金プラチナ短期相場観
CPI総合指数は予想下振れ、2年ぶり低水準でドル売り・金買い
更新日:2023年5月11日(木)
米労働省発表の4月消費者物価指数(CPI)は総合指数が市場予想をわずかに下回ったことを受けてインフレ鈍化が意識される展開に。米10年債利回りが3.5%を割れて3.4%台半ばへと急低下、ドル円も急落してNY金は急騰。
4月CPIは前年比+4.93%。市場予想の+5.0%を下回り、3月の+4.98%からも低下してピークとなった昨年6月(+9.06)から10ヵ月続落となって2021年4月(4.16)以来、2年ぶりの低水準。
コアCPIは前年比+5.52%。市場予想の+5.5%とほぼ同水準、3月の+5.59%からは反落となり、2021年12月(5.45)以来、1年4ヵ月ぶりの低水準。ただし6ヵ月連続5%台後半で下げ渋る格好にも。
セクタ別では食品とエネルギーを除くモノの価格が3月の前年比+1.5%から+2.0%へと2ヵ月連続上昇し、4ヵ月ぶり高水準となったのに対し、エネルギー関連を除くサービス価格は前年比+6.8%となって2ヵ月連続の低下で5ヵ月ぶりの7%割れ、鈍化の兆候に。
項目別では賃貸住宅が3ヵ月連続で前年比+8.8%の横ばい推移となり、高止まり、も上げ渋り。帰属家賃は2ヵ月連続の前年比+8.0%から4月は+8.1%へと小幅上昇。
クリーブランド連銀発表のメディアンCPIは前年比+6.98%。過去最高更の2月から続落で5ヵ月ぶりの低水準。
同、16%トリム平均CPIは前年比+6.08%。7ヵ月続落で1年2ヵ月ぶりの低水準。
アトランタ連銀発表のスティッキーCPIは前年比+6.46%。続落で8ヵ月ぶりの低水準。
全般的に、インフレ鈍化傾向がゆっくりと進行し始めた状況を示唆しているようです。
10日のNY金は-5.8ドル、0.28%安で3日ぶりの反落。CPI高止まりを警戒する向きが優勢となったようで時間外にはゆるやかなドル高の流れに連れ、2040ドル台半ばから2030ドル台半ばへと軟調推移。NY市場では米4月CPI総合指数が市場予想を下回ったことを受けてドル売りとともに2050ドル台半ばへと20ドル程の急騰で反応、しかしコアCPIは市場予想どおりでわずかな鈍化にとどまったこともあり、一方的な流れは続かず巻き戻しの展開へ。NY午後には急騰前の水準を下回って一時2030ドル割れ、NY引けにかけては2030ドル台半ばへと反発し、結果的には上に行って来い。主要レンジ上限を2050ドルへ切り下げ、引き続き2020ドルの下限までのレンジで高値保ち合いの構図。下限割れなら2000ドルの大台前後まで下値余地拡大、上限突破なら2080ドル近辺の最高値圏再トライへ。
NYプラチナは+3.1ドル、0.28%高で4日続伸。4月21日(1138.7)以来、半月ぶり高値圏での一段高。1110ドル台後半での小幅保ち合い推移から、NY朝のCPI発表後には金に追随、1130ドル台後半までの急騰後に1110ドル近辺まで急反落。上ヒゲを形成しながらも、乱高下をはさんでNY終盤には1120ドル近辺を回復するとNY引け後には1120ドル台半ばへと反発局面維持の様相にも。4月高値(1148.9)から5月安値(1042.7)の76.4%戻し(1123.8)を達成した状態となり、1100ドルから61.8%戻し(1108.3)近辺でサポートされると4月高値圏トライ、1150ドル近辺までが意識される可能性も。
ドル円は84銭のドル安円高、0.62%安となって4日ぶりの反落。NY朝には4月CPIの結果を受けてドル安円高の流れが急速に進行、135円40銭台から134円20銭台まで、1円20銭程の急落。上昇軌道を維持する20日移動平均線(134.63)を突き抜けての下落後は134円20銭の節目でいったん下げ渋り、自律反発は20日線がレジスタンスに切り替わって上値を押さえられる形となり、NY午後には134円10銭台まで下落。NY終盤にかけて134円40銭付近まで反発して節目の134円20銭をなんとか維持した格好も、今朝の東京市場では134円割れへと軟調推移。このまま134円20銭の節目割れとなれば3月末からのゆるやかな上昇トレンドが崩れ始めた可能性。調整局面入りとなって当面の下値目安は3月末安値(129.64)から5月高値(137.77)の76.4%戻し(131.56)近辺、131円台後半まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/10終値とチャート
11日の国内金価格は-107円、1.11%安で6日ぶりの反落。6営業日ぶりの過去最高値更新ストップ。下げ幅としては今年の絶対値平均48円の2.23倍、今年4番めの急落。インフレ鈍化をきっかけにドル高円安の巻き戻し、NY金は急騰も続かず乱高下状態となっての小幅下落で国内金への下押し圧力が一時的に強まる格好に。調整目安となっていた4月末安値(9341)から5月高値(9679)の23.6%戻し(9599)を達成してさらに一段安。38.2%戻し(9550)が調整継続の目安となる反面、一服後の高値保ち合いとなって高値更新再トライへと向かえば4月高値(9495)から4月末安値(9341)の261.8%戻し(9744)近辺が次の上値目標にも。
プラチナ価格は-8円、0.15%安で3日ぶりの小幅反落。今年高値更新後の一服となり、8年9ヵ月ぶり高値圏での高止まり。再び上昇し始めた9日移動平均線(5073)が当面のサポート候補にもなり、強気のパーフェクトオーダーを再構成。高値再更新へと向かえば2014年高値(5246)が意識される可能性。
※参考:金プラチナ国内価格5/11とチャート
- 2023年5月11日(木)時点の相場
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国内金 : 9,572 円 5/11(木) ▼107(1.11%) 国内プラチナ : 5,189 円 5/11(木) ▼8(0.15%) NY金 : 2,037.1 ドル 5/10(水) ▼5.8(0.28%) NYプラチナ : 1,119.1 ドル 5/10(水) ▲3.1(0.28%) ドル円 : 134.39 円 5/10(水) ▼0.84(0.62%)
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