0.625%単独ドットの告白~セントルイス連銀ブラード総裁
更新日:2016年06月18日(土)
先日の
FOMCでのドットチャート上、2017年と2018年見通しで0.50%と0.75%ラインの中間、0.625%の位置に単独のドットがポツンと、集団から離れて打たれていました。
ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁は昨年末付で退任したはずなのに・・・誰や!まさか...!?とひそかに不安と疑念が交錯していましたが、その正体が明らかにされました。
セントルイス連銀のブラード総裁が、自信のドットであることを自ら告白。
同総裁は17日、「米経済が低成長パターンにはまっている状態が当面続く公算が大きいことから、今後2年半の間に1回の追加利上げで十分」かもしれない、との見解を示しました。この間の適切な政策金利は0.63%であるとし、2016年末予想の0.625%欄に6点並んだドットの一つも自信のものであることも表明。
このブラード総裁、5月初旬には「6月利上げも経済指標次第で可能」とFRBによる市場のタカ派誘導政策に同調し、3月末にも「FOMCが4月に動く可能性」に言及していました。
元々この方、タカ派かハト派かという明確なポリシーはなく、その時の状況に合わせてタカ派になったり、ハト派に変わったりという傾向が見られる人物。かといって優柔不断という訳でもなく、昨年末にWSJが行った調査ではFOMCメンバの発言信頼度ランキングで7位となっていました。
今回のブラード総裁のタカ派からハト派への転換宣言によって、年内1回の追加利上げを予想した残る5つのドットは、イエレン議長とタルーロ、ブレイナード両理事、NY連銀ダドリー総裁とシカゴ連銀エバンズ総裁か、ボストン連銀ローゼングレン総裁のどちらかということになりそうです。いずれにしても、年内FOMCでの投票権保有者10名のうち、1回の利上げに反対の立場をとるタカ派は、クリーブランド連銀メスター総裁とカンザスシティ連銀ジョージ総裁の2名のみ、という状態となりました。
また、現在のFOMCメンバは、FRB議長と副議長、定員5名の理事は2名欠員状態のため現在3名。これに各地区連銀総裁12名を加えて合計17名。
にもかかわらず、長期見通しのドットだけが16コしかありません。うわっ!ドット抜け!?こんなことあるんや・・・そんな手違いするか?とモヤモヤとした気分になっていましたが、これも解決。
ドット抜けの正体もブラード総裁でした。
同総裁によれば、セントルイス連銀は「長期の見通しを含まない新たな予測手法」に切り替える、ということのようです。
「不確実性」だけがクローズアップされ、苦悩が続く日米欧の中央銀行の金融政策において、華麗な転身ぶりと大胆予測を披露したブラード総裁とセントルイス連銀の試みが、一石を投じることになるのかどうか、今後の動向に注目されます。
17日のNY金相場は0.28%の小幅安となり、8営業日ぶりの反落。しかし前日のNY市場で1318.9ドルの高値をつけた後の急反落局面は、時間外で1278.8ドルまで40ドルもの大幅調整となったところで反転。その後はジリ高推移の展開となり、NY市場では1290ドル台を回復し、今朝の時間外にかけては再度1300ドル台へ。日米金融政策後の反応やブレグジット懸念が一服したこと、過熱感からの戻り局面を形成したことにより、リスク回避優勢の状況などが変わらないことも背景に再び押し目買いが強まる展開に。6月前半の急騰幅に対する38.2%戻しとなる1274.1ドル付近まで下げたことにより、到達済の上値目標水準1320ドル近辺までは再度上値を試すような展開もありか。ただし期限は23日まで。
週間ベースでは+18.9ドル(1.48%)で3週続伸。
NYプラチナ相場は1.25%の大幅反落。前日時間外には960ドル台半ばまで下げての反発となり、金に追随する流れは980ドル台前半までで息切れ。NY市場前半には株安の流れに連れる形となって960ドル台前半まで急落、その後は970ドル付近まで戻して越週へ。金との短期的な方向性の違いは鮮明となり、価格差は328.7ドルへと過去最大を更新。軟調気味の推移が続くなかでの小反発から終値ベースでは970ドルの下限割れ、向こう1週間は下値トライの可能性が高まり、当面の下値目安は940ドル前後。上方向には980ドルの節目を超えると1010ドル台までの反発へと流れが変わる可能性も。
週間ベースでは-28.1ドル(2.83%)の反落。
ドル円は0.08%の小幅ドル安円高、4月以来2カ月ぶりで今年2回目の6日続落。1年10カ月ぶりの円高水準からの反発は限定的となり、東京市場での104円80銭まで。ロンドン・NY市場にかけては104円台前半、104円20銭前後へと値動きは小幅レンジに収束。米5月の住宅着工件数は予想を上回る好結果も最近の横ばい推移の範囲内にとどまり、セントルイス連銀ブラード総裁のハト派発言などもあり、リスク回避の巻戻し優勢の展開でほぼ全面的にドル安傾向。しかし、円安だけは進まないのが現状。目先は円高方向への下値トライの流れが継続中との判断を捨て切れず、103円付近の下値目安を再度試す可能性に警戒する日々がもうしばらく続くことに。
週間ベースでは-2.78円(2.6%)の反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/17終値とチャート
2016年06月18日(土)時点の相場
国内金:4,614 円 6/17(金)
▼90(
1.91%)
国内プラチナ:3,527 円 6/17(金)
▼48(
1.34%)
NY金:1,294.8 ドル 6/17(金)
▼3.6(
0.28%)
NYプラチナ:966.1 ドル 6/17(金)
▼12.2(
1.25%)
ドル円:104.17 円 6/17(金)
▼0.09(
0.08%)
6/17(金)のその他主要マーケット指標
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