辺まで急落し、欧州時間には132円割れ。135円台半ばの節目割れに伴う短期下値目安、8月半ば安値131円台にもいきなり到達し、NY午後には131円割れ。8月安値(130.39)とで二番底をつけた形にもなり、今朝の東京市場では132円台を回復。いったんは落ち着く格好となって一定の自律反発となれば、10月高値(151.94)からこの日の安値(130.55)までの23.6%戻し(135.60)、直近の節目水準までが戻りの目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/20終値とチャート

21日の国内金価格は-201円、2.34%の大幅反落で9月28日(8300)以来、3ヵ月ぶりの安値。下げ幅としては6月14日(-275円、3.1%)以来、半年ぶりで今年3番めの急落。米国のインフレ動向とFRBの金融政策動向主導で大きく動いてきた国内金価格も、この日ばかりは日銀主導によるサプライズ急落。今年後半高値からのゆるやかな軟調推移で下げ渋る状態からの保ち合い崩れとなり、8570円のサポート割れに伴う短期下値目安8500円の大台付近を突き抜け、さらに100円下げて8400円割れ。9月安値(8280)から11月高値(8744)までの76.4%戻し(8390)付近に到達。自律反発への流れが強まれば戻りの目安としては11月安値圏8480円近辺、予想外に一段安へと向かえば9月安値8280円近辺が意識され、二番底をつけに行く可能性も。

プラチナ価格は-57円、1.21%安で5日続落。5日続落は1ヵ月ぶりで今年4度め。10月20日(4586)以来、2ヵ月ぶり安値圏での一段安。4800円の節目割れに伴う短期下値目安4660円程度に到達し、若干のオーバーラン。一服後の自律反発優勢の展開となれば直近安値4700円近辺までが戻りの目安に。下げ過ぎの警戒水準としては90日移動平均線(4594)から、9月安値から11月高値の半値戻し(4564)近辺も。
※参考:金プラチナ国内価格12/21とチャート

2022年12月21日(水)時点の相場
国内金8,397 円 12/21(水) ▼201(2.34%)
国内プラチナ4,646 円 12/21(水) ▼57(1.21%)
NY金1,825.4 ドル 12/20(火) ▲27.7(1.54%)
NYプラチナ1,013.0 ドル 12/20(火) ▲25.3(2.56%)
ドル円131.71 円 12/20(火) ▼5.21(3.81%)

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