金プラチナ短期相場観

世界のプラチナ需給 2025年第1四半期
更新日:2025年5月20日(火)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2025年第1四半期の世界のプラチナ総需要は70.7トン。前期比+1.8%、前年比+10.4%で3四半期ぶりの高水準。宝飾品と投資需要が堅調。
総供給量は45.3トンで前期比-25.2%、前年比-9.6%で4年3四半期ぶりの低水準。需給バランスは25.4トンの供給不足。供給不足は2四半期連続となり、不足量としては近年最大。
2025年の通年見通しでは総供給217.7トン、需要247.7トンで30.0トンの供給不足。2024年の-30.8トンに続き、3年連続の大幅供給不足見込み。
★地上在庫は2022年の156.0トンから3年連続減で2025年には67.2トンへ、3年で半分以下へと減少見込み。仮に年間30トンペースの供給不足が続いた場合、あと2、3年で地上在庫が枯渇することに。
<供給>
■鉱山産出量:33.8トン 前期比-28.6%、前年比-12.8%、4年3四半期ぶりの低水準。うち南アフリカ:22.2トン(前期比-38.4%、前年比-10.2%)、4年3四半期ぶり低水準。ロシア:5.6トン(前期比+23.3%、前年比+1.1%)。2カ国合計シェアは80.8%、4四半期ぶり低水準。ロシア以外は低迷。2025年の年間見通しでは168.8トン。前年比-6.1%で5年ぶり低水準。
■リサイクル:11.5トン 前期比-13.3%、前年比+1.6%で2四半期ぶり低水準。2025年見通しは48.9トン。前年比+2.8%で3年ぶり高水準。
<需要>
■自動車触媒:23.4トン 前期比-5.5%、前年比-4.0%、2四半期ぶり低水準。 2025年見通しは94.9トン、前年比-1.7%で3年ぶり低水準となる見込み。
■宝飾品:16.6トン 前期比+2.3%、前年比+9.1%で4年1四半期ぶり高水準。2025年年間では65.8トン、前年比+1.2%で7年ぶり高水準に。インドを除く全地域で増加。
■工業用:16.4トン 前期比-5.2%、前年比-21.7%。6四半期ぶり低水準。2025年見通しは65.6トン、前年比-15.1%で7年ぶり低水準。
■投資:+14.3トン 2四半期連続の買い越し。現物投資:3.3トン、前期比+15.0%、前年比-6.4%で1年ぶり高水準。ETF関連:-0.2トン、2四半期ぶり売り越し。
2025年は+21.4トン、-2.0%も3年連続買い越し。現物:13.6トン、前年比+23.0%で2年ぶり高水準。ETF関連:+3.1トンで2年連続買い越し。
★2025通年で、需要全体における自動車触媒の占める割合は38.3%で2年ぶり高水準。宝飾品は26.5%で3年ぶり高水準。工業用は26.5%で8年ぶり低水準。投資は8.6%で5年ぶり高水準。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は19.9トン。前期比+4.2%、前年比+6.2%。5年ぶりの高水準。
NYプラチナの第1四半期平均価格は987.4ドル。前期の974.0ドルから小幅続伸、3四半期ぶりの高値。ETFがわずかに売り越しとなり、値動きは限定的に。
2025年通年での消費需要は79.4トン。前年比+4.4%で8年ぶりの高水準となる見込み。
19日のNY金は先週末から+46.3ドル、1.45%の反発で5月13日(3247.8)以来、1週間ぶりの高値。週末のNY引け後に3180ドル台から3200ドル近辺へと上昇して折り返し、週明け時間外には3240ドル台へと一段高。アジア時間の3250ドル台が高値となって週末高値は超えられず、米国債の格下げに伴うドル売り局面に呼応する形での急騰局面は一服。3210ドル近辺までの反落を挟んでロンドン市場では3250ドル近辺までの高値再トライも、NY市場では3230ドル台で落ち着く展開に。乱高下一服で3230ドルの節目をわずかながら上抜けたことから、もう一段の反発局面継続となる可能性も、短期上値目標は3290ドル近辺まで。反落方向へ3180ドルの節目を割れると調整再開、3110ドル近辺までが短期下値目安に。
NYプラチナは+15.7ドル、1.59%の反発で3月31日(1027.5)以来、1ヵ月半ぶりの高値。時間外は990ドル台を中心に保ち合い推移、NY市場では格下げの影響から落ち着きを取り戻した米株の上昇局面に追随。1000ドルの大台ラインを突破すると1000ドル台後半へと小幅に一段高、高値では1010ドル付近まで上昇、NY引け後も堅調維持の様相に。これまで上値を押さえられ続けてきた1000ドルのレジスタンスを突破して一段高トライへと向かう可能性、短期上値目標は1050ドル近辺まで。
ドル円は週末から-77銭、0.53%安で5日続落。5日続落は今年最長で昨年9月以来、8ヵ月ぶり。米国債格下げを受けて146円付近から145円半ばへと急落の兆しで週末を終え、週明け東京朝には145円ちょうど付近まで一段安。145円を挟んでの保ち合いで東京市場を終えると下押し圧力が強まった欧州時間序盤には144円60銭台の安値をつけ、その後は144円後半を中心に小幅保ち合い推移。NY市場での高値も145円20銭近辺までにとどまり、NY終盤には145円割れ。朝までの急落で145円30銭の節目を割り込んだ後は下げ渋りながらも、このラインがレジスタンスに切り替わってしまった可能性もあり、短期下値目安144円近辺までもう少しの下げ余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/19終値とチャート
20日の国内金価格は-123円、0.74%安で3日ぶりの反落。下押し圧力優勢の状況では反発局面も限定的となって戻り売り。ただし、いきなり16420円の節目割れへと押し戻されるほどの圧力もなく、節目割れは回避。16420円から16570円までに、保ち合いレンジを下方圧縮する形となり、比較的重要水準となりうる16420円の節目を割れると短期的には166330円程度までが下値目安。短中期的には5月安値(16363)割れでダブルトップ完成からの一段安リスクも。16570円超へと切り返すことができれば反発局面再開、16690円辺りまでが短期上値目標に。
プラチナ価格は+62円、1.24%の続伸で4月2日(5104)以来、1ヵ月半ぶりの高値。90日移動平均線(5018)、年間平均(5018)などの重要水準を上抜け、9日移動平均線(5021)が90日線をゴールデンクロスした勢いにもサポートされて5060円の節目を上抜け。これに伴う短期上値目標は5110円程度まで。9日線が目先のサポートとなれば堅調維持へ、5010円の節目割れへと反落の場合には4950円程度までの調整も。
※参考:金プラチナ国内価格5/20とチャート
- 2025年5月20日(火)時点の相場
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国内金 : 16,438 円 5/20(火) ▼123(0.74%) 国内プラチナ : 5,078 円 5/20(火) ▲62(1.24%) NY金 : 3,233.5 ドル 5/19(月) ▲46.3(1.45%) NYプラチナ : 1,005.9 ドル 5/19(月) ▲15.7(1.59%) ドル円 : 144.87 円 5/19(月) ▼0.77(0.53%)
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