フラッシュバック2016年5月、NY金は10カ月ぶりの7日続落
更新日:2017年03月09日(木)
NY金相場は2月28日から3月8日まで、7日続落となっています。この間、1258.8ドルから1209.4ドルまで、7日間合計で49.4ドル、3.92%の下落です。
7日続落となるのは
2016年5月18日から27日までの8日続落以来、10カ月ぶり。この時は1276.9ドルから1,213.8ドルまで、8日間合計で63.1ドル、4.94%の下落となっていました。
当時はブレグジット前の楽観期で、FRBの6月利上げ観測が急上昇した時期。5月18日のFOMC議事要旨で6月利上げへの可能性が示唆されたことをきっかけにドル買い金売りが進行し、その後もFRB関係者からの相次ぐタカ派発言により、一方的な流れが続きました。
今回も2月28日のトランプ大統領の議会演説によるアク抜けと、NY連銀ダドリー総裁の早期利上げ示唆発言を皮切りにFOMC主要メンバが揃って3月利上げに前向き発言。ドル高金安に転じ、一方的な流れとなっています。10カ月前と同じように利上げ観測急騰により金は続落し、同じような水準まで下落してきました。20日移動平均線にサポートされての上昇局面が反転し、20日移動平均線を割り込んで下落基調が加速した流れも同様です。
10カ月前の8日続落後は、雇用統計のネガティブ・サプライズ(米5月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想の前月比+16万人を大幅に下回る+3.8万人と5年8カ月ぶりの低水準に鈍化)で流れが逆転、さらにブレグジットを経てNY金は2016年高値へと向かう展開に。
今回も雇用統計前、FOMC前と同じようなタイミングながら、まずは雇用統計でのネガティブ・サプライズへの可能性は、限りなくゼロに近い状況とも言えそうです。だからこそ、逆にサプライズ的な数値が飛び出し、万が一3月利上げ見送りとなるような事態となった場合の反応は、10カ月前の比ではないレベルとなりそうです。さらに、これに連動し、楽観視される15日のオランダ総選挙、4月に控えるフランス大統領選と欧州政局リスクへの警戒感も高まり、昨年の二の舞いも?とのネガティブ・シナリオが急浮上することもあり得なくはありません。
しかし、世界中のほとんどの予想を裏切るビッグ・サプライズが1年間で3度も発生するような事態は想像がつきません・・・。
8日のNY金相場は0.55%安となって7日続落。1210ドル台で下げ渋る状態から
ADP雇用のポジティブ・サプライズを受けて2月1日以来の1200ドル台へ。
下値目安となっていた1200ドル前後の水準にもほぼ到達し、3月利上げを90%以上織り込んできたことにより、週末の雇用統計がそこそこの好結果程度なら、さらに大きく売り込まれる可能性は低いのではないかとの予想も。
NYプラチナ相場は1.21%安で3日連続1%超の大幅続落。1月4日(947.2)以来、2カ月ぶりの安値水準となり、下値目安950ドル台辺りにも到達。水準的にも昨年12月FOMC直後の安値(888.7)から今年2月末高値(1047.8)までの61.8%戻し(949.5)ちょうどにも到達。水準的にはいったん下げ止まって反発へと向うには格好の水準も、タイミング的にはやや早すぎる感もあり、行き過ぎ警戒感も、76.4%戻しなら926.2ドルまで。
ドル円は0.31%のドル高円安、続伸で114円台を回復。
ADP雇用リポートの大幅上振れ後には米金利急騰とともに114円近辺から114円70銭台まで急騰。しかし、3日高値と同水準では上値も重く、原油安株安のリスク回避的な流れにも連れて114円台前半へと調整。結果的に
米10年債利回りは12月27日以来2カ月半ぶりの水準へと上昇したのに対し、ドル円は1週間ぶりの高値圏と出遅れ。金利上昇、日米金利差拡大にも追随し切れない状態となってきた様子。目先は113円台後半から114円台後半までの小幅保ち合い状態となり、雇用統計で余程のサプライズ、もしくはFOMCでの利上げと今後の見通し上方修正などが重ならない限り上限突破は難しいのでは?とも。上限突破なら115円台へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/8終値とチャート
9日の国内金価格は前日比-3円、0.06%の小幅安で5日続落。2月8日(4756)以来1カ月ぶりの安値水準をわずかに更新。5日続落は昨年9月以来半年ぶり。下落基調継続も、下値目安4700円近辺に届く為には、NY金の売られ過ぎとドル円の伸び悩みが必要となり、確率的には今回の下値目安到達への可能性はやや低めか。
プラチナ価格は0.84%安で3日続落、12月30日以来の安値水準に。2日に今年高値3992円をつけて1週間後の9日には今年安値を記録。この1週間の下落幅236円が今年ここまでの年間値幅となる急落局面を形成。現時点ではNYプラチナの下落幅が想定内に収まっている為、昨年10月以降の上昇幅38.2%戻し(3748)となる3750円近辺まで下げた状態。しかし時間的なタイミングと、しばしば行き過ぎるNYプラチナの続落リスクもあり、当面の下値目安3720円までの下落余地も残る状況。
※参考:
金プラチナ国内価格3/9とチャート
2017年03月09日(木)時点の相場
国内金:4,764 円 3/9(木)
▼3(
0.06%)
国内プラチナ:3,756 円 3/9(木)
▼32(
0.84%)
NY金:1,209.4 ドル 3/8(水)
▼6.7(
0.55%)
NYプラチナ:949.5 ドル 3/8(水)
▼11.6(
1.21%)
ドル円:114.33 円 3/8(水)
▲0.35(
0.31%)
3/8(水)のその他主要マーケット指標
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