製造業受注も示すゴルディロックス状態と税制改革期待
更新日:2017年12月05日(火)
米商務省が発表した10月の製造業受注は前月比-0.1%となり、市場予想の-0.4%を上回りました。前月比+1.4%となっていた9月からは反動減が予想されていたものの、その落ち込み幅は限定的となり、9月分も+1.7%へと上方修正されたことも考慮すると、まずまずの好結果とも言えそうです。
製造業受注の推移を3カ月平均で均して見ると、2016年以降はそれ以前に比べ、上下動のブレが縮小しています。大幅上振れもないかわりに下振れも限定的となり、相対的には小幅増の状態がコンスタントに続き、比較的安定した伸びが続くゴルディロックス状態となってきていることを示します。
この傾向は輸送機器を除く耐久財受注でも同様で、10月時点での3カ月平均は+0.93%となり、決して高水準ではないものの前月比プラスの状態は1年4カ月続いています。
GDPの設備投資の算出に用いられるコア資本財の出荷でも、10月は前月比+0.4%から+1.1%へと上方修正され、9月分も0.9%から+1.2%へと上方修正。3カ月平均では+1.2%となり、最近では高水準となっているものの、2014年以前には+1.5%以上となる時期もありました。今年2月から10月まで前月比プラスの状態が9カ月続き、3カ月平均では1年2カ月連続。
民間の設備投資の先行指標とされるコア受注(非国防資本財から航空機を除いた数値)でも、10月は速報値の前月比-0.5%から+0.3%へと上方修正され、足下4カ月連続の増加。
3カ月平均では10月に+1.3%となり、11カ月連続のプラス圏。9月時点では+1.6%まで上昇し、2016年3月の+2.1%以来1年半ぶりの高水準となっていましたが、それ以前のピーク水準から比べると控えめな水準にとどまります。
いずれも適度な水準での増加傾向が続く好調期が持続し、足下では税制改革期待もこれを支える要因の一つとなっているようです。
4日のNY金相場は0.36%の反落。週末の米税制改革法案の上院可決などを受けてリスク選考の流れで始まった週明け、リスク資産が上方向へと窓を開けたのに対し、金は1270ドル半ばへと下方向に窓を明けての時間外取引スタート。しかし、この流れはそれほど強まることはなく、小康状態に。NY市場ではリスク資産の牽引役となっているNYダウが24500ドル台へと過去最高値を更新したところで失速、金利上昇、ドル高傾向の流れも調整的な動きへ、金は小幅上昇も1280ドルに届かず窓埋めには至らず。1270ドルから1300ドルまでのレンジ大枠内で11月末の上抜けトライに失敗後、今度は水準を切り下げて下値を試す展開に。米税制改革法案の上下院調整で進展が見られるようだと下方圧力が強まることになり、レンジ下限ブレイクなら1250ドル台まで下値余地拡大へ。反発方向へ1280ドル半ばを超えるようなら1300ドル再トライへ。
NYプラチナ相場は1.55%の大幅続落。11月20日(923.6)以来、2週間ぶりの安値水準となり、10月末以降の保ち合い下限となる920ドルラインが視野に。金よりも強めの地合いを維持しながらも、やはり11月末の960ドルの上限トライに失敗後は反落基調となり、金に連れる形で下方バイアスが強まる状況に。目先、920ドルの水準を維持できるかどうかが重要なポイントとなり、しっかりと下抜けてしまうと大幅安リスクが浮上、今年最安値(891.4)更新へと向う展開にも。
ドル円は0.21%のドル高円安。112円台後半へと窓開けスタート後の週明け東京市場では小康状態となり、金利上昇と株高の流れとともに欧州市場以降では何度か上値を試す展開に。NY市場では11月17日(113.14)以来、半月ぶりのドル高水準となる113円09銭まで上昇後に失速。米10月製造業受注などがまずまずの好結果となり、NYダウも最高値を更新したところでいったん材料出尽くしとなって反落、窓埋めの展開へ。結果的に11月の下落幅の61.8%戻し(113.24)手前で失速した形となり、今朝の東京市場では112円台半ばで上値も重い状態に。112円台前半で小幅保ち合いを形成する形となり、目先112円割れなら11月末安値圏111円近辺再トライへ。あらためて112円後半へと反発できれば61.8%ライン再トライで113円半ばまでの上昇も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.1%の小反落。週をまたいで強まったリスクオンの流れは失速したとは言え、まだ優勢の状態にあり、これを素直に反映する形でゆるやかに上値を切り下げる展開が継続。足下では上昇傾向が続く
90日移動平均線(4949.4)を意識するように4950円台で下げ渋る状態。しかしNY金にも下押し圧力が強まりつつある状況からは、下値トライ警戒感が徐々に強まる状態へ。4950円を割り込めば、調整局面継続で次の下値目安は4900円近辺まで。
プラチナ価格は0.82%の続落。NYプラチナの大幅安を反映して下方リスクが高まる状況に。保ち合い傾向が続いてきたなかで、NYプラチナとも金価格ともややズレが生じていた方向感がいずれも下方向へと一致し始めた様子も。NY金とプラチナともに保ち合い下放れの展開となるようなら、3600円の大台割れへと向かい、今年安値(3529)更新トライへと向う展開へ。ただし、
90日移動平均線は依然ゆるやかに上昇基調が続いており、中期的な方向感は上向きを維持。
※参考:
金プラチナ国内価格12/5とチャート
2017年12月05日(火)時点の相場
国内金:4,956 円 12/5(火)
▼5(
0.10%)
国内プラチナ:3,612 円 12/5(火)
▼30(
0.82%)
NY金:1,277.7 ドル 12/4(月)
▼1.1(
0.09%)
NYプラチナ:926.0 ドル 12/4(月)
▼14.6(
1.55%)
ドル円:112.41 円 12/4(月)
▲0.24(
0.21%)
12/4(月)のその他主要マーケット指標
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