金プラチナ短期相場観

米国の格下げでドル売り、NY金急騰で国内金価格は下げ渋り
更新日:2025年5月19日(月)
2011年8月にはS&Pが米国の格付けを「AAA」から「AA+」へと格下げ。格付け主要3社全てが最上級としていた米国の格付けが初めて崩れたこの時には市場は混乱。株価は急落し、NY金は買われて史上初めて1700ドル超、1800ドル台へと急騰。その12年後、2023年8月にはフィッチも米国の格付けを「AAA」から「AA+」へと引き下げ。2023年11月にはムーディーズも最上級の「Aaa」こそ維持したものの、見通しを「ネガティブ」へと引き下げていたことから、ムーディーズによる格下げも時間の問題との見方もあった状況下、で今回の格下げ。
これに対してベッセント米財務長官は「ムーディーズは遅行指標」、「格下げは織り込み済み」として懸念を一蹴、逆に「成長による財政再建」を主張する強気姿勢。
ともあれ週末の金曜、NY市場終わりのタイミングで発表された今回の格下げを受けて市場はプチ・パニック。
為替市場でドル円は146円付近から145円半ばへと急落の兆しで週末を折り返し、週明けには145円ちょうど付近まで一段安。週末NY引け後に3180ドル台から3200ドル近辺へと上昇していたNY金は週明け時間外には3240ドル台へと一段高。
19日の国内金価格は週末から+23円、0.14%の小幅続伸。16820円の節目割れに伴う短期下値目安16580円近辺オーバーランからの巻き戻しの流れが続いて短期下値目安付近へ。しかし下押し圧力優勢の状況は変わらず、目先の重要なサポートとなる16420円の節目を割り込むようなら調整局面再開となって一段安へ。短中期的な重要水準5月安値(16363)も割り込んでダブルトップ完成へ、16330円程度までが短期下値目安に。地合い回復に向けては21日移動平均線(16715)が目安に、16870円の節目上抜けなら局面打開、最高値圏再トライの流れへ、17130円辺りまでが短期上値目標に。
一目均衡表では転換線(16758)を下抜け、基準線(16162)にはまだ距離を残して一役揉み合い状態に。残る二役は好転状態継続、遅行線は次週、月末にかけて相対する26日前価格が急騰し、跳ね上がるか、潜って急落か、相場急変リスクに警戒すべきタイミングにも。中長期上昇トレンドにおいては4階層に分かれる上昇チャネル形成の様相にも。目先、中央ラインを維持できれば第2階層を維持してゆるやかな上昇トレンドにも。これを維持できなければ第3階層へ、4月安値(15235)から5月最高値(17089)の38.2%戻し(16381)近辺がサポート候補に。
NYプラチナは990ドル台での小動きが続き、国内プラチナ価格の値動きも限定的。週明けの価格は先週末から+5円、0.10%の小幅高で4日ぶりの反発。200日移動平均線(5013)をわずかに上抜けたものの、90日移動平均線(5019)、年間平均(5018)にはわずかに届かず、中期中立水準との攻防は継続。現状の攻防水準を突破して5060円の節目上抜けにも成功すると一段高トライへ、5110円辺りまでが短期上値目標となり、中期中立水準半ばから上位階層へと上方シフト。
一目均衡表では三役いずれも攻防状態から上抜けて三役好転。ただし水平状態が続いていた雲の上限を超えることはなく、先週後半には価格水準を下げながら、それ以上に雲の上限が急低下したことで横抜け。遅行線と26日前価格ラインとの関係性も同様。結果オーライでも三役好転、転換線(4976)を維持する限りは堅調局面継続へ。2月の今年高値(5311)から4月の今年安値(4532)までの61.8%戻し(5013)が目先の重要な攻防ライン。61.8%戻しで反発局面を終える流れを繰り返してきた最近のプラチナ価格にとっては正念場。
※参考:金プラチナ国内価格5/19とチャート
- 2025年5月19日(月)時点の相場
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国内金 : 16,561 円 5/19(月) ▲23(0.14%) 国内プラチナ : 5,016 円 5/19(月) ▲5(0.10%) NY金 : 3,187.2 ドル 5/16(金) ▼39.4(1.22%) NYプラチナ : 990.2 ドル 5/16(金) ▼5.2(0.52%) ドル円 : 145.64 円 5/16(金) ▼0.01(0.01%)
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