金プラチナ短期相場観

米6月製造業景況感も5月求人件数も予想外の底堅さ
更新日:2025年7月2日(水)
トランプ大統領の利下げ強要に反するように、米国の製造業と労働市場は予想外の底堅さ。
米6月のISM製造業景況指数は48.7の市場予想に対して49.0。4ヵ月連続の節目50割れと低調ながら予想ほど悪化せず、半年ぶり低水準となった5月(48.5)からは上昇。
新規受注と雇用指数は5月からさらに低下し、価格指数は上昇となったものの、5月に急低下して輸出入指数はしっかり反発し、生産は4ヵ月ぶりに節目50超を回復。
5月の求人件数は776.9万件。市場予想の730.0万件を上回り、前月からは+5.06%で2ヵ月連続増、半年ぶりの高水準。前年比では-1.57%、2年10ヵ月連続の前年割れも、2年8ヵ月ぶりの小幅減。
5月の失業者数は723.7万人。4ヵ月連続の増加で2021年10月(727.9)以来、3年7ヵ月ぶりの高水準。
この結果、失業者1人当たりの求人件数、求人倍率は1.07件。4月(1.03)を上回り、続伸で4ヵ月ぶりの高水準。
失業者数は増加が続く状況も、求人件数も増加したことで求人倍率は下げ渋り。
米労働市場は悪化しそうでしない、底堅さを示唆した格好。
1日のNY金は+42.1ドル、1.27%の続伸で6月23日(3395.0)以来、1週間ぶりの高値。前日NY市場からの堅調推移がこの日の時間外も継続、アジア時間に3310ドル台前半の安値から3340ドル台へと上昇、ロンドン市場にかけてはドル安の流れにもサポートされて3360ドル台へ。高値では一時3370ドルまで上昇してNY市場では失速、ISM製造業景況指数や求人件数など一連の米指標が市場予想を上回ったこもあり、米10年債利回り上昇とドル高の流れに押されて3350ドル近辺へと反落。3280ドルから3350ドルまでの主要レンジ上限突破にはいったん失敗、ただし上限付近での攻防状態は続き、きっかけさえあれば上抜け再トライへ、上抜け成功なら3400ドルの大台回復を目標に一段高トライへ。下限割れへと反落の場合には3210ドル近辺までを目安に調整再開。
NYプラチナは+15.7ドル、1.17%高で3日ぶりの反発。アジア時間序盤に1370ドル台後半の高値をつけて失速、ロンドン序盤には1340ドルの安値をつけ、前日安値手前で下げ渋るとロンドン・NY朝にかけて1370ドル台へと再反発。しかしアジア時間の高値付近で失速するとNY市場では再び1350ドル割れ、NY引け後には1360ドル台へ。結果的にレンジを縮小する形での保ち合いで十字線を形成。1340ドルが目先の下値サポート、これを維持できれば高値圏での保ち合い形成へ、できなければ1310ドル近辺までを目安に下値再トライへ。
ドル円は-59銭、0.41%の続落で6月4日(142.76)以来、4週間ぶりの安値。東京朝の144円00銭台が高値となって軟調推移。日銀短観や日経平均の軟調推移にも連れ、143円40銭台まで下落していったん下げ渋り。東京市場終了後は欧州時間にかけてドル安の流れとなって143円割れへと一段安、安値では一時142円60銭台まで下落。NY市場では6月の製造業PMI改定値、ISM製造業景況指数、5月の求人件数がいずれも予想を上回る好結果となったことを受けてドル高へと反転、NY午後には143円半ばを回復、NY終盤には143円80銭台まで上昇。ただしトランプ大統領の日米通商合意に否定的な発言が円高圧力にも。144円80銭の節目割れに伴う短期下値目安143円半ばに到達し、若干の行き過ぎで下ヒゲを残す形も、下げ止まれるかどうかは週末の雇用統計、日米通商協議の行方などにも大きく左右され、5月安値圏142円近辺までが目先の下値警戒水準にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/1終値とチャート
2日の国内金価格は+137円、0.82%の続伸。今年の絶対値平均0.81%、130円にほぼ同等の値動きとなり、6月半ばの最高値(17508)から5月末安値(16618)までの23.6%戻し(16828)を達成。最低限の反発をこなして調整局面一服となった可能性も徐々に高まる状況にも。次の節目となる38.2%戻し(16958)は9日移動平均線(16958)とも重なり、新たな局面形成に向けては超えなければならない重要水準に。当面の下限16610円を維持できない場合には調整再開、16520円程度までが短期下値目安に。
プラチナ価格は-16円、0.23%の反落で6月25日(6636)以来、1週間ぶりの安値。下落局面一服状態が続いて下げ渋りも、下げ止まり切れず。それでも9日移動平均線(6733)を維持、しかし短期トレンドは逆転目前で耐える状態。6月安値(5253)から6月高値(7153)の23.6%戻し(6705)辺りまでが次の調整目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格7/2とチャート
- 2025年7月2日(水)時点の相場
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国内金 : 16,851 円 7/2(水) ▲137(0.82%) 国内プラチナ : 6,796 円 7/2(水) ▼16(0.23%) NY金 : 3,349.8 ドル 7/1(火) ▲42.1(1.27%) NYプラチナ : 1,358.7 ドル 7/1(火) ▲15.7(1.17%) ドル円 : 143.41 円 7/1(火) ▼0.59(0.41%)
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PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン