しばらく続きそうなユーロ不安にユーロ安、追随し始める金
更新日:2014年08月05日(火)
ユーロの対ドル相場は、今年5月上旬の1ユーロ=1.40ドル付近をピークに、ユーロ安ドル高傾向が進行、足元では1.3410ドル台付近。約3ヶ月の間に4.2%もの下落となっています。背景には米欧の金融政策の方向性の違いが大きく、FRBが引き締め方向に向かっているのに対し、ECBは緩和方向。いずれ米ドルの金利は上昇、ユーロは当分の間ゼロ金利継続見込みであることは周知の事実。
さらに、ウクライナや中東情勢の悪化は、地理的に近いユーロ圏のほうが地政学リスクの影響を受けやすく、ウクライナ情勢悪化に伴う対ロシア追加制裁も、経済的な結びつきが強いユーロ圏へのダメージに。
ドイツの景況感も悪化傾向が強く、
IFO企業景況感指数は3ヶ月連続低下中、
ZEW景況感指数は7ヶ月連続低下中。年前半には堅調推移していた
ユーロ圏の製造業PMIも最近3ヶ月は低調で、インドに抜かされ、中国と同等の水準となり、ロシアとの差も急速に縮められる状況。ユーロ圏のなかでは特にフランスが足を引っ張り、3ヶ月連続50未満で47.8まで低下中。さらにフランスの6月の失業者数は過去最多を更新し、オランド大統領の支持率は就任以来最低水準へ。
ポルトガルの大手銀行破綻懸念では中央銀行による資金注入で救済されたものの、信用リスク不安再燃というマイナス材料に。
今年前半、堅調推移していた
ドイツのDAX指数は7月3日に10,029ポイントへと史上最高値更新後、買われ過ぎという状況もあったものの、8月4日終値では9,154、1ヶ月で8.7%もの急落となっています。
様々な悪材料を背景に、売り圧力が強まるユーロと同様に、金相場にも徐々に売り圧力が強まりそうな気配が高まります。
対ドルでの金利差拡大が確実視されるユーロと同様、未来永劫ゼロ金利の金も、対ドルでの金利差拡大は避けようのないマイナス材料に。
同じような材料で、対ドルでの下落傾向が強まることで、
ユーロドルとNY金相場の相関性が足元では急上昇しています。
ただし、ウクライナや中東情勢などの地政学リスクはユーロの売り材料となるのに対して、金にとっては買い材料。金相場がユーロに追随し切れない理由ともなっています。今朝も、イスラエルとハマスの72時間停戦合意が伝えられていますが、これを機に状況改善見込みも想定されますが、根本的なパレスチナ情勢の変化は期待できない可能性のほうが高そうです。そんな複雑な事情が金相場の方向感を失わせる要因の一つとなっているものと思われます。
4日のNY市場、金相場は0.36%反落。前週末の大幅反発で右肩下がりのレジスタンスラインとなる9日移動平均線にぶつかって押し戻された状態、短期下落トレンドが継続。1,280ドルのサポートラインは4-5月にも存在感を示した水準。引き続き地政学リスクへの警戒感にも支えられ、揉み合い傾向へと移行する可能性も。上方向には1,300ドル台が目先の節目に。
プラチナ相場は5営業日ぶりに0.23%の小反発。短期下落トレンドは継続中で、1,440ドル近辺までの下落余地も継続。1,490ドル台が抵抗線に。右肩上がりの90日移動平均線が1,460ドル近辺まで上昇してきており、その下にはやはり右肩上がりの200日移動平均線が1,436ドルに位置し、中期的なサポート水準を形成中。
ドル円は前週末から変わらず。動き始めたかに見えた流れは103円台の節目にドル高方向への勢いを阻まれ、102円台半ばで再び膠着感漂う状態に。永らく続いた膠着相場から急激な変動にはまだ準備不足か。地合いは間違いなく好転しており、103円台半ば程度までの上昇トライは十分可能なレンジ。ただ、103円台を突破できない状況が長引けば、より大きな材料が必要となり、反落リスクも次第に高まることに。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.26%反落。上値が切り下がる流れに加え、足元では下値も切り上げて三角保ち合いの様相となり、大きく動き出す可能性も示唆。現時点では下方向がやや優勢で4,500円近辺の節目ラインが意識される状況へ。上方向への節目4,590円台を超えるようなら大幅上昇へと向かう可能性も。
プラチナは0.08%の小反発。5,220円をレンジ上限とし、5,140-50円付近に下限を形成中。しっかりと反発できればレンジ相場継続へ。下値メド5,100円近辺への警戒感も残る状況。
※参考:
金プラチナ国内価格8/5とチャート
2014年08月05日(火)時点の相場
国内金:4,549 円 8/5(火)
▼12(
0.26%)
国内プラチナ:5,161 円 8/5(火)
▲4(
0.08%)
NY金:1,288.9 ドル 8/4(月)
▼4.7(
0.36%)
NYプラチナ:1,466.6 ドル 8/4(月)
▲3.3(
0.23%)
ドル円:102.56 円 8/4(月)
▲0.01(
0.01%)
8/4(月)のその他主要マーケット指標
好調示す米経済指標vs地政学リスク 08/06(水)米株とドル円の逆相関進行、欧米株急落は金にも重しか 08/04(月)イエレン議長が固執するゼロ金利当面継続の根拠が示された雇用統計 08/02(土)潮目が変わり始めた状況で迎える雇用統計 08/01(金)
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