世界的景気減速懸念と貿易伸び率鈍化で製造業PMIも世界的減速
更新日:2015年10月02日(金)
好不況の節目50を割り込むのではないかと危惧されていた米国の9月
ISM製造業景況指数は50.2となり、かろうじて50以上を維持しました。しかし、鈍化傾向は鮮明となり、節目の50割れも時間の問題か、とも思われるような状況です。
![日米欧中とトルコの製造業PMI 2015年9月](https://lets-gold.net/image/2015/manufacturing-pmi-etc-201509.gif)
マークイット発表の製造業PMIでは米国の9月分は53.1へと8月の53.0から上昇しましたが、これも2013年10月以降での最低水準からわずかに上昇したに過ぎず、流れとしてはやはり下落基調が優勢となっています。
また、米国以外のユーロ圏、日本、トルコ、中国いずれも9月は低下。トルコと中国は節目の50割れ状態が継続、この1年でも低水準での推移が続きます。
![ユーロ圏各国の製造業PMI推移 2015年9月](https://lets-gold.net/image/2015/euro-zone-manufacturing-pmi-201509.gif)
比較的高水準の部類に入るユーロ圏の内部事情を見ると、低迷していたフランスとギリシャが反発した以外は全ての国が低下、最近好調だったオランダ、イタリア、スペイン、そしてドイツも低調に。
この傾向は他でも見られ、
世界各国の製造業PMIでは、このところ悪化していたブラジルとロシアが9月にはいったん反発、好調だったインドは急減速。JPモルガン発表の世界製造業PMIも前月の50.7から9月は50.6へと低下し、2013年7月以来2年2カ月ぶりの低水準となっています。
新興国は節目の50割れ水準での低迷が続き、先進国は節目の50を少し上回る水準での推移ながらもほとんどの国が減速傾向。この状況に呼応するように、世界貿易機関(WTO)は先日、世界貿易の伸び率予想を前回の3.3%から2.8%へと下方修正しました。4年連続3%未満となり、金融危機前の平均的水準の半分程度の伸び率にとどまる状態とのこと。
資源価格の低迷などマイナス要因は続きますが、世界的な景気減速懸念を打開するためには、米国が利上げを決定して不透明感払拭、中国の財政出動による刺激策、日本も補正予算または日銀の追加緩和、そしてECBも追加緩和へと踏み切るような対応も必要な時期に来ているのではないでしょうか。
そのためには、まず米雇用統計がそれなりの好結果である必要があります。
![NY金・日足チャート 2015/9/1 - 10/1](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=NY-GOLD+日足+2015/9/1 - 10/1&chts=0000c2,13&chf=c,s,ffff0060&chg=0,14.2857&chds=1090,1160&chd=t0:-1,1133.8,1131.2,1121,1115.7,1114.7,1100.1,1102.5,1097.7,1102.6,1101.5,1103,1114.7,1126.9,1128.7,1120.5,1121.1,1129.5,1140.1,1127.3,1123.5,1110.8,1110.3,-1|-1,1133.8,1139,1133.2,1124.5,1123,1121,1105.7,1110.2,1107,1107.1,1104.4,1118.7,1130,1138.7,1132.6,1123.8,1130,1151,1145,1131.4,1127.2,1114.5,-1|-1,1139.8,1133.6,1124.5,1121.4,1121,1102,1109.3,1103.3,1107.7,1102.6,1119,1117,1137.8,1132.8,1124.8,1131.5,1153.8,1145.6,1131.7,1126.8,1115.2,1113.7,-1|-1,1147.3,1141.9,1133.8,1133.1,1126,1124.7,1114.1,1111.9,1109.8,1108.5,1123.7,1136,1141.5,1139.4,1136.1,1134,1156.4,1151.1,1147.8,1134.3,1127.7,1118.5,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||9/1|||9/4|||9/10|||9/15|||9/18|||9/23|||9/28|||10/1||1:|1,090|1,100|1,110|1,120|1,130|1,140|1,150|1,160)
1日のNY金相場は5日続落も0.13%の小幅安。上下の値幅8.2ドルは今年の平均16.8ドルの半分。株高ドル高の流れにも、その後の巻戻しの流れにもほとんど反応せず、1110ドル台での小動きに終始。雇用統計を前に警戒感が高まる様子。1100ドル付近までの下値余地を抱える状況でポジティブサプライズなら下方向へのオーバーランも。
![NYプラチナ・日足チャート 2015/9/1 - 10/1](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=NY-PLATINUM+日足+2015/9/1 - 10/1&chts=9933a3,13&chf=c,s,d333a360&chg=0,12.5&chds=880,1040&chd=t0:-1,998.9,1001.4,1002.9,990.1,980.1,980,977.3,959.3,952.2,949.4,956.3,961,972.6,968.5,935.2,925.8,931.6,943.8,917,899.5,906.7,900,-1|-1,1008.5,1002.4,1017,1006.6,993.8,1004.9,982.5,980.7,966.3,954.3,963.6,972.4,984,983.3,971.1,937,933,955.5,949.3,917.8,915.7,910.5,-1|-1,1008.4,1013.6,1010.1,992.4,1002.9,981.2,981.2,964.9,955.4,958.2,975.7,968.4,984.4,973.7,937.5,932.4,955.8,951.1,922.5,917.1,907.2,903.2,-1|-1,1017.4,1017.9,1024,1011,1012.2,1011.1,992.9,986.7,973.8,963.9,976.7,989.6,991.1,984.7,973.7,947.2,959.7,955.5,951.9,921.4,925.2,913.4,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||9/1|||9/4|||9/10|||9/15|||9/18|||9/23|||9/28|||10/1||1:|880|900|920|940|960|980|1,000|1,020|1,040)
プラチナも0.44%下げて5日続落。株高の流れに追随しての上昇幅よりも反落の流れに連れての下落幅が大きくなってしまうところに地合いの弱さが残る状況。
下値メド900ドル前後に終値ベースでも到達し、安値でもこの水準を維持し、下げ止まりの可能性も示すなかで迎える雇用統計。最近の流れからすると、結果への反応ではそれほど極端な流れにはなり難いのではないか。ただし現状水準から下方向へと動き出した場合には880ドル台辺りが目安に。
![ドル円・日足チャート 2015/9/2 - 10/1](https://chart.apis.google.com/chart?chof=gif&chs=260x160&cht=lc&chtt=USDJPY+日足+2015/9/2 - 10/1&chts=0000c2,13&chf=c,s,00a0ff60&chg=0,12.5&chds=118,122&chd=t0:-1,119.216,119.637,118.697,118.795,118.847,119.808,119.972,120.366,119.846,119.398,120.1,119.792,119.059,119.72,119.687,119.62,119.218,120.029,119.692,119.245,119.547,119.488,-1|-1,119.372,120.328,120.067,118.964,119.272,119.81,120.458,120.627,120.534,120.232,120.393,120.567,119.992,120.108,120.549,120.133,120.263,120.031,120.504,119.914,119.732,119.873,-1|-1,120.324,120.059,119.002,119.272,119.81,120.494,120.618,120.571,120.232,120.413,120.554,119.999,120.002,120.555,120.154,120.267,120.072,120.483,119.915,119.736,119.882,119.912,-1|-1,120.468,120.694,120.188,119.585,120.226,121.194,121.326,120.966,120.839,120.651,120.722,120.995,120.393,120.655,120.607,120.542,120.39,121.233,120.591,120.159,120.346,120.271,-1&chm=F,3F3F3F,0,-1,8&chxt=x,y&chxl=0:||9/2|||9/7|||9/10|||9/15|||9/18|||9/23|||9/28|||10/1||1:|118.0|118.5|119.0|119.5|120.0|120.5|121.0|121.5|122.0)
ドル円は前日からほぼ変わらずの横ばい推移。日本株に連れての上昇局面では120円台前半で頭打ち、反落後にはISM製造業景況指数の下振れで119円50銭まで下落したのが安値。終値では4日連続120円割れも119円台での底堅さが続く状態。好調を維持する労働市場に弱さが見られるようなら多少のネガティブな数字でも円高傾向が強まる可能性もあり、119円のサポート水準を下抜けた場合には下値目標118円割れを目指す展開も。逆に相当ポジティブな結果となれば120円台後半の節目トライ、抜け出すと123円を目指す展開へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場10/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.15%の小幅安で5日続落。4570円台までの水準ではサポートされやすいものの、為替の値動きが拡大する可能性もあり、年初来安値更新なら一段安の流れで下値目標は4470円台へ。反発方向へは4650円台付近までは戻しやすいところ。
週間ベースでは-156円(3.28%)の大幅反落。
プラチナ価格は0.45%の続落となり、またも今年安値更新。売られ過ぎ状態は続くもののチャート的にはかなり厳しい状況に。当面の下値目安としては3700円近辺。極端な円高、あるいはNYプラチナの一段安の場合にはさらに下値を模索する展開で下値目安は3500円台前半まで拡大する可能性。急反発で3800円の抵抗線超えなら3900円方向を目指しての反発局面加速も。
週間ベースでは-168円(4.28%)の大幅安で6週続落。
※参考:
金プラチナ国内価格10/2とチャート
2015年10月02日(金)時点の相場
国内金:4,599 円 10/2(金)
▼7(
0.15%)
国内プラチナ:3,760 円 10/2(金)
▼17(
0.45%)
NY金:1,113.7 ドル 10/1(木)
▼1.5(
0.13%)
NYプラチナ:903.2 ドル 10/1(木)
▼4.0(
0.44%)
ドル円:119.91 円 10/1(木)
▲0.03(
0.03%)
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