イングランド人気質と英国のEU離脱への危うさ
更新日:2016年06月14日(火)
英国は、日本語訳の正式名称では「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と呼ばれ、イングランドとウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国からなる連合王国です。そのうち、イングランドは英国全体の8割以上の人口を抱え、今回のEU離脱を問う国民投票の行方を大きく左右する大票田となります。
いくつかの世論調査でEU離脱派が勢力を拡大していることが示されたことにより、先週末から急速に拡大し始めたEU離脱懸念。23日の国民投票に向けての情勢は、英国・欧州のみならず、世界じゅうの注目を集める状況となってきました。
時を同じくして先週末に開幕した「ユーロ2016」も英国・欧州、そして世界からの注目が集まっています。
サッカーの母国でもある英国は、そのことに敬意を表する意味もあり、世界で唯一国内で複数のサッカー協会が認められる国です。今回のユーロ2016本大会には、スコットランドを除く3カ国が出場しています。そのなかでは、ウェールズにもスター選手がいて注目されていますが、やはり最大の注目はイングランド代表。サッカーの母国とは厳密にはイングランドのことを指し、世界で最もお金をかけてお金も稼ぎ出す、プレミアリーグの有名選手を揃える強豪チームがイングランド代表。しかし、イングランドは1966年のW杯優勝以来、世界的な好成績は残せていません。W杯優勝経験国でユーロ優勝の経験がない、唯一の国でもあります。
しかし今回は、若手有望選手の台頭もあり、ユーロ初優勝への期待感も高まります。
そんなイングランド代表の初戦は11日に行われた対ロシア。結果は1-1の引き分け、またもスロースタート。皮肉にも注目されたのはサポーターの暴動。試合前から地元住民やロシア人、イングランド人の間で乱闘が勃発し、警察が出動。試合後にもスタジアム内でサポーター同士の衝突があり、結局2名のイングランド人サポーターが重体で、11人が軽傷を負ったようです。両国のサッカー協会に対しては、次回暴動が起きれば失格、と警告されたようです。
この事態を受けて、イングランド代表監督は「われわれは絶対に大会に参加し続けたい。」と、サポーターに対し、異例の行動自制とトラブル回避の要請をしたそうです。
最近ではあまり聞かれなくなった「フーリガン」とは、サッカー観戦で暴徒化した集団のことを指し、かつてはイングランドのサポーターの代名詞のようにさえ使われていた用語です。ユーロ初優勝への期待も高まり、サッカーの母国としてのプライドをかけて否が応でもヒートアップするイングランド人サポーター達のなかには、興奮を抑え切れない人達も大勢いるようです。
決して全てのイングランド人がそうである訳はありませんが、イングランド人としてのプライドの高さと利己主義的な特徴が、EU離脱問題でも、離脱派の躍進を後押しし、そもそもEU離脱を問う国民投票を行う事態にまで発展させたのだろうと推定できます。
最近の動向を受けて、キャメロン首相も「EUに残り続けたい」思いから、英国民全体へのEU残留を呼びかける声にも力が入ります。
グループステージで同じ組に入ったイングランドとウェールズの対戦は今週木曜日。英国内でも過熱必至のカードはFOMCの翌日、日銀金融政策決定会合の日で国民投票の1週間前。EU離脱をかけた世論調査どころではありません。
イングランドが勝利して決勝トーナメント進出へと大きく前進することになれば、イングランド人達の過熱感は益々高まりそうです。
勢いに乗った時の、イングランド代表の快進撃と、国民投票でのEU離脱派の躍進には要注意です。
13日のNY金相場は0.86%上昇し、4日続伸。5月6日(1294.0)以来、1カ月と1週間ぶりの高値水準に。英国のEU離脱懸念一段高によるリスク回避の流れで日米欧の株価は全面安、為替は円全面高に伴うドル安、
VIX指数は2月23日以来3カ月半ぶりの20ポイント超へと大幅続伸、SPDRゴールド・シェアの金ETF残高も2年8カ月ぶりの水準となる896.29トンまで増加。早々に1280ドルの節目を突破したことにより、年初来高値更新へと向かう可能性はEU離脱よりも高まる状況となり、当面の上値目標水準は1320ドル近辺へ。
NYプラチナ相場は0.11%の小幅高で3日ぶりの反発。やや軟調気味の推移から金の上昇に連れて若干の持ち直し。NY市場オープンにかけて金が1290ドルにタッチした場面では、プラチナは1000ドルの大台手前で失速。金との勢いの差は
価格差に表れ、その差291.6ドル。過去最大水準となった3月の300ドル台も目前に。それでも流れとしては上方向優勢の状態にあり、1010ドル台の抵抗水準を突破できれば、1040ドル前後まで一段高の展開も。
ドル円は0.7%のドル安円高で続落。終値ベースでは2014年10月15日(105.91)以来、1年8カ月ぶりの円高水準。安値では5月3日につけた105円50銭台こそ下回らなかったものの、105円70銭台まで下げた後も何度も106円割れを試し、この水準への抵抗感も薄れてきた様子。EU離脱懸念の予想以上の高まりを背景に円全面高のリスクオフ地合いとなってきたことにより、106円台半ばを下限とする保ち合いが早々に崩れたことで、下値目安となる105円半ば付近にタッチしてしまった状態。今後、EU離脱懸念が小康状態となり、FOMCでは7月利上げにも含みを持たせ、日銀がマイナス金利にふれずに量的緩和拡大へと動くか、その方針を示唆するようなら2番底をつけての反発へと向かう可能性も。しかし、そうはいかない可能性のほうがEU残留よりも高そうな状況にあり、105円半ばを割り込むと2014年前半の保ち合い水準となる103円付近までの円高進行の可能性が高まることに。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/13終値とチャート
14日の国内金価格は前日から変わらず。リスク回避の流れをNY金の堅調推移が支える綱渡り状態のなか、直近の上値目安4660円台を超えたことに伴う一服感も。短期的な流れは上向きもNY金と為替のバランスが崩れての急騰、急反落といった荒い動きも警戒されるところ。急騰の展開となった場合には4700円台後半も視野に、急反落の展開では4580円台が重要なサポートラインとなり、割り込んだ場合には4500円近辺までの下値余地拡大も。
プラチナ価格は0.41%安で3日続落。NYプラチナの勢いがそれほど見込めない状況にあり、ドル円の下げ止まりの有無が価格動向を大きく左右する現状。2月後半以降の安値水準でもある3600円近辺は強め、かつ重要なサポートラインとなり、比較的下げ止まりやすい水準。しかし、ここを下抜けた場合には3500円台半ばが意識される。さらなる円高急加速の場合には3400円台半ばまでの下値リスクも。
※参考:
金プラチナ国内価格6/14とチャート
2016年06月14日(火)時点の相場
国内金:4,688 円 6/14(火) +-0(0.00%)
国内プラチナ:3,645 円 6/14(火)
▼15(
0.41%)
NY金:1,286.9 ドル 6/13(月)
▲11.0(
0.86%)
NYプラチナ:995.3 ドル 6/13(月)
▲1.1(
0.11%)
ドル円:106.19 円 6/13(月)
▼0.76(
0.71%)
6/13(月)のその他主要マーケット指標
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