タカ派寄りに傾斜するFRBと地政学的リスク
更新日:2014年06月25日(水)
元々、代表的なタカ派でもあるフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、米経済が予想より早くFRBの目標に近づきつつあり、利上げをめぐる計画が加速する可能性があること、インフレも上昇傾向、想定以上に速いペースで失業率も低下する公算大、との認識を示しました。
ハト派のニューヨーク連銀ダドリー総裁も、失業率はFRBが利上げを行う前に一段と低下する可能性があるとの見方を示し、インフレ加速を招くことなく失業率を大幅に押し下げることが可能との認識。また、予想は外れることも多いとしながらも、2015年半ばの利上げ開始との市場予想は妥当とも。
さらに、今年のFOMCでの投票権はないものの、来年の投票権を持つサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、米国経済は向こう2年間で健全な状態を取り戻し、完全雇用を達成し、インフレ率も正常な状態に戻るとの見通しを示し、金利は低下ではなく上昇する、と断言。
現時点でのFF金利推移見通しでは、2015年9月のFOMCでのゼロ金利解除を予想していますが、現時点ではかなり妥当な線であり、今後は7月もしくは6月の可能性も高まるのかもしれません。
一方、緊張感高まるイラクでは、シリアによるイラク西部攻撃との報道もあり、事態の複雑化も懸念され、一時停戦中のはずのウクライナでは親ロシア派武装集団がウクライナ政府軍のヘリコプターを撃墜、とこちらも一筋縄ではいかない状況。
これを受けて
VIX指数は7年ぶり低水準から急反発の兆しも。
米国の経済回復基調進展による利上げフェーズの前倒しと中東・ウクライナなどの地政学的リスクは、株価にとっては両方重しとなって高値圏からの反落傾向が目立ち始めます。金相場にとっては売り材料と買い材料、今のところは後者が優勢の様子も。
ドル円にとってはドル高材料と円高材料、両方とも材料視されてか、はたまた無視か、相変わらずのマイペースぶりが継続。
24日のNY市場、金相場は0.22%の小幅高となり5営業日続伸。終値ベースでの1,320ドル台は4月14日以来。イラク・ウクライナ情勢への不安を背景に、予想以上に低調となったドイツ6月の
IFO企業景況感指数が発表された直後に1,320ドル台へと急騰。しかしNY時間には好調な米経済指標に軟調推移。当面の上値目標水準は1,350ドル近辺。サポート水準として1,300ドル近辺、1,240ドルが下方向への節目。
プラチナ相場は1.05%の大幅反発。前日の南ア鉱山スト終結を受けての反発傾向が継続、合意締結、終結宣言後は買い戻しが強まり1,470ドル台へと上昇。ただし、1,480ドルのレンジ上限付近では減速感も。この節目を超えることができれば年初来高値更新トライへ。下方向は1,450ドル台が節目となり、下抜けるとそれなりの下落リスクが浮上。
ドル円はこの日もほぼ横ばい推移。米4月の
ケースシラー住宅価格指数はやや低調となったものの、5月の新築住宅販売件数が6年ぶりの高水準、前月比伸び率では22年ぶりの高水準、6月の消費者信頼感指数も6年5ヶ月ぶりの高水準となったことなどを受けて101円90銭台から102円10銭台へと急騰。しかし、勢いが続かないのが最近のドル円相場の特徴であり、トレンドが発生しないのがトレンド。株安などにも連れて再び102円台割れへ。上下の節目となる90日移動平均は102円22銭、200日移動平均は101円64銭。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/24終値とチャート
国内金価格は0.33%の反発。4,610円近辺の目標水準到達後もこの近辺での小動きが継続中。過熱感高止まりによる反落への警戒感と地政学リスク懸念とが交錯し、動き難い状況。ゆるやかに上向く90日移動平均線の4,540円付近がサポート水準、4,460円台が下方向への節目。
プラチナは0.85%しっかり反発し、流れも好転の兆しで5,130円の上値抵抗線が目前。ここを抜けると今年最高値トライへ。逆に5,070円に切り上げたサポートラインを割れた場合には、5,020円のサポートラインと5,000円の大台割れを試す展開へ。
※参考:
金プラチナ国内価格6/25とチャート
2014年06月25日(水)時点の相場
国内金:4,616 円 6/25(水)
▲15(
0.33%)
国内プラチナ:5,115 円 6/25(水)
▲43(
0.85%)
NY金:1,321.3 ドル 6/24(火)
▲2.9(
0.22%)
NYプラチナ:1,471.9 ドル 6/24(火)
▲15.3(
1.05%)
ドル円:101.97 円 6/24(火)
▲0.04(
0.04%)
6/24(火)のその他主要マーケット指標
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