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アメリカ・ファーストを目指すトランプ新大統領、市場は慎重姿勢
更新日:2017年01月21日(土)
トランプ大統領就任式のキャピトル・ヒル 2017年1月20日「今回の政権委譲はワシントンから国民の手に権力を取り戻すものになる」と述べたトランプ米新大統領の就任スピーチでは、アメリカ・ファースト(米国第一主義)を最優先し、「Make America Great Again」を実現するんだ!と、選挙戦さながらの勢いでまくしたて、国境を守る、雇用を守る、と選挙戦の時と同じ内容を繰り返しました。オバマ前大統領、ブッシュ元大統領からは一瞬、苦虫を噛み潰すような表情も垣間見られました。

このスピーチの一時間半ほど前、日本時間23時40分頃、オバマ夫妻がトランプ夫妻をホワイトハウスに迎え入れた時点でのドル円は115円20銭付近。
これが就任式前後以降での高値水準となり、ドル高の勢いは失速していくことになりました。
オバマ大統領がトランプ次期大統領と同じ車に乗ってホワイトハウスから、就任式が行われる連邦議会議事堂へと向かった午前0時50分頃には1ドル=114円90銭。

就任式場にメラニア・トランプ夫人が入場した1時20分頃には、115円20銭台の高値水準を回復。
オバマ大統領とバイデン副大統領が入場した1時23分頃には115円10銭近辺、
1時28分にマイク・ペンス次期副大統領が入場した時には115円00銭台前半へ、
1時32分にトランプ次期大統領入場で115円ちょうど付近。
2時ちょうどにトランプ新大統領の宣誓が行われ、115円10銭まで小幅に反発。
なお、この間のNY金相場は1200ドル台前半での小康状態が続きました。

そして2時2分、トランプ大統領の就任演説がスタート。オバマ前大統領、元大統領の方々への感謝の意を表明し、その後「ワシントンから国民の手に権力を取り戻す」と始めた途端にドル売り、ドル円は114円半ばへと急落することになりました。

演説終了とともにいったんは115円台へと反発する場面もありましたが、その後は金利低下、株価下落とともにドル売り優勢の展開で金は上昇。
市場反応としては比較的冷静で、慎重姿勢を維持した形となったものの、トランプ相場期待で小幅に上昇していた分が全て剥落したような展開となりました。

相変わらず自身の支持層である白人中間層のみを対象としたようなスピーチには、違和感を覚えた人も多いのではないかと思われます。
新政権は早速、就任式直後に環太平洋連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明しています。

首都ワシントンでは、反トランプ派によるデモで一部が暴徒化、逮捕者は100人近くにも、との報道もあるようです。
「分断の傷を癒やし、みんなが一つになるときが来た」と述べた11月の大統領選勝利宣言スピーチから2カ月余り経ったこの日、「分断」状態は変わらず、「みんなが一つに」なってはいないことをあらためて認識する日となったようです。

NY金・日足チャート 2016/12/19 - 1/2020日のNY金相場は0.28%の小幅高で3日ぶりの反発。1200ドル台前半を中心に小幅揉み合い状態が続き、大統領就任式終了後には小幅に上昇。今朝の時間外では1210ドルまで水準を切り上げた状態。大きな波乱もなく、しかし好感もなく、激しい選挙戦の時と変わらないトランプ大統領の就任演説を経てドル安となったことを受けての堅調推移。1200ドルの大台ラインがサポート水準として機能し始めた可能性があり、次週1210ドル台後半へと上値を伸ばすことになれば、上昇トレンド継続で1230ドルから1240ドル近辺までの上昇余地も。
週間ベースでは+8.7ドル(0.73%)となり、4週続伸。

NYプラチナ・日足チャート 2016/12/19 - 1/20NYプラチナ相場は4日ぶりの反発で2.05%の大幅高。前日に950ドル付近まで大きく下げたことで調整局面を終えた形となり、大統領就任式が始まる頃には既に970ドル台まで反発、今朝の時間外にかけては980ドル台まで上昇。元の保ち合い水準まで戻した状態となり、目先は950ドル台から990ドルまでが主要レンジに。990ドルを突破できれば1000ドルの大台再トライとなり、今度は一気に1010ドル台へと上値を切り上げる可能性も。
週間ベースでは-10.4ドル(1.05%)となり、4週間ぶりの反落。

ドル円・日足チャート 2016/12/21 - 1/20ドル円は0.26%のドル安円高となり3日ぶりの小反落。就任式までは期待のジリ高推移で115円30銭台へ、就任式後はやや失望のドル売りで114円20銭台へ。トランプ相場再開への期待は高まることもなく、9日移動平均線にも上値を押さえられる形となって年初から続く下落トレンドからの脱出にも失敗。目先は115円が抵抗水準化の兆しとなって112円半ばまでの間で保ち合い形成への動きも。あらためて115円を上抜けできればトレンド転換の兆しとなり、116円台へと上値を切り上げる展開も。
週間ベースでは+0.02円(0.02%)とほぼ横ばい推移状態。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/20終値とチャート

2017年01月21日(土)時点の相場
国内金:4,758 円 1/20(金) ▲11(0.23%)
国内プラチナ:3,804 円 1/20(金) +-0(0.00%)
NY金:1,204.9 ドル 1/20(金) ▲3.4(0.28%)
NYプラチナ:976.0 ドル 1/20(金) ▲19.6(2.05%)
ドル円:114.55 円 1/20(金) ▼0.30(0.26%)
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