金プラチナ短期相場観
雇用者数大幅増も失業率悪化、賃金鈍化で利上げ見送り支持へ
更新日:2023年6月3日(土)
米5月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回って4ヵ月ぶりの大幅増。過去2ヵ月分も上方改定され、ファースト・インプレッションではポジティブ・サプライズとなってドル高急進の反応。しかし失業率は7ヵ月ぶり高水準へと悪化し、賃金上昇率も鈍化し、強弱混在の結果で市場反応も乱高下気味に。それでもリスク選好の流れとなってドル高円安に株高、NY金は売られる展開に。
平均時給は前年比+4.30%。市場予想の+4.4%を下回り、4月の+4.35%からも低下。1年9ヵ月ぶり低水準となった3月(4.30)と並ぶ低水準。
直近は3ヵ月連続+4.3%台で下げ渋る状態と見ることも可能で、依然として長期平均+2.99%を大きく上回る水準。それでも3ヵ月平均では12ヵ月続落となり、1年9ヵ月ぶりの低水準。鈍化トレンドは継続中。
その他指標等、
・労働参加率は62.6%。コロナ後最高水準となった3月から3ヵ月連続の横ばい推移。それでも失業率(3.7%)上昇・・・雇用情勢悪化。
・雇用者数の大幅増・・・副業増によるダブルカウントの影響も?
・失業率上昇でも、増加(悪化)し始めていた長期失業者の割合(19.8%)は低下・・・半年に満たない失業が増加した可能性、今後は長期失業者増加再開へ?
・労働参加率のコロナ後最高での横ばい推移に対し、人口あたりの雇用率(60.3%)はコロナ後最高(60.4%)から横ばいを経て低下・・・回復局面ピークアウトの兆し?
今回の雇用統計は、大幅利上げによる効果もある程度影響し、雇用情勢変化の兆しを示唆した可能性もあり、利上げ見送りを支持する結果となったかもしれません。
2日のNY金は-25.9ドル、1.3%安となって5日ぶりの反落。5月26日(1944.3)以来、1週間ぶりの安値。アジア時間には2000ドルの大台回復トライも前日高値(2000.7)を超えられずに失速、ロンドン市場にかけては1990ドル台後半で下げ渋る状態からNY朝には米5月雇用統計の結果を受けて急落。強弱混在の結果にも米10年債利回り上昇とドル高、そして株高のリスク選好の流れが続いたことでNY午後には1970ドル割れ、NY引け後には1960ドル台半ばへ。短期上値目標2010ドル近辺には少し届かず、2000ドルの大台ラインがレジスタンスとなり、ゆるやかに下降する20日移動平均線(1992.5)にも上値を押さえられて上値トライは強制終了。1940ドルの下限までが当面の主要レンジに。あらためて2000ドル超へと抜け出すことができれば上値再トライ、2030ドル台辺りまでが上値目標に、下限割れなら2月安値から5月高値の61.8%戻し(1915.7)近辺までの一段安も。
週間ベースでは+25.3ドル、1.3%高で4週ぶりの反発。
NYプラチナは-6.6ドル、0.65%の反落。アジア時間は1010ドル近辺から堅調推移、ロンドン序盤には前日高値を上回って1020ドルまで上昇。しかし1020ドル台を維持できずに失速すると1010ドル割れへ、NY市場では雇用統計後に乱高下、株高に連れての反発は1010ドル台半ばまで、金に連れての反落でNY午後には1000ドル付近まで下落。ただしNY引け後には1010ドル付近へと反発。ほぼ水平状態の90日移動平均線(1015.7)にも上値を押さえられる格好となっての上ヒゲ陰線で軟調局面継続を示唆。990ドル台の下限割れなら980ドル前後までを目安に一段安へ、逆に1010ドルの上限と90日線をしっかり超えることができれば1030ドル台辺りまでを目安に反発再トライへ。
週間ベースでは-24.6ドル、2.39%の続落。
ドル円は116銭のドル高円安、0.84%高で5日ぶりの反発。5月29日(140.44)以来の高値。138円80銭近辺を中心に保ち合いとなって東京午後につけた安値は138円60銭近辺、欧州時間には一時139円10銭近辺まで上昇も139円がほぼ抵抗線に。NY朝には雇用統計を受けて139円40銭台までの急騰で反応も、強弱混在の結果に乱高下状態、ただし139円ラインがサポートに切り替わる格好となり、リスク選好の株高基調にも連れる形で139円台後半へと一段高。ジリジリと水準を切り上げる展開となってNY終盤には140円近辺へ。上昇軌道を維持する9日移動平均線(139.67)を上抜けて高値保ち合い形成の様相に。140円60銭の節目を上抜けることができれば今年高値更新へ、141円台半ば辺りまでが短期上値目標に。下方向へは138円80銭の節目を割れると調整再開、137円台半ばが短期下値目安に。
週間ベースでは-62銭、0.44%安となって4週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/2終値とチャート
- 2023年6月3日(土)時点の相場
-
国内金 : 9,652 円 6/2(金) ▲29(0.30%) 国内プラチナ : 4,872 円 6/2(金) ▲19(0.39%) NY金 : 1,969.6 ドル 6/2(金) ▼25.9(1.30%) NYプラチナ : 1,003.5 ドル 6/2(金) ▼6.6(0.65%) ドル円 : 139.97 円 6/2(金) ▲1.16(0.84%)
利上げ停止から先送り、NY金急落も円安で国内金は高止まり 6/5(月)
雇用者数大幅増も失業率悪化、賃金鈍化で利上げ見送り支持へ 6/3(土)
ユーロ圏製造業PMIランキングとHICPインフレ収束状況 6/2(金)
求人件数4月は予想外の高止まり、も6月利上げは見送り優勢に 6/1(木)
回復基調のユーロ圏景況感指数5月は急失速、上昇わずか4カ国 5/31(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン