米失業率は7年ぶり低水準、労働参加率も37年ぶり低水準へ
更新日:2015年07月03日(金)
好結果を予想する向きが多かった米6月の
雇用統計はやや期待を裏切る結果となりました。雇用者数の伸びが予想を1万人程度下回ったことに加え、過去2カ月分も合計6万人下方修正され、今年の
NFPの年間平均は先月時点の+21.7万人から+20.8万人へと低下。2014年平均+26万人との乖離は拡大し、2005年の20.9万人をも下回りました。
さらに、注目された平均時給も予想外に前月から変わらずの24.95ドル。前年同月比の伸び率は+2.0%にとどまり、2月の1.9%以来4カ月ぶりの低水準となり、5月の2.3%も2.25%に下方修正、上昇傾向への兆しを見せ始めていた賃金上昇率は、再び2%近辺の低迷状態へと逆戻り。
ただ、改善した指標もあり、長期失業者の割合は前月の28.6%から25.8%へと大幅に低下し、2008年9月以来6年9カ月ぶりの低水準へと改善。U6失業率も前月の10.8%から10.5%へと低下。2008年7月以来、6年11カ月ぶりの低水準に改善。さらに、失業率(U3失業率)も5.3%に低下し、2008年4月(5.0%)以来、7年2カ月ぶりの低水準。
しかし、失業率改善の裏には労働参加率の低下があり、ここ最近では失業率改善なら労働参加率低下、失業率悪化は労働参加率上昇というパターンが定番化しつつあります。
その労働参加率は、前月の62.9%から62.6%へと急落。1977年10月(62.4%)以来、実に37年8カ月ぶりの低水準となりました。
この指標については、もはや2007年以前のリセッション前の水準に回復するかどうかという問題ではなくなってきているようです。
労働参加率の低下は構造要因によるところが大きいとの見方も有力となってきており、実際、このチャートを見る限りでも、好不況の影響だけでは説明がつかないような推移となっているようです。
長期的には、労働参加率の低下傾向はここ数年で鈍化傾向を示しつつあり、いったん下げ止まるかどうか、という状況です。
少なくとも、この指標に関しては、利上げ開始の判断に際しては、参考程度、ではないかと思われます。
2日のNY金相場は前日比-0.5%で3日続落。終値でも安値でも3月18日以来、3カ月半ぶりの安値水準。雇用統計の好結果を予想する向きの売りが先行すると、発表前には既に
下値メド1150ドル近辺まで下落。期待はずれの結果に前日終値近辺まで急反発もこれが高値となって、やや上値の重い展開へ。雇用統計下振れに伴い、年内利上げ先送りとの見方も一部で台頭するなか、金市場ではそうは見ていない様子も。目先は1180ドルがレジスタンスとなって1150ドル前後まで再下落の可能性が持続。
プラチナ相場は0.3%の小幅反落。雇用統計下振れにも上値の重い金に見切りをつけて単独での上昇トレンド加速、とは行かず。金に連れ安となった場面でも1070ドル台のサポートラインをキープする底堅さを見せるも、上値は1090ドルのレジスタンスが重くのしかかる状況を打破できず、小幅レンジ状態が継続。上方ブレイク成功なら1120ドル近辺を目指し、下限割れなら年初来安値安値更新トライへと大きく動き出す可能性も継続。
ドル円は前日比-0.09%の小幅安。雇用統計前に先行したドル買いの流れで123円70銭近辺まで上昇したところがピークとなって急落。しかし、123円割れ水準では底堅く、やはり年内利上げ先送りとの見方はそれほど優勢ではないことを示すように123円近辺での揉み合い状態へ。結局はフライングで買われた分が売り戻されただけのほぼ横ばい推移。124円を抵抗線として121円近辺までの下押しリスクを抱える状況は継続。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/2終値とチャート
3日の国内金価格は0.28%の小幅安。4960円台の90日移動平均線に上値を押さえられる形で軟調推移が継続。4月半ばの揉み合い水準4900円台前半に差し掛かり、ここから4900円辺りまでは比較的サポートされやすい水準に。第2目標4930円近辺までもう少しの下げ余地。
週間ベースでは-49円(0.98%)の続落。
プラチナも0.13%の小幅反落。下押し圧力は後退し、徐々にレンジ傾向から上昇基調への可能性も見え始めてきた様子も。しかし、4620円の抵抗水準手前での足踏み状態が継続。ここを超えると地合い好転で50円程度の上値余地拡大へ。
週間ベースでは-9円(0.19%)の小幅反落。
※参考:
金プラチナ国内価格7/3とチャート
2015年07月03日(金)時点の相場
国内金:4,948 円 7/3(金)
▼14(
0.28%)
国内プラチナ:4,607 円 7/3(金)
▼6(
0.13%)
NY金:1,163.5 ドル 7/2(木)
▼5.8(
0.50%)
NYプラチナ:1,083.6 ドル 7/2(木)
▼3.3(
0.30%)
ドル円:123.06 円 7/2(木)
▼0.11(
0.09%)
7/2(木)のその他主要マーケット指標
ギリシャに振り回された2015年上半期の市場動向 07/04(土)雇用統計+満月=荒れる金相場 07/02(木)ギリシャの実質デフォルトとプエルトリコのデフォルト宣言 07/01(水)ギリシャとユーロ、利上げと金 06/30(火)
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