金プラチナ短期相場観
世界の金需要-2023年第1四半期
更新日:2023年5月9日(火)
WGC(ワールドゴールドカウンシル)発表の四半期レポートによれば、2023年第1四半期の世界の金需要は1080.8トン。前期比-222.1トン(17.0%)の大幅減、前年比でも-157.7トン(12.7%)となり、3四半期ぶりの減少。
中央銀行の買い越し量が3四半期連続で前年比大幅増となった反面、投資需要は4四半期連続の前年割れ。
<目的別需要>
■宝飾品:508.6トン※3四半期ぶり低水準。前期比-92.7トン(15.4%)、前年比-7.8トン(1.5%)。シェア47.1%※2四半期ぶり高水準。
■産業用:70.0トン※11四半期ぶり低水準。前期比-2.3トン(3.2%)、前年比-10.9トン(13.5%)。シェア6.5%※3四半期ぶり高水準
■投資:273.7トン※4四半期ぶり高水準。前期比+23.1トン(9.2%)、前年比-284.7トン(51.0%)。シェア25.3%※4四半期ぶり高水準。
■中央銀行:228.4トン※3四半期ぶり低水準。10四半期連続買い越し、前期比-150.2トン(39.7%)、前年比+145.7トン(176.2%)。シェア21.1%※3四半期ぶり低水準。シンガポール、中国、トルコ、ロシア、インドなどで増加。
<投資需要・内訳>
■現物:302.4トン※3四半期ぶり低水準。前期比-37.8トン(11.1%)、前年比+14.7トン(5.1%)
■ETF:-28.7トン※4四半期連続の売り越し。
ETFの売り越し幅が4四半期で最小にとどまったことで投資需要増加とともに価格も急騰、1890.2ドルで10四半期ぶり高値水準に。
<金消費需要>
現物投資需要と宝飾品需要を合わせた金消費需要は811.0トン。前期比-130.6トン(13.9%)、前年比+6.9トン(0.9%)で3四半期ぶり低水準。全需要に対するシェアは75.0%で2四半期ぶり高水準。
★1位中国、2位インド。6四半期連続でトップ2は入れ替わり。中国の宝飾品需要は197.7トンで8年ぶり高水準。インドの宝飾品需要は78.0トンで2年半ぶり低水準。現物投資需要は中国は65.9トンで2四半期ぶり高水準、インドは34.4トンで3四半期ぶり低水準。2カ国合計の金消費需要の世界シェアは46.4%で2四半期ぶり低水準。
<世界の金消費大国>
世界の金消費需要上位3カ国の合計シェアは56%。1位中国は263.5トンで前期比+40.0%で2年ぶり高水準、2位インドは112.5トンで前期比-59.3%、2年半ぶり低水準。3位トルコは59.5トン(+51.4%)で9年3四半期ぶり高水準、前期5位から2ランクUP。
4位米国は58.0トン(-21.2%)で2四半期ぶり低水準、3位から1ランクダウン。5位イランは+18.9%で2四半期ぶり高水準、1ランクUP。6位ベトナムは+27.5%で1年ぶり高水準、4ランクUP。7位エジプトは+11.0%で13年ぶり高水準、9ランクUP。8位ロシアは-4.8%で4四半期ぶり低水準、1ランクダウン。9位ドイツは-73.7%の大幅減で2010年以降では最低、4ランクダウン。10位サウジアラビアは+5.2%で2四半期ぶり高水準、1ランクUP。
前期8位のインドネシアは12位へ、9位のタイは23位へ。日本は0.4トンで3四半期ぶり低水準、28位から32位、最下位に。
<リサイクルと供給量>
リサイクルは310.4トンとなって前期比+19.9トン(6.8%)、9四半期ぶり高水準。鉱山産出量は856.0トンで前期比-99.7トン(10.4%)。総供給量は1174.4トンとなり、前期比-58.6トン(4.8%)で2四半期ぶり低水準。
<需給バランス>
需給バランスは+93.6トン、3四半期ぶりの供給余剰。
8日のNY金は前週末から+8.4ドル、0.41%の反発。週末の急落からは20日移動平均線(2016.2)にもサポートされる形で下ヒゲを残し、2020ドル台半ばを回復しての週明け、アジア時間には2030ドル回復トライ、ロンドン・NY市場にかけても2030ドルを挟んでの攻防状態となり、NY午後には一時2030ドル台後半まで上昇。しかし材料不足で勢いにも欠ける状態で失速するとNY引け後には2030ドル割れ。下値サポート候補となっていた2020ドル近辺が目先のサポートとなり、2060ドルの上限までの主要レンジを縮小する形に。2020ドルを維持できなくなればあらためて2000ドルの大台前後まで下値余地拡大へ。2060ドル超えなら2080ドル近辺、最高値更新トライをうかがう展開へ。
NYプラチナは+19.4ドル、1.82%の続伸で4月28日(1090.1)以来、10日ぶりの高値。週明け時間外は1060ドル台後半から、週末の反発局面を継続。アジア時間に1070ドル台後半へと水準を切り上げるとロンドン市場では1080ドルの節目との攻防へ、NY朝には右肩上がりの20日移動平均線(1077.9)とともに節目を上抜け、高値では1090ドル台後半まで上昇。1080ドルの節目超えに伴う短期上値目標1100ドルの大台回復には少し届かず失速するとNY引けにかけては1090ドル割れ。引き続き1100ドル台回復トライ余地を残しながら、20日線から1080ドル近辺で下値をサポートされるかどうか。
ドル円は29銭のドル高円安、0.22%の続伸で5月2日(136.58)以来、1週間ぶりの高値水準を回復。週明けは134円80銭台から急速に買われる展開となって135円30銭近辺まで上昇。これが高値となって東京市場スタートと同時に失速すると東京午後には134円70銭近辺まで反落。東京市場終了後に134円60銭台の安値をつけて切り返すと欧州時間には135円20銭台まで反発。しかし東京朝の高値を超えられず、ただし東京市場終了直後の安値も下回らず、135円をはさんでの保ち合い推移となってNY終盤には135円近辺に収束。上昇軌道を維持する20日移動平均線(134.49)にも下値を支えられ、135円維持とともにゆるやかな短期上昇トレンドもなんとか維持したような格好にも。目先、CPIの結果次第では反発局面継続も、20日線を維持できずに134円20銭の節目も割れるようだと調整局面再開へ、132円割れ辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/8終値とチャート
9日の国内金価格は+36円、0.38%高で4日続伸。4営業日連続、今年15回めの過去最高値更新となって9600円の大台超え。想定可能な一段高の目安、4月高値(9495)から4月末安値(9341)の161.8%戻し(9590)近辺にも到達。さらなる上値目安としては200%戻し(9649)、9650円近辺。過熱感はないものの、調整目安としては4月末安値(9341)から5月高値の23.6%戻し(9545)、38.2%戻し(9506)など。
プラチナ価格は+71円、1.43%高で3日ぶりの反発。5月1日(5055)以来、1週間ぶりの高値。ゆるやかに下落し始めた9日移動平均線(5057)にも上値を押さえられ、5月高値にも少し届かず。これらを突破して5060円の節目上抜けとなれば上値トライ再開へ、短期的には5120円近辺までが上値目標に。下方向へは4980円の下値サポートを維持できなくなれば下落基調再開、ゆるやかに上昇する21日移動平均線(4905)も下抜けへ、4900円の大台前後までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格5/9とチャート
- 2023年5月9日(火)時点の相場
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国内金 : 9,608 円 5/9(火) ▲36(0.38%) 国内プラチナ : 5,051 円 5/9(火) ▲71(1.43%) NY金 : 2,033.2 ドル 5/8(月) ▲8.4(0.41%) NYプラチナ : 1,087.7 ドル 5/8(月) ▲19.4(1.82%) ドル円 : 135.12 円 5/8(月) ▲0.29(0.22%)
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