現状維持の日米金融会合通過で夏の市場混乱警戒シーズン幕開け
更新日:2016年06月17日(金)
わずか9時間のインターバルで立て続けに発表された日米の金融政策、米FOMCの利上げ見送りと日銀の現状維持は、いずれも大勢の予想通り。それでも市場は大きく動くことになりました。イベント直前まで続いていた英国のEU離脱懸念に伴うリスク回避の流れもいったん小休止となり、FOMCの現状維持確認と今後の利上げ見通し引き下げを受けてわずかに円高ドル安方向へと重心が傾き、金は買いでスタート。東京市場昼前に発表された日銀の現状維持に対しては、待ち構えていた投機筋による円買いが一斉にスタートした様子で、今年何度か目にした急激な日本株売り・円買いの流れが進行することになりました。
前日比3.05%安となった日経平均は、16日の大引けまでで前月末比-1800.84円、10.45%の下落となっています。下落幅では中国ショックとなった昨年9月の-1711.08円(9.06%)を超え、リーマンショック時の2008年10月の-2682.88円(23.83%)に次ぐ大幅安。
日経平均とともにドル円も104円まで急落し、黒田日銀総裁会見が始まると同時に一段安となって会見中にこの日の安値103円50銭台を記録。
円高の流れ加速によるドル安となったことで金の買いも加速し、同じ頃に一度1310ドル台後半までの急騰となりました。
その後は、イベント前のリスク回避の流れ再開でドル高欧州通貨安・新興国通貨安の流れがひとしきり進行し、英国では、EU残留派の女性議員銃撃事件などもあり、EU離脱懸念も一服。波乱の展開からドル高の巻戻し、ドル円も持ち直しの展開へ。
結局、ドル円のこの日の下げ幅は1.75円(1.65%)となり、今年4番目の下げ幅となりました。
前回の日銀現状維持となった4月28日の-3.34円(3.0%)、米雇用統計ショックとなった6月3日の-2.25円(2.07%)、日銀マイナス金利導入後の円買い加速の起点となった2月3日の-2.09円(1.75%)に続く大幅下落です。日銀が動いても、動かなくても円高急進がパターン化されてしまった状況です。
足下では、金も急騰からの急反落となり、行き過ぎた流れが若干巻き戻された状態となり、あらためて今年最大の波乱イベントにもなりかねない、次週の英・国民投票を警戒するモードへと切り替わることになります。
これを乗り切ると、7月末には再び米FOMCと日銀金融政策会合が同一週に予定されています。夏の市場混乱警戒シーズンは、これから本番を迎えようとしています。
16日のNY金相場は0.78%上昇し、3月以来今年3度目の7日続伸で年初来高値を更新。終値ベースでは昨年高値となった1月22日(1300.7)以来、1年5カ月ぶりの高値水準。NY市場序盤には一時2014年8月14日(1321.8)以来、1年10カ月ぶりの高値水準となる1318.9ドルまで上昇。
上値目標水準1320ドル近辺に到達したこともあり、利益確定売りとリスク回避一服で大幅反落となって今朝には1280ドル台へ。高値圏で長い上ヒゲを残す形となり、EU離脱懸念に伴うリスク回避地合いの小康状態が続けば、過熱し過ぎた流れからの大幅調整も見込まれる状況に。その場合の目安としては5月31日安値1201.5ドルから1318.9ドルまでの38.2%戻し1274.1ドルから50%戻しとなる1260.2ドル辺りまで。
NYプラチナ相場は0.36%の小幅続伸。金に連れ高となって高値圏を維持した東京・ロンドン市場でも991ドルまでにとどまり、金に連れ安となったNY市場を経て980ドル割れ、今朝も970ドル台の推移となり、1000ドルの大台回復に向けてはもう少し時間が必要か。金との価格差も320.1ドルとなって過去最大を更新。目先は970ドルがサポートラインとなり、割り込んだ場合には940ドル付近までの下落余地へ。
ドル円は1.65%の大幅ドル安円高で5日続落。5日続落以上は今年7回目、終値ベースでは2014年8月29日(104.08)以来、1年10カ月ぶりの円高水準。東京市場でつけた安値103円50銭台は2014年8月22日以来のドル安円高水準。2014年1月末から8月半ばまで延々と続いた保ち合い水準の高値圏に当たり、
105円台半ばを割り込んだ場合の安値想定水準103円付近までほぼ到達した形。しかし、タイミングとしては英国の国民投票前後を想定していた為、1週間前倒しの到達。可能な限り反発しておかないと、1週間後には103円では支え切れない可能性も。その場合には2014年前半の保ち合い下限となる101円台が意識されることに。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/16終値とチャート
17日の国内金価格は1.91%の大幅反落。日銀通過で予想どおりの円高主導のドル安誘引相場となって乱高下状態。NY金の買われ過ぎに支えられての一段高の可能性もあった状態から、NY金の早過ぎるターゲット水準到達による急反落でサポート効果も剥落。下方向への節目となる4580円台も視野に入る水準まで下げたことで、ゆるやかな上昇基調の勢いも大きく後退。節目割れの場合には巻戻しの加速で4500円付近までの下落も見込まれる状況へ。
週間ベースでは-49円(1.05%)の反落。
プラチナ価格も1.34%の大幅反落。警戒された日銀現状維持に伴う円高急進の影響を、地合いの弱さが目立つNYプラチナではカバーし切れず、1月26日(3494)以来、5カ月ぶりの安値水準に。下値目安の第1目標3500円半ばを下抜けたことで、小康状態となっているリスク回避の流れが再開すると第2目標水準3400円台半ばを目指す展開へ。
週間ベースでは-158円(4.29%)の大幅反落。
※参考:
金プラチナ国内価格6/17とチャート
2016年06月17日(金)時点の相場
国内金:4,614 円 6/17(金)
▼90(
1.91%)
国内プラチナ:3,527 円 6/17(金)
▼48(
1.34%)
NY金:1,298.4 ドル 6/16(木)
▲10.1(
0.78%)
NYプラチナ:978.3 ドル 6/16(木)
▲3.5(
0.36%)
ドル円:104.26 円 6/16(木)
▼1.75(
1.65%)
6/16(木)のその他主要マーケット指標
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