金プラチナ短期相場観
ユーロ圏製造業PMIランキングとHICPインフレ収束状況
更新日:2023年6月2日(金)
ユーロ圏製造業PMIの5月改定値は44.8となり、速報の44.6からは上方改定も4月の45.8から低下し、4ヵ月続落で11ヵ月連続の節目50割れ。2020年5月以来、3年ぶりの低水準。コロナ後最低を更新。
調査対象8カ国のうち、5カ国がコロナ後最低、7カ国が50割れとなって格差も拡大。
<ユーロ圏製造業PMIランキング-2023年5月>
1:ギリシャ:51.5=前月比-0.9で続落、4ヵ月ぶり低水準。4ヵ月連続節目50超。12月から6-5-2-1-1-1位。
2:スペイン:48.4=-0.6で続落、4ヵ月ぶり低水準。2ヵ月連続50割れ。8-7-4-2-2-2位。
3:アイルランド:47.5=-1.1で3ヵ月続落、3年ぶり低水準。3ヵ月連続50割れ。2-3-3-4-3-3位。
4:イタリア:45.9=-0.9で3ヵ月続落、3年ぶり低水準。2ヵ月連続50割れ。4-2-1-3-4-4位。
5:フランス:45.7=2年11ヵ月ぶり低水準の前月から+0.1で4ヵ月ぶり上昇。4ヵ月連続50割れ。1-1-6-5-5-5位。
6:オランダ:44.2=-0.7で4ヵ月続落、3年ぶり低水準。9ヵ月連続50割れ。3-4-5-6-6-6位。
7:ドイツ:43.2=-1.3で4ヵ月続落、3年ぶり低水準。11ヵ月連続50割れ。7-8-8-7-7-7位。
8:オーストリア:39.7=-2.3で4ヵ月続落、3年1ヵ月ぶり低水準。10ヵ月連続50割れ。5-6-7-7-8-8位。
この日発表されたユーロ圏のインフレ指標も鈍化傾向が続くなかでも格差は拡大。
EU基準による消費者物価指数、HICP(調和消費者物価指数)の5月速報はユーロ圏が前年比+6.1%。市場予想の+6.3%を下回り、4月の+7.0%からも急低下、1年3ヵ月ぶり低水準に。
製造業PMIランキングで5月まで3ヵ月連続1位のギリシャは前年比+4.1%。昨年秋のピーク水準12%台からは大きく水準を切り下げ、1年5ヵ月ぶりの低水準。
スペインは+2.9%となり、1年10ヵ月ぶりの低水準。アイルランドは+5.4%で1年4ヵ月ぶり低水準。
下位グループでは、オランダが前年比+6.8%。1年5ヵ月ぶり低水準となった3月(4.5)から2ヵ月続伸で3ヵ月ぶり高水準。
ドイツは+6.3%で1年3ヵ月ぶり低水準、オーストリアは+8.7%で11ヵ月ぶり低水準。
上位グループと下位グループとのインフレ収束状況の差が、そのまま製造業PMIランキングの上位と下位との差となっているようです。
1日のNY金は+13.4ドル、0.68%高で4日続伸。5月15日(2022.7)以来、半月ぶりの高値。1980ドル台の節目トライ失敗となった前日の流れを受け、この日はアジア時間の1980ドル台からロンドン序盤にかけて1970ドル付近まで軟調推移。押し目形成で前日安値をわずかに下回ったところで切り返すと、NY市場では強弱混在となった米指標結果を受けて乱高下。5月ADP雇用者数が予想を大幅に上回ると小幅に急反落、1-3月期の労働生産性と単位労働コストがいずれも大幅下方修正されると米10年債利回り低下を受けて急反発、5月ISM製造業景況指数も市場予想を下回って7ヵ月連続節目50割れとなったこともあり、NY午後には一時2000ドルの大台回復、NY引けにかけても1990ドル台を維持。雇用統計前に節目の1980ドル台を上抜ける形となっての一段高、雇用統計がサプライズとならなければ短期上値目標、5月高値(2085.4)から5月安値(1936.0)の半値戻し(2010.7)近辺まで、もう少しの上昇余地も。
NYプラチナは+11.1ドル、1.11%高で3日ぶりの反発。1050ドル台の節目割れに伴う短期下値目安1000ドル前後に到達した一服感からの反発。アジア時間には前日NY市場でつけた安値をわずかに下回りながらも997ドル台で下げ渋り、徐々に反発トライへ。ロンドン市場では1010ドル近辺、NY市場では1010ドル台半ばまで上値を切り上げ、NY引けにかけては1000ドル台後半へと下値も切り上げる展開に。水平状態の90日移動平均線(1016.4)に上値を押さえられる形となり、これを突破できればもう一段の反発も、4月高値(1148.9)からこの日の安値(997.4)までの23.6%戻し(1033.2)辺りまでが短期的な戻り目安にも。990ドル台の下限割れの場合には980ドル前後まで下値余地拡大も。
ドル円は50銭のドル安円高、0.36%安で4日続落。5月23日(138.59)以来1週間ぶり安値圏での一段安。東京市場では138円90銭台から反発基調となり、東京市場終了後には139円90銭台まで上昇。これが高値となって欧州・NY時間にかけては戻り売り。NY朝にはADP雇用の上ブレを受けて139円50銭近辺から80銭台へと急反発も、労働生産性と単位労働コストの下方修正やISM製造業景況指数の低迷などを受けて一時138円40銭台まで下落してこの日の安値。落ち着きを取り戻したNY終盤にかけては138円80銭近辺に収束。3月安値(129.64)から5月高値(140.93)の23.6%戻し(138.27)付近まで下げ、過熱感もそれなりに解消したことから、雇用統計がそこそこの好結果となれば下げ止まって高値保ち合いの展開にも。反発方向への目安としては9日移動平均線(139.51)辺りまでが意識され、下方向へは137円90銭の節目を割り込むようだと200日移動平均線(137.29)割れトライへ、38.2%戻し(136.62)近辺までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/1終値とチャート
2日の国内金価格は+29円、0.3%の反発。過去最高値(9679)となった5月10日以来、3週間ぶりで過去2番めの高値。9620円の節目上抜けに伴う短期上値目標9700円近辺を目指す流れは雇用統計前に再開、依然として失速気味の状態ながら、雇用統計の結果次第で週明け早々に目標到達へも。当面の下値サポート9590円割れへと反落の場合には9500円近辺までを下値目安に大幅調整も。
週間ベースでは+93円、0.97%の続伸。
プラチナ価格は+19円、0.39%高で3日ぶりの反発。2月の今年安値(4289)から5月の今年高値(5197)までの38.2%戻し(4850)達成後の自律反発も限定的に。もう一段の戻り目安としては5月高値から6月安値(4853)までの23.6%戻し(4934)近辺も。ただし6月安値更新へと向かえば4800円近辺までが一段安の目安に。
週間ベースでは-109円、2.19%安で3週続落。3週続落は2月以来、3ヵ月ぶり。下げ幅では2月初旬以来、3ヵ月半ぶりで今年3番めの大幅安。
※参考:金プラチナ国内価格6/2とチャート
- 2023年6月2日(金)時点の相場
-
国内金 : 9,652 円 6/2(金) ▲29(0.30%) 国内プラチナ : 4,872 円 6/2(金) ▲19(0.39%) NY金 : 1,995.5 ドル 6/1(木) ▲13.4(0.68%) NYプラチナ : 1,010.1 ドル 6/1(木) ▲11.1(1.11%) ドル円 : 138.81 円 6/1(木) ▼0.50(0.36%)
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