1300ドルか108円か!?避暑地ジャクソンホールで迎える分岐点
更新日:2017年08月25日(金)
NY金は1300ドル、ドル円は108円台の
重要な節目水準に到達したのが8月上旬。ドル円を逆目盛りとしたチャート上では極めて強い連動状態(実際には逆相関)が続く今年の推移からは節目水準到達に伴う反転も予想されましたが、それから2週間、両者はともに節目水準付近での小幅保ち合い状態が続きます。
NY金は1300ドルの今年高値水準、ドル円は108円台の円高水準を超えて新たな領域に踏み込むのか、それともここを当面の限界点として流れが反転するのか。重要な分岐点からの方向性は、夏の終わりの恒例イベントとなった避暑地、
ジャクソンホールでのシンポジウムに委ねられる状態となってきました。
講演が予定されるイエレンFRB議長の口からは、9月決定で11月スタートが有力視される資産縮小についての言及はありうるとしても、12月に可能性が残される今年3回目の利上げについては、低インフレの長期化も懸念される現状からは、これを示唆するような発言は聞かれないのではないかとも予想されます。
北朝鮮情勢への警戒感も続き、トランプ政権への不信感や政策動向への不透明感、さらには債務上限問題も引き続き警戒される状況のなかで、今回のジャクソンホールでのイエレン発言が中立的な立場にとどまれば、市場が受け止めるイメージとしては、期待はずれで「ハト派寄り」に傾斜することも考えられます。
そうなると、チャート上では上方向へ、金は1300ドルの節目を突破、ドル円は108円大の円高水準を突破してしまう展開も予想されそうです。
ただし、半年後には任期満了での退任が予想され、最後のジャクソンホール会合で「金融の安定」をテーマとして講演する以上は、金融政策正常化への道筋をある程度指し示すことも想定されます。次回利上げの時期こそ明確にはできないものの、いずれインフレが上昇傾向となり、近いうちに追加利上げも必要となる、といったニュアンスの発言は聞かれるのかもしれません。
さらに気になるのはドラギECB総裁。今回の講演では秋以降の金融政策動向を示唆することはないとは言われてはいますが、やや急速に進み過ぎたユーロ高への牽制発言が飛び出すようなら、ユーロ売りドル高への巻き戻しが発生する可能性も警戒されます。
そうなれば、相対的なドル高進行により、ドル円にはサポート材料となり、金には下押し材料に。
また、ドル円が108円台を超えてさらに円高が進行するためには、2015年以降の長期サポート水準93ポイント付近での膠着状態が続くドルインデックスの一段安、米10年債利回りの今年安値圏2.1%台割れを伴う必要もありそうです。
逆に言えば、強めのサポート水準で下げ渋る状態が続くドルインデックスや米10年債利回り、そしてドル円の全てが重要水準を突破するには、それなりの強めのハト派材料が必要にもなりそうです。
そう考えると、NY金が重要な節目水準1300ドルを超えたとしても一時的にとどまり、引き続き上値も重い展開が続くことも想定されそうで、既にその状態に入ってきている可能性もありそうです。
24日、ジャクソンホールでのシンポジウムがスタートし、FRB(とECB)の金融政策動向見極めがテーマとなるなかで市場全般が静かに時間の経過を待つ状態に。NY金相場は0.21%の小反落も値動きは極めて限定的。流れとしては調整局面入りの可能性も高まる状況で、イエレン議長講演を経て下方向へと動き出せば1270ドル台が目先のサポート水準、タカ派イメージが強ければここではサポートし切れずに短期下落トレンド入り、1250ドル台までが目標水準に。上方向には強めの抵抗線となってきた1300ドルラインが目安に。ハト派色がより強ければここを突破、上昇トレンド再加速で昨年11月高値圏1330ドル近辺を目指す展開へ。
NYプラチナ相場は0.17%の小幅反発。960ドル台から990ドルまでの保ち合いレンジのなかで、6日連続980ドル台を維持する高値膠着状態。ただし流れとしては既に下方向優勢の状況。講演内容等、材料的に中立的な内容にとどまれば調整方向へ、960ドル台でサポートされれば990ドルの上限までのレンジで保ち合い継続へ、ここを割れると940ドル台が当面の下値目安に。上方向へ990ドルの上限を突破できれば1000ドルの大台回復へ。
ドル円は0.48%のドル高円安となって前日反落分をカバー。日足チャートはくじらまくを形成し、方向感を決めかねる状態。
失業保険申請件数は歴史的低水準を維持する好調を維持し、中古住宅販売件数は11カ月ぶり低水準へと下振れにも反応は限定的。ちなみにこの日、ジャクソンホールのあるワイオミング州を管轄地区とし、今回のシンポジウムを主催するカンザスシティ地区連銀の製造業活動指数も発表され、8月分は16となって3月の20に次ぐ高水準、2011年3月以降の7年5カ月間で3番目の高水準を記録。ジャクソンホール界隈の景況感もそれなりに好調とみられる状況。109円前半を主要レンジに保ち合いを収束してきたドル円の流れは反発方向優勢。109円台後半から110円台へとしっかり動き出せばドル高円安トレンド形成で当面の目標水準は111円半ば辺りまで。再度109円割れへと反落の動きが強まるとドル安円高トレンド延長で目標水準は107円近辺も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/24終値とチャート
25日の国内金価格は0.17%の反発。強まる反落警戒感に抗うように、高値圏での小幅保ち合いを維持して耐える展開。4860円超へと抜け出すことができれば8月末にかけて一段高のトレンド形成への可能性で目標水準は4900円近辺。耐えきれずに4830円割れへと反落なら、8月序盤の上昇分を吐き出す下落トレンド形成へと向う可能性が高まり、下値目安は4770円台辺りまで。
週間ベースでは+2円(0.04%)の小幅高となり、半年ぶりの3週続伸。
プラチナ価格は0.63%の反発。17日の3701円をわずかに上回り、3月22日(3747)以来5カ月ぶりの高値水準。フラッグ形状の三角保ち合い上限ライン3700円を上抜けの兆しとなり、NYプラチナが大台回復へと向う展開となれば、サポートされて上昇トレンドへ。目標水準は最大で3800円近辺も。逆の展開で3670円割れへと反落なら調整局面入り、下値目安は最大で3560円近辺まで。
週間では+35円(0.95%)の反発。
※参考:
金プラチナ国内価格8/25とチャート
2017年08月25日(金)時点の相場
国内金:4,848 円 8/25(金)
▲8(
0.17%)
国内プラチナ:3,702 円 8/25(金)
▲23(
0.63%)
NY金:1,292.0 ドル 8/24(木)
▼2.7(
0.21%)
NYプラチナ:982.6 ドル 8/24(木)
▲1.7(
0.17%)
ドル円:109.55 円 8/24(木)
▲0.52(
0.48%)
8/24(木)のその他主要マーケット指標
イエレン・ドル安、ドラギ・ユーロ高で金は1300ドル再トライ 08/26(土)7月新築住宅販売件数は今年最低、トランプリスクで金は高止まり 08/24(木)リッチモンド連銀製造業指数は3年サイクルのピーク末期へ 08/23(水)シカゴ連銀全米活動指数も低調、ドル安金高基調は反転せず? 08/22(火)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン