金プラチナ短期相場観
米輸入物価指数、前年比では6ヵ月続伸、1年半ぶり高水準
更新日:2024年7月17日(水)
米6月の小売売上高は市場予想を上回る好結果となり、消費の堅調ぶりを示唆する格好となり、インフレ鈍化ペースの遅延要素の一つが健在であることを示す結果にも。
小売売上高と同時刻に発表された輸入物価指数も同様の傾向を示す結果に。
6月の輸入物価指数は前月比+-0%。市場予想の-0.2%を上回り、5月からも上昇。
前年比では+1.58%。5月の+1.36%を上回り、6ヵ月続伸、4ヵ月連続プラス圏推移で2022年12月(+3.20)以来、1年半ぶりの高水準。
6月のPPIが前年比+2.63%となり、5ヵ月続伸で1年3ヵ月ぶりの高水準となった状況を下支えする格好にも。
6月CPIは1年ぶりの低水準とはなったものの、鈍化ペースは依然スロー、輸入物価指数とPPIに下支えされる構図も継続。
IMF(国際通貨基金)はこの日発表した世界経済見通しにおいて、「ディスインフレの勢いが鈍化しており、金融緩和がさらに遅れ、途上国に対するドル高圧力が続く可能性」を指摘しています。
過去の推移からは、輸入物価指数がPPI、CPIを上抜けたら要注意。
16日のNY金は+38.9ドル、1.60%の大幅続伸。5月20日(2438.5)以来、2ヵ月ぶりで今年23回めの過去最高値更新。上昇率では今年の絶対値平均0.73%の2.2倍、今年4番めの急騰。時間外序盤の2420ドル台半ばが安値となって堅調推移、米10年債利回り低下とドル安基調にサポートされてロンドン序盤には2440ドル台へ。NY朝には米6月小売売上高が市場予想を上回る好結果となったことで巻き戻し、しかし一時的で2430ドル台前半までに留まって切り返すと2450ドル台へ。最高値更新後に加速するとNY午後には2460ドル台、NY引け後には2470ドル台へと一段高。9月利下げ開始観測が一段と強まったことを背景に米株とともに最高値更新へと加速し、三尊天井形成リスクも解消した格好にも。過熱感も高まり、多少の調整は入りやすい状況に。6月安値(2304.7)から最高値(2474.5)の23.6%戻し(2434.4)、38.2%戻し(2409.6)辺りまでが当面の調整目安にも。
NYプラチナは+0.5ドル、0.05%の小幅高で3日ぶりの反発。時間外は1010ドル近辺が高値となって1000ドル台で軟調気味に推移、NY朝には小売売上高の好結果を受けてNY金の反落局面に追随、大台を割れて990ドル付近まで小幅に急落。反発局面にも追随する形でNY午後には1010ドル台を回復、ただし高値も1010ドル台半ばまでと限定的。990ドルから1050ドルまでの主要レンジの下半分での推移が続いて横ばい推移傾向となるなか、連日の下ヒゲでも微妙に下値を切り下げる形に。990ドルの節目を維持できなくなれば950ドル近辺までを目安に下値切り下げの展開へ。
ドル円は+25銭、0.16%の続伸。前日の下ヒゲ陽線の勢いを受け継ぐ形で反発局面継続トライ、東京朝の158円近辺が安値となり、158円台半ばへと水準を切り上げると午後には158円70銭台まで上昇。東京市場終了と同時に失速すると欧州時間には158円30銭台へと軟調推移、NY市場では米小売売上高の結果を受けて158円20銭台から80銭台まで急騰。これが高値となって失速するとNY午後には米10年債利回り低下とともにドル安の流れとなって軟調推移、NY終盤には158円30銭近辺へ。結果的に上ヒゲを残す形で小幅上昇にとどまり、9月利下げ観測と介入警戒感なども重石となり、目先の反発局面も限定的にとどまって保合い傾向へのシフトも予想されるところ。ただし157円80銭の節目を割り込むようだと157円割れを目安に下値切り下げの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/16終値とチャート
17日の国内金価格は+268円、1.99%の大幅続伸。3営業日ぶりで今年32回めの過去最高値更新。上昇率は今年の絶対値平均騰落率0.63%の3.2倍、3月21日(+299円、2.64%)以来4ヵ月ぶりで今年2番めの急騰。13480円の節目上抜けに伴う短期上値目標13550円近辺を突き抜けての一段高となり、RSIは80%超へと急騰。利下げ観測急騰によるNY金の急騰と、それにもかかわらずドル安は限定的、円安圧力でドル円の反発局面進行、にしてもやや行き過ぎの様相にも。調整目安としては、6月安値(12689)から最高値(13743)の23.6%戻し(13494)近辺も。
プラチナ価格は+42円、0.76%高で3日ぶりの反発。5560円の節目割れに伴う短期下値目安5470円近辺を目指した流れは少し届かず、5500円の大台付近で折り返し。ただし、下抜けたばかりの21日移動平均線(5555)にはわずかに届かず、これがレジスタンスに切り替わるようだと戻り売りの構図となって軟調局面継続へ。5500円の節目を割れると5460円程度までを目安に一段安へ。逆に21日線と9日線(5607)も上抜け、5620円の節目を上抜けると局面打開、5720円辺りまでを短期上値目標に反発局面形成へ。
※参考:金プラチナ国内価格7/17とチャート
- 2024年7月17日(水)時点の相場
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国内金 : 13,743 円 7/17(水) ▲268(1.99%) 国内プラチナ : 5,551 円 7/17(水) ▲42(0.76%) NY金 : 2,467.8 ドル 7/16(火) ▲38.9(1.60%) NYプラチナ : 1,011.5 ドル 7/16(火) ▲0.5(0.05%) ドル円 : 158.38 円 7/16(火) ▲0.25(0.16%)
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