更新日:2015年5月9日(土)
米4月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが事前予想をわずかに下回り、3月分も下方修正されたことなどにより、市場の評価は芳しくなかった様子です。
ただし、詳細指標全般を見渡すと、そこそこの好結果と言える状況にあるようにも見えます。
NFPについては、20万人を超えたことで最低限のノルマを果たした感も、3月分が2012年6月以来の低水準へと大幅下方修正されたことにより、3カ月平均では19.1へと低下。今年の年間平均でも19.4となり、現時点では3年ぶり低水準。それでも6カ月平均で見ると25.45と好調を維持し、評価が分かれそうな状況。その他の指標については以下の通り。
・失業率:5.4%→前月から0.1%低下、2008年5月以来7年ぶり低水準
・U6失業率:10.8%→3カ月連続低下、2008年8月以来6年8カ月ぶり低水準
・労働参加率:62.8%→前月から0.1%上昇
・長期失業者の割合:29.0%→4カ月連続低下、2009年6月以来5年10カ月ぶり低水準
・時間あたりの平均賃金:24.87ドル(前月比+0.12%、前年同月比+2.18%)
やはり賃金上昇率がネックとなっています。重要視される前年同期比では2カ月連続上昇で今年1月以来の高水準とは言え、まだまだ2%前後の水準を抜け切れない状況。
利上げに向けたFRBの判断材料としては、2009年以前の3%前後は当分厳しいとしても、せめて2.5%付近に向けた上昇傾向が明確になるまでは「賃金上昇率の低迷」状態から抜け出す兆し、との判断は難しいのではないでしょうか。
2カ月以上の連続上昇で2.3%から2.4%台あたりがボーダーラインと仮定すると、やはり6月利上げはほとんど不可能に近く、9月以降と見るほうが妥当と推測されそうです。
8日のNY金相場は3日ぶりの反発で0.57%の上昇。雇用統計前からわずかにジリ高の展開、発表直後は1180ドル台半ばから1190ドル台前半まで急騰後、1180ドルへと急落する乱高下の反応。その後内容を見極めると改めて1190ドル台前半へと上昇も勢いはここまで。中途半端な結果にレンジを縮小する流れが継続、上値では1200ドルの大台ラインが除々に遠くなり、下値も1180ドル近辺が徐々に底堅くなる様子も。
週間ベースでは+14.4ドル(+1.23%)で4週間ぶりの反発。
プラチナ相場は4日ぶりの反発となり、1.07%の大幅高。前日チャートの足型が示唆したとおりの結果となり、レンジ下限付近から反発。しかしレンジ相場は抜け切れず、値幅も縮小傾向に。1150-1160ドル辺りが重要な抵抗水準に。
週間ベースでは+13.8ドル(+1.22%)の続伸。
ドル円は小幅続伸。雇用統計の好結果を期待する向きが多かったもようで発表直前には120円20銭台まで上昇。期待にそぐわない結果に119円台半ばへと急落も即120円20銭台まで再び切り返す混乱気味の反応に。結局、前日終値付近へと収束し、可もなく不可もなくといった反応でとりあえず米雇用市場の回復傾向確認は次月へ持ち越し。レンジブレイクのきっかけも先送り。122ドル台前半を目指す流れ再開の可能性もいったん仕切り直し。120円20銭が当面の上値抵抗線となり、突破できた場合には123円近辺を目指す流れとなる可能性も。
週間ベースでは-0.36円(-0.3%)の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/8終値とチャート
2015年5月9日(土)時点の相場
国内金:4,879 円 5/8(金) ▼20(0.41%)
国内プラチナ:4,671 円 5/8(金) ▼33(0.70%)
NY金:1,188.9 ドル 5/8(金) ▲6.7(0.57%)
NYプラチナ:1,143.5 ドル 5/8(金) ▲12.1(1.07%)
ドル円:119.78 円 5/8(金) ▲0.05(0.04%)
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