フィリー指数7月は予想外の高水準維持も期待指数は急低下中
更新日:2018年07月20日(金)
7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は25.7。市場予想の21.5を大幅に上回り、1年7カ月ぶり低水準となっていた6月の19.9からも急反発。失速しそうでしない状態が続き、6カ月平均では25.2となり、昨年3月から1年5カ月連続で20以上の高水準を維持しています。
新規受注は31.4となり、45年ぶり高水準となった5月の40.6にこそ及ばないものの、反動減となった6月の17.9からは急回復。
仕入れ価格は62.9となって2008年7月(71.0)以来、10年ぶりの高水準。販売価格は36.3で1989年2月(36.7)以来、29年3カ月ぶり高水準となった5月の36.4とほぼ同水準。
インフレ基調と好調を示す指標が見られるなかで、向こう6カ月の見通しを示す期待指数は4カ月連続の低下で29.0。2016年3月(28.2)以来、2年4カ月ぶりの低水準となっています。
前日のベージュ・ブックで示された「米経済は控えめから緩やかなペースで拡大し続けた」状態と「12地区連銀全てで製造業者から関税措置による影響への懸念」をそのまま表す結果となったようです。
NY連銀製造業景況指数と同様に、フィリー指数でも現況を示す総合指数は、期待指数に上値を押さえられる形での推移が続いています。
リーマンショック後、フィリー指数の期待指数の最低水準は20ポイント前後。期待指数がこの水準になると、総合指数は拡大基調から縮小基調へとマイナス転換が警戒されることになります。さらに水準を切り下げて10ポイントを下回り始めるようだと、リーマン後の最低水準を更新することになり、景気後退局面を警戒するフェーズ入り、にもなりそうです。
一足先にピークアウトの兆しを示す期待指数がこの先、下げ止まるのか、一段と低下していくことになるのか、貿易戦争の行方とトランプ発言とともに注目され、警戒要因となりそうです。
19日のNY金相場は-3.9ドル、0.32%の反落。ドルインデックスの昨年秋以来の高値ライン95ポイントをはさんでの攻防は続き、米経済の好調と斬新的な利上げが続く状況を好感してこの日はNY朝までドル全面高の展開。新規失業保険申請件数が48年ぶり低水準となり、フィリー指数も想定以上の好調ぶりを示したことを追い風にドルインデクスが95ポイントを超えた場面では金の売り圧力も強まり、昨年7月11日(1207.4)以来1年ぶり安値となる1210ドルまで下落。しかし、トランプ米大統領の「利上げは好ましくない」発言によってこの流れは反転。口先介入によってドルインデックスは95ポイント割れへと急反落し、NY金は一時1230ドル手前まで急反発。波乱の展開はホワイトハウスによる「FRBの独立性尊重」などのフォロー発言で収束。
下値目安1220ドル付近を維持したNY金は一時的にせよ次なる下値目安1200ドルの大台ラインに向けて一段安の可能性も示した形に。セリング・クライマックスの可能性と1200ドル前後までの一段安への警戒感が混在。
NYプラチナ相場は-11.5ドル、1.41%の大幅安。2月以来今年2度めの5日続落。ポジティブ・シナリオはまだ時期尚早だったようで、NY朝にかけての急落局面では800ドルの大台ラインを突き抜けて9年7カ月ぶり安値を更新、794.5ドルまで下落。短期的な
下値目安となっていた790ドル台までしっかりと下げたことにより、その後は810ドル台後半まで20ドル超の急反発。NY引け後の時間外では810ドル付近での推移となり、週末にかけては800ドルの大台ラインが心理的な節目となってサポートされそうな状況も、あらためて790ドル台まで水準を切り下げる可能性への警戒感も。
ドル円は40銭、0.38%のドル安円高となって続落。ゆるやかなドル高円安基調が続いた東京・欧州時間、NY朝には米経済指標の好結果を受けて前日高値をわずかに上抜けて113円10銭台まで上昇。しかし1月9日高値(113.18)突破には失敗、半年ぶりのドル高円安水準に上値を押さえられる形となって失速。その後はトランプ米大統領のFRB牽制発言を受けて1週間ぶり安値となる112円00銭台まで1円弱の大幅急落。あわてたホワイトハウスのフォローによる戻りも112円40銭台までと限定的に。113円近辺を上限にドル高の流れ一服となる可能性を示し、112円近辺での底堅さも確認する形となり、再度113円超えできれば昨年12月高値113円70銭台前後までが次の上値目安に。112円を割り込むようだと111円近辺までが次のサポート水準に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/19終値とチャート
20日の国内金価格は-25円、0.52%安となって4日続落。昨年3月15日(4737)以来、1年4カ月ぶりの安値水準。昨日までの今年安値6月29日の4749円にはサポートされず、下値目安4730円近辺まであとわずか。引き続きNY金の下げ渋りの兆しにもサポートされ、下落局面一服の兆候もあり、水準的にもいつ下げ止まってもおかしくはないところだが。
週間ベースでは-93円(1.92%)で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は-48円、1.51%の大幅反落。乱高下状態で形成した保ち合い水準まで前日に戻し切れなかったことにより一段安、二番底を形成する展開に。既に二番底を形成済とも言える形状となり、NYプラチナも一時的ながら下値目安に到達して反発していることで底入れへの可能性も。あらためて800ドル割れを試すようだと、国内価格も安値更新と3100円割れ、下値目安3090円程度までを試す可能性も。
週間ベースでは-127円(3.89%)、4週ぶりの大幅安で反落。
※参考:
金プラチナ国内価格7/20とチャート
2018年07月20日(金)時点の相場
国内金:4,744 円 7/20(金)
▼25(
0.52%)
国内プラチナ:3,138 円 7/20(金)
▼48(
1.51%)
NY金:1,224.0 ドル 7/19(木)
▼3.9(
0.32%)
NYプラチナ:806.3 ドル 7/19(木)
▼11.5(
1.41%)
ドル円:112.44 円 7/19(木)
▼0.43(
0.38%)
7/19(木)のその他主要マーケット指標
ビッグマック指数でもドル高進行中 07/21(土)住宅着工件数は9カ月ぶり低水準、住宅市場指数は10カ月で最低 07/19(木)9カ月ぶり高水準、SKEW指数が示すブラックスワンへの警戒感 07/18(水)NY連銀製造業景況指数、7月は高水準維持も楽観見通しは後退 07/17(火)
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