低インフレ継続と税制改革進展期待でダウは24000ドル、金は続落
更新日:2017年12月01日(金)
米商務省が発表した10月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年同月比+1.6%。市場予想の+1.5%を上回りましたが、9月分が+1.6%から+1.7%へと上方修正されたことで、予想通りの鈍化。
食品とエネルギー関連を除くコアPCEの11月は前年同月比+1.4%で市場予想どおり。こちらは9月分が+1.3%から+1.4%へと上方修正されたことにより、若干の加速予想に対して横ばい推移。
PCEは9月FOMCでの年末予想中央値+1.6%に到達し、コアPCEも予想中央値+1.5%に対してあと0.1%の状態となり、低調ながらも期待を裏切る訳でもない、現状としてはまずまずの結果と言えそうです。
内訳ではサービス価格が前年比+2.2%で横ばい、商品が+0.2%となって10月の+0.6%から鈍化。商品のなかでは耐久財関連が9月の-2.1%から10月は-1.9%と下落基調が鈍化、耐久財以外は+2.0%から+1.3%と鈍化。
商品関連の低調ぶりが足を引っ張る状態が続き、サービス価格も年初の+2.6%から2%台前半へとは鈍化した状態が続きます。
なお、サービス価格のなかでは、携帯電話サービス価格の値下げによる影響が来年3月には剥落するものと予想されます。また、足下では原油価格の上昇が続いていることが物価のサポート要因の一つとなっているものと思われ、NY原油価格は11月の平均でも56.66ドルへと一段高となっており、目先のPCEのサポート材料にもなりそうです。
当面は低調でゆるやかなインフレ傾向が続くものの、来春以降には若干の加速も見込まれる、との思惑がFRB内にもあるものと推測されます。
この日、上院での税制改革法案可決に向けて、共和党内での離反も警戒されていたマケイン議員が支持することを表明しています。
低インフレが続く状況を好感したことに加え、税制改革法案成立に向けても好材料が飛び出したことが、米株を大きく押し上げました。
NYダウは5日続伸で前日比+1.39%の大幅高となり、24000ドルの大台に到達しました。
上昇率1.39%は3月1日(+1.46%)以来9カ月ぶり、上げ幅331.67ドルは今年最大で昨年11月7日(371.32)以来の大幅上昇。
そして、月間ベースでも上昇基調が止まらず8カ月続伸。
怖くて飛び乗れない、そんな状態が延々と続いています。
低インフレは好感するものの、税制改革法案の前進がマイナス材料となる金は続落で、やや軟調な推移となってきました。
30日のNY金相場は0.69%安で続落。米10月のPCEデフレーターが低インフレ継続を示したことは一時的な買い材料も反応は極めて限定的となり、米税制改革法案の上院可決に向けての期待感が高まったことでドルが買われて金は軟調推移に。一時1270ドル割れを試す場面もあり、11月3日(1269.2)以来ほぼ1カ月ぶりの安値水準に。今朝の東京時間では1270ドル台後半へと1300ドル手前の保ち合い回帰の動きも、再び1270ドル割れへと売り圧力が強まれば、保ち合い下方ブレイクとなって一段安の展開へ。当面の下値目安は1250ドル近辺まで。
月間ベースでは+2.7ドル(0.21%)の小幅高となって3カ月ぶりの反発。
NYプラチナ相場は0.14%の小反発。上方向への勢いは後退したものの反落基調へと売り圧力が強まる訳でもなく、金の下落局面でもやや下げ渋る展開となり、金との価格差は330.7ドルとなり、9月1日(321.4)以来3カ月ぶりの水準まで急縮小。ただしこの日も90日移動平均線(951.2)に上値を押さえられ、長い上ヒゲを残す足型。目先、金が一段安へと向うようなら、連れ安の展開への警戒感も。上方向には950-60ドルでの抵抗感が強まり、下方向には引き続き920ドルまでではサポートされやすく、しかし重要な節目でもあり割れると大幅安警戒水準。
月間ベースでは+22.9ドル(2.49%)となって続伸。
ドル円は0.55%のドル高円安となって3日続伸。前日の節目水準突破に伴う堅調推移で欧州序盤までに112円半ばまで上昇。NY市場では新規失業保険申請件数、10月PCEがいずれも予想をわずかに上回る程度の結果となっても112円50銭は超えられず。一服後、ティラーソン米国務長官更迭の噂報道をきっかけに111円70銭台まで売戻し。しかし、その後は税制改革法案上院可決期待の高まりとともに10日ぶり高値水準となる112円60銭台まで反発。今朝の東京市場では一時112円70銭近辺まで上昇する場面もあり、
短期上値目安112円台後半にほぼ到達した状態。いったんは落ち着きやすいところも、日本時間本日深夜の時間帯に上院での採決が予定され、その結果次第では113円超えへと一段高か、あるいは112円割れへと調整局面も。
月間ベースでは-1.10円(0.97%)、3カ月ぶりの反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/30終値とチャート
1日の国内金価格は0.08%の小幅続落。11月安値4954円をわずかに下回り、10月6日(4936)以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準。11月高値、9日の5028円を起点とする下落トレンドが継続中。節目の4950円、90日移動平均線(4946)を割り込むようだと一段安の可能性が高まり、当面の下値目安は7-9月上昇局面の半値戻し、4901円近辺まで。
週間ベースではわずかに-2円(0.04%)となって3週続落。
プラチナ価格は0.66%の反発。金価格との逆行状態は続き、金との価格差は1291円となって9月14日(1276)以来2カ月半ぶりの水準へと急縮小。11月末の直近高値3658円をわずかに上回り、3660円台に乗せてきたことで上昇トレンド形成への流れが強まる可能性も。NYプラチナの上値がやや重いこと、金価格との逆行状態が重石となりやすいことから、一本調子での上昇基調が即スタートする可能性はまだ低いものの、目先の節目となりやすい11月高値3670円台を突破し、重石が徐々に剥落するようなら大幅高の展開へとつながる可能性もあり、その場合の最大目標は9月高値圏3820円近辺まで。
週間ベースでは+53円(1.47%)、4週ぶりの反発。
※参考:
金プラチナ国内価格12/1とチャート
2017年12月01日(金)時点の相場
国内金:4,952 円 12/1(金)
▼4(
0.08%)
国内プラチナ:3,661 円 12/1(金)
▲24(
0.66%)
NY金:1,273.2 ドル 11/30(木)
▼8.9(
0.69%)
NYプラチナ:942.5 ドル 11/30(木)
▲1.3(
0.14%)
ドル円:112.53 円 11/30(木)
▲0.61(
0.55%)
11/30(木)のその他主要マーケット指標
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